タスク管理とは何か
目次
はじめに
タスク管理との付き合い方
タスクとは
タスク管理で戦うか、タスク管理の外で戦うか
粒度
MUSTとWANT
冷ましたいのか、早めたいのか
忘迷怠と熱夢集
自分、パートナー、プロジェクト
「タスク」と「タスクとしても扱える何か」
タスク管理と虚無感
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はじめに
ねらい
タスク管理の意味や種類について知る
タスク管理との付き合い方を考えるためのヒントを得る
タスク管理の知見について調べるための言葉(単語や概念)を知る
方針
「タスク」や「タスク管理」について、様々な切り口から要点を解説する
具体的なツール名やメソッド名は(ほとんど)取り上げない
タスク管理との付き合い方
「タスク管理」という言葉に意味はない(多義すぎる)
まずは言語化して、認識を合わせる
あなたにとってタスクとは何か、管理とは何か
チームにとってタスクとは何か、管理とは何か
フィットさせることが重要
あなたやチームに最適なタスク管理は、あなたやチームにしかわからない
先人の知恵を拝借して、あなたなりに・チームなりにカスタマイズしていく
先人の知恵
うまくいくやり方は九分九厘、先人が開拓している
チームや仕事におけるタスク管理は、プロジェクト管理の文脈で語られることが多い
個人のタスク管理は、自己啓発やライフハックの文脈で語られることが多い
いずれにせよ、これだという汎用的な体系や権威はまだ整備されていない
し、人それぞれ組織それぞれだから整備できない(と思う)
これら先人の知恵を探すのは難しい
どういう語彙で言語化されているかわからない(ので探し様がない)
言語化されているとも限らない
タスクとは
「やること」の意
ここに色々な属性がついてくる
タスク名
タスクの詳細
状態(未着手、進行中、完了)
優先度(低中高)
担当者 etc
以下は全部タスク
(タスク名)
(タスク名, 状態)
(タスク名, タスクの詳細, 状態, 優先度, 担当者, 報告者, ...)
タスク管理で戦うか、タスク管理の外で戦うか
タスク達とうまく付き合うためには、何らかの工夫(タスク管理)が必要
本当に?
そもそもそいつらタスク達がいなければ、付き合う必要がない
付き合いにくいタスクよりも、付き合いやすいタスクの方が良い
タスク管理をする前に、まずは盤外戦をする
盤外(タスク管理に持ち込む前段階)で対処する
その結果
タスクそのものがなくなるかもしれない
タスクがより軽く、かんたんなものになるかもしれない
タスクはなくならないが、管理を他人に任せられるかもしれない
この場合、任せた相手がちゃんとこなすかの管理が別途必要(マネジメント)
盤外戦が上手い人は、そもそもタスク管理が必要ない or 軽微で済む
筆者の例
おしゃれを捨ててるので美容院が必要ない
自炊しないので買い物料理保存洗浄ゴミ捨てがない or 軽微
独身なので育児の忙しさがない
平社員なので管理作業がない
粒度
粒度の粗さと細かさ
例: 以下は上に行くほど粗い
Scrapboxに関する本を書く
なんかScrapboxネタで電子書籍を書く
エンジニアのためのScrapbox入門(仮)を電子書籍で書く
エンジニアのためのScrapbox入門(仮)の目次のたたき台をつくる
エンジニアのためのScrapbox入門(仮)の目次たたき台用に、1時間ひとりブレストしてみる
たいていは階層構造になる(できる)
例: 上記の例を階層で表すと
エンジニアのためのScrapbox入門(仮)
目次
たたき台
1時間ブレストしてみる
粗いタスクはそのままだと取り組みづらいので、細かいタスクに分解する
確実に消化したいタスクは、細かいタスクに分解してリスト化する
MUSTとWANT
MUST
やらなければならない
例: 仕事、育児、支払い、服薬や通院、食事排泄睡眠
締切がキツかったり、明確な締切はないが放置が許されなかったりする
WANT
やりたい
例: 改善、勉強、鍛錬、趣味や娯楽
何かが足りなくて手を出せない
たとえば時間、金、動機、実力、手順、道具や設備、許可承認
冷ましたいのか、早めたいのか
オーバーヒート
オーバーマスト(やりたいことが多すぎる)、オーバーウォント(やらなければならないことが多すぎる)など
多すぎて対処できないのを何とかしたい
タスク管理の概念とツールを頼ることで「頭の処理能力の限界」を超える
何から手を付けるかという「優先順位の判断」も大事
そしてこれは「自分が置かれている状況」と「自分の価値観」と「自分が直近重視したい目標」などで決まる
逆を言えば、これらがわからない or ない場合は優先順位も決められない(≒流されるしかなくなる)
ロボティング
オーバーヒートではないが、仕事や日常生活の行動に無駄を感じる
もうちょっと無駄を減らして時間と体力をセーブしたい
生活をまるごとタスク管理してしまう
タスクリストを列挙して、そのとおりに行動する生活にする
従うだけで「最小限の手間で確実に生活が回る」ようなリストに育てていく
リストにただただ従う様は、まるでロボット
行動ログが溜まるので、あとで振り返って改善に繋げやすい
曖昧な記憶ではなく、たしかな「記録」として残っているのがポイント
記録から自分のパターンを読み取れる
忘迷怠と熱夢集
タスク管理で何を得たいかは二種類ある
忘迷怠の軽減
熱夢集の確保
忘迷怠とは
忘れる
迷う
怠ける
熱中したい
夢中になりたい
集中したい
忘迷怠とタスク管理
忘迷怠はタスク管理で軽減できる
忘れるツールに書いてあるので思い出せる or ツールが思い出させてくれる
迷うツールが直近やることを見せてくれるのでそれに従えばいい
怠けるツールが進捗や達成具合を見せてくれるのでやる気が削がれにくい
熱夢集とタスク管理
熱夢集そのものはタスク管理しづらい
どちらかと言えば、生活基盤のメンテナンスを効率化するためにタスク管理を使う
生活基盤のメンテナンス?
熱夢集するために必要な行動全般のこと
例: 日常生活全般、仕事でお金を稼ぐ、(部屋が汚れてると生産性に支障が出るので出ない程度に)掃除する etc
生活基盤のメンテナンスが楽になれば、その分、やりたいことに費やせる
家事雑事に1日2.5hかかっていたのが、1日0.75hで済むとしたら?
1日1.75h
時間が浮く
体力、気力、注意資源が浮く
その分、やりたいことに費やせる
自分、パートナー、プロジェクト
タスク管理は「人数」と「公私」で3種類に分類できる
(1人, 公) → 個人タスク管理
(1人, 私) → 個人タスク管理
(n人, 公) → プロジェクトタスク管理
(n人, 私) → パートナータスク管理(普通はn=2)
この分け方を3Pモデルという
Personal
個人
一番かんたんかつ融通利きやすい
ツールも自由に選べる試せるつくれる
凝りすぎると手段が目的になることも
例: 筆者(タスク管理が趣味です)
Partner
パートナー
個人とプロジェクトの間くらい
Project
プロジェクト
一番むずかしいかつ融通利きづらい
本格的なツール、プロセス、専用の役割(マネージャー)などが必要になる
PMBOKに代表されるプロジェクト管理の文脈と混同されがち
あなたが欲しいタスク管理はどれか?
チームを何とかしたいなら、プロジェクトタスク管理しかない
自分ひとりを何とかしたいなら、個人タスク管理で良い
夫婦で私生活を何とかしたいなら、(プロジェクトではなく)パートナータスク管理で済むかも
前提を間違えないこと
個人タスク管理で済むのに、プロジェクトタスク管理を使って管理の手間をかけすぎてしまう
プロジェクトタスク管理で制御しないと立ち行かないのに、個人タスク管理でなあなあにしてしまう
パートナーに個人orプロジェクトタスク管理を押し付けてしまい、理解を得られない
ツールで例を挙げてみる
個人タスク管理
TaskChute
Tritask
Todoist
プロジェクトタスク管理
GitHub Issues
JIRA
Trello
パートナータスク管理
知りません(筆者は独身でパートナーいないので)
夫婦でSlack、家族でScrapboxという話はよく聞きます
「タスク」と「タスクとしても扱える何か」
タスク管理として何でもかんでもタスクにしがち
実はタスク以外の何かとして扱った方が賢いものが色々とある
例1: イベント(予定)
一番わかりやすい例
カレンダーを使うのが無難
カレンダーを使わず、あえてタスク管理で頑張る猛者はそうはいない
例2: リマインド(n時間後の予定)
目覚し時計
「明日のタスクリストに "6:00に起床する" と書いておくか」とはならない
6:00にはたらきかけてくれる仕組みに頼る
一般化すると、直近の予定は「相手から働きかけてくれる仕組み」に頼る
これをリマインダーという
例3: アイデア
アイデアはタスク管理とは相性が悪い
アイデアは
アイデアは突発的(突然やってくる)
アイデアは揮発的(すぐいなくなる)
アイデアは腐敗的(すぐに腐る。なんだっけこれ現象)
アイデアは限定的(一期一会。逃したらor腐らせたら二度と会えない)
アイデアは活動的(脳の内外を行ったり来たり)
一方、タスク管理は「やること」を確実に仕留めるためのもの
やんちゃで気まぐれなアイデアを扱うのは難しい
アイデアはタスク管理からは切り離す
アイデア管理については、ここでは割愛する
タスク管理と虚無感
タスクだけ管理しても「何してんだろ私……」と虚無感に襲われる(ことが多い)
以下が必要
存在意義……そのタスクは何のためのタスクなのか
構成要素……そのタスクはどうやれば終わるのか(サブタスクは何か)
必要可否……そのタスクを管理する必要があるのか
上記を担保して虚無感から脱するためには、複数のレイヤーからタスクを捉える必要がある
レイヤーの案は色々あるが、私はATGVという言葉で整理してみた
Vision …… 理念、ポリシー、ミッション。
Goal …… 達成したい事柄や維持したい事柄で、特に中長期や多数のTodoを要するもの。
Todo …… やること。
Action …… 行動。粒度が細かく、個人的なもの。Todoの構成要素。
あなたはどうしたい?
Todoは逃したくないけど、Actionレベルまで細分化したくない・管理したくない
忘迷怠が嫌なので、Actionレベルまでじゃんじゃん管理したい
VisionとGoalさえあれば何とかなるので、TodoやActionなんてどうでもいい(管理なんて要らん)
VisionとGoalだけあっても何も起きないので、ちゃんとTodoやActionに落として管理していくべきだ
etc
タスク管理≒Todoの管理
タスク管理はTを扱う
V, G, Aはカバーできない
V, G, A(の考慮や接続)が足りないなら、タスク管理する前にそっちを何とかするべき
これも前述した盤外戦術の一つ
ちなみに
前述のロボティングはタスク管理≒Actionの管理だったりする
例: 筆者
Tritaskというツールをつくって、毎日使っている
日々の家事や習慣やメンテ作業も全部突っ込んでる
床を掃除する、朝食の材料を買いに行く、メールアドレスAをチェックする etc
1日30~50個のタスクを消化している
Tritask(に書いてあるタスクリスト)に従うだけで日常が回る
hr.icon
更新履歴
2021/10/26 加筆修正
優先順位の重要性
ブレスト → ひとりブレスト
2021/03/20 初版
筆者メモ欄
どう付き合えばいいかの要点が全体的に不足している(特に前半)
サマリーがあると良いのでは
先人の知恵の探し方、もう少し拡充しても良いのでは
具体的なツール名やメソッド名を各セクション末尾にぶら下げたらわかりやすいのではないか
ツール例
……
……
ルーチンタスクという概念をちゃんと説明したい