タートルパラドックス
じっくり調べて考えて議論して、という仕事スタイルは悪とされる
それは頭でっかちだとか、現実はそんなに甘くないとか、もっと早く行動しろとか、100点で間に合わないより70点で間に合わせろとか……
現場での経験に勝るものはないね(だからさっさと現場で動け)、という主張もよく見る
もちろんケースバイケースだが、案外そんなことはない
じっくりゆっくりゆったりしていった方が、中長期的に見れば早い
何なら比較的短期的に見ても早いことさえある
なぜかというと、
1 ゴールが絞られるからだ。何を最低限満たせばいいかが見えてくるので、それだけやればいい。馬鹿みたいに多機能をサポートする、みたいなことがなくなる
2 後戻りがなくなるからだ。
が、直感的には「いやゆっくりしてたら遅いだろ」なので、このことは非常に理解されにくい。
無理やりウサギとカメでたとえると、
一見するとウサギが早いが、ウサギはペース配分や身体メンテナンスや地形調査とかをしないので「あ、あっちの山だったわ」と後戻りが発生したり、酷使しすぎて怪我してうーもー動けないとなったりする
一方カメは、一見すると遅いが、ちゃんと配分考えてメンテナンスもして調査とかもして賢く移動するので、結果的にウサギより長距離を移動できる。それも安定したペースで、余裕も見せながら(たとえば道中おしゃべりできる)移動できる
一般化すると:
タートル(亀)のスタイル
最初からしっかり準備したり、メンテを怠らないやり方で進めたりすることは「遅い」
ウサギのスタイル
タートルは遅いので、通常はそんなことしない。テキトーに前に進んでメンテも怠って後で苦しく慌ただしくなっていく
仕事はウサギだ、そういうものだと捉えられている。頭ではタートルだとわかっているが、遅いよねと、やってられないよねと思っている
でもそうじゃない
たしかに最初は遅いけど、中長期的にはタートルの方が早いし安定するsta.icon*2
タートルの方が明らかに遅く見えるので、最終的にはタートルの方がはるかに早いのである
これをタートルパラドックスという
開発の文脈ではもう知られ始めている
じっくりやれば(最初の最初は遅いしコストもかかるがすぐに)両方取れて、元も取れる
NRIは「両立」という言葉を使った
これを理解していると、じっくり投資して積み上げていくことができる
このパラドックスを超えられるかどうかは、有能かどうかの一つのものさしとなるであろう。
ワークウェア化した: