サイボウズ・ラボに出した履歴書1
一部マスク化
To: サイボウズ・ラボ 担当者様
XXXXと申します。
フォーマットに沿って記入した履歴書を送付させていただきます。
氏名(ふりがな):XXXX
生年月日:XXXX
現住所:XXXX
電話番号:XXXX
E-mail アドレス:XXXX
現在の勤務先:XXXX
現職種:ソフトウェアエンジニア、システムエンジニア
希望職種:ソフトウェアエンジニア、エバンジェリスト
学歴:XXXX
実績:
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今までどのような研究及び開発を行なってきたかを自由にお書き下さい。
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三点ご紹介させていただきます。
■1: ルーチンタスクの研究・開発
個人のタスクを自分で管理することを個人タスク管理と呼ぶことにする。
個人タスクの大半は、特定の頻度で繰り返し行われる「ルーチンタスク」とされる。
このルーチンタスクを上手く管理する方法や管理することのメリットを研究してきた。
成果物
- Tritask
執筆のように。プログラミングのように。テキストエディタでガシガシ編集するストレスフリーなタスク管理。
- Todaros
ルーチンタスクを事前定義しておくと、毎日「今日はこれとこれをやればいい」を出力してくれるツール。
- ルーチンタスクの底力: やり忘れとストレスをなくす仕組みと実践
ルーチンタスクの理論と実践とまとめたKindle電子書籍。
■2: 知的生産性向上のためのメモやノートテイキングの研究・開発
設計、執筆、企画など発散と収束を伴った高度な知的生産には「書く」という営為が必要とされる。
ブレストや Wiki などコラボレーションの手法やツールも数多いが、その前段として各個人による事前の拡充を経ていなければ進展しづらい。
その前段、個人で上手く行うためのやり方と考え方、特にテキストでメモやノートを取るという活動を軸としたものを研究してきた。
成果物として以下が存在する。
- sta-scb
箇条書きベース + ブラケット囲みのリンク記法により、ネットワーク構造的にメモを膨らませていくことができるメモツール。
テキストエディタの拡張機能として実装しており、現在秀丸エディタ用の hidemaru scb と VSCode 用の vscode scb がある。
- 知的生産レターとサマリー駆動
情報をブロック単位で箇条書きで記述し、要所要所でサマリーをつくって区切っていくというワークスタイル。
※以下はラフな解説(まだ正式な読み物としては整備していない)
- 執筆を効率化したい人のための秀丸エディタ実践入門
執筆効率には「基礎」が必要とのスタンスで、秀丸エディタの基本と応用、またテキスト編集全般の周辺知識もまとめたKindle電子書籍。
■3: 組織内の情報共有やコミュニケーションに関する研究
情報共有やコミュニケーションを上手く行うための方法論やツールは既に確立されており、また日進月歩で発展している。
一方で我々は組織であり、人間でもあるため素直に従うことができず、このあたりの変更や改善には多大なコストや時間がかかりがちである。
このギャップを埋めるためには、組織や人間についてもっと知らねばならない――と気付き、最近研究している。
明確な成果物はまだ無いが、蒸留した概念をいくつかピックアップする。
- コミュニケーション1.0
サイボウズ内では「全員が読み書きできる場所に情報を置く」発想が既に確立されていると思うが、これは思っている以上に特異である。
通常、人は「常に」特定の人を想定する指向性を持っていると考えられ、ゆえに「よく知らない相手」や「不特定多数」が対象になると途端に情報を出せなくなる。
このメンタルモデルを1.0と名付けた。
- フロック
情報共有手段としてチャットなどフロー型と、Wiki などストック型が知られている。
Scrapbox という製品により、実は両者の良いところを両取りできる概念がありそうだとわかってきた。
このような形態をフロックと名付けた。
- 精神的安全性
心理的安全性は既に知られているが、安全性という観点では他にも言語化できる余地があると考えている。
たとえば「このような人がいたら著しくチームの生産性や居心地が落ちる」現象はよく知られているだろう。
これを精神的安全性と名付け、例を整理している。
※いずれも主にプライベートで研究・開発してきたものです。
現職では(研究開発ではない)SI案件、開発案件、案件支援その他技術検証や新規事業検討をこなしており、
研究開発に必要な技術力やコミュニケーションの鍛錬の場、また組織やドメインやメンバーを知る場となっています。
技術:
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今、あなたがお持ちのスキルを自由にお書き下さい。
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ITエンジニアに関するスキル、という前提で書かせていただきます。
- 言語
- Python
- VCS
- Git
- クラウド
- AWS
- CI/CD
- Jenkins
- コミュニケーション
- Teams、Scrapbox、Box Notes
- ドキュメンテーション
- Markdown、Pandoc
上記は今使っているもの、普段使っているものや過去使う回数が多かったものです。
必要なスキルはその都度身につけたり思い出したりします。
私個人としても「新たなスキルや知識を身につけるための基礎素養」は大事にしています。
以下に(今は覚えていないが過去使ったものの)例を挙げます。
- TypeScript
VSCode拡張機能開発時
- JavaScript、HTML/CSS、VBA
Excel製サイジングツールをWebアプリに移植するプロジェクト時
- Terraform、AWS CLI、Slack
インフラ IaC プロジェクト時
志望動機:
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サイボウズ・ラボをお選びになった理由を自由にお書き下さい。
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■理由1: オープンな情報共有を行っている土壌があるから
サイボウズは自社内でグループウェアを使っており、既に「オープンな情報共有」が行われていると思います。
採用サイトのレベルでその点が説明されているのを見て衝撃を受けました。
「オープンな情報共有」は私が昔から掲げてきたテーマの一つであり、現職でも啓蒙に務めましたが、組織文化や個人のメンタルモデルも絡むため推進は困難でした。
現時点では「既に進んでいる場所」に移って、そこで頑張っていくのが無難だと考えます。
サイボウズという組織であれば、私が見たかった世界に手が届きそうだと思いました。
また既にある程度結実もされていると思っていて、純粋に見てみたいという好奇心もあります。
■理由2: nishio(西尾泰和)さんが勤めているから
nishio さんとは Scrapbox コミュニティで出会いましたが、下記の点で私のロールモデルとなっています。
・知的生産性の向上を掲げていること
・裁量の高い働き方をしていること
・オープンな情報共有を行っていること
・好奇心旺盛で勉強や挑戦を惜しまず行っていること、それも楽しそうに行っており情報共有もするので周りの熱を高めていること
言わば私が目指しているようなことを既に仕事として実践されている先駆者です。
そんな nishio さんが働けている組織とはどのようなものかと興味を持ち、サイボウズ・ラボを知りました。
私もここまでの試行錯誤により、相応の裁量や風土が必要だと感じていますが、このような働き方やテーマを体現できているサイボウズ・ラボであれば、同樣に私も活動していけると考えました。
■理由3: 自分の不足をカバーできると考えたから
突然ですが、私には以下の弱みがあり、これゆえ現状の自分では(自分で常用したり他者向けの説明をつくったりする以上の)結果を出せないでいます。
・1: 手を動かして結果を出していく力があまりない。プログラミングでいうとデスクトップアプリやCLI程度はつくれますが、考慮事項が増える「Webサービスの開発・運営」レベルには届きません。その他ゲーム、運動、勉強など色んなジャンルでも検証しましたが同樣でした。自分で手を動かして結果を出す要領に欠けているとの結論を付けつつあります。
・2: 実験や検証を行える手段がない。改めて後述しますが、私のテーマはワークウェア(仕事のやり方や考え方)です。ソフトウェアのようにワークウェアもつくっていく未来を目指しています。しかし、ソフトウェアほどわかりやすくもないし、概念的には新しいため、使ってもらうのは困難です。
1: については、サイボウズ・ラボには技術に尖った研究開発者が揃っていると思います。
私自身が 1: を行えるようになるためのヒントはもちろん、「すべてを自分一人で行う」以外のノウハウもあるのではと見ています。
また、そもそもこのような研究や開発を仕事にできれば、兼業ではなく専業に近い形で専念できるため、純粋に勉強や鍛錬の時間も増やせます。
2: については、サイボウズという組織そのものが「ある程度巨大なドッグフーディング場」として使えると見ています。
既にオープンな情報共有文化があり、議論も活発に行う風土だからこそ、私もそこに参加して自身の成果物や検討結果を検証していくことができます。
自分のテーマを結実させるためにはどうしたらいいか、は長らく悩みでしたが、サイボウズ・ラボ(とサイボウズ)であればそこをカバーできると考えました。
研究開発テーマ:
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サイボウズ・ラボで取り組んでみたいテーマをお書きください。
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テーマ: 『ワークウェアの確立』
■ワークウェアとは
造語ですので初めに説明させてください。
ワークウェアとは、仕事のやり方や考え方を指します。
ハードウェアは装置、ソフトウェアはプログラム、ワークウェアは概念というイメージです。
以下はすべてワークウェアです。
・TODOリストやチェックリストと何らかのリスト
・MVP
・心理的安全性
・KPTやYWTといった振り返り手法
・ルーチンタスク管理(冒頭の研究内容1)
・精神的安全性(冒頭の研究内容2)
■ワークウェアという概念を立ち上げる意味
このように割と何でも「ワークウェア」となってしまいますが、
重要なのは「ワークウェアなるものは自分達でつくってもよい」という視点です。
私達エンジニアは必要に応じてソフトウェアをつくると思います。
仕事として本格的につくるケースもあれば、個人が自分のためにつくる「名前のないちょっとしたソフトウェア」もあります。
このような、いわば DIY 的な営為は、仕事のやり方や考え方全般にまで拡張できると私は考えています。
仕事のやり方や考え方というと、ともするとビジネス書や自己啓発書のようなビジネス臭や非本質感が漂いますが、
そこを乗り越えて、ちゃんと個人やチームに役立つものとして確立していきたいです。
木こりのジレンマという言葉もあるように、自分達が使っている手段に目を向けることは大事です。
しかし現状はエンジニアを含む一部専門家の特権になっています。
これをもっと一般化、民主化していけば、より競争力も満足度も向上すると確信しています。
■活動の方向性
1: ワークウェアという概念を啓蒙する
社員の誰もがワークウェアを意識し、つくって公開して議論して拝借して改造して、といったことが当たり前に行われる未来を目指したいです。
そのために、まずは私自らが色んなワークウェアを開発して共有していきます。情報共有には慣れているため、全社員が見える場所にアウトプットを行う、といったことはできます。
また社内の相談に乗ったり、勉強会などを開催して触発を行ったりいったことも想定しています。啓蒙の手段は多い方が良いです。
2: 主力や基礎になりうるワークウェアを絞り込んでいく
サイボウズではすでにメソッド事業を行っており、チームワークに関するワークウェアを結実できていると言えます。
前述 1: の活動にて色んなワークウェアを扱いつつ、それ以外にも主力となるワークウェアを探したいです。
また、ビジネスに直結する売り物のみならず、縁の下で社員全員を助ける「基礎」のようなワークウェアもありえます。
主力も基礎も、どちらも開拓していきたいです。
3: 主力や基礎となるワークウェアの整備
色々なやり方があります。
・メソッドとして整備する
・新しい製品やシステムとして開発する
・既存製品に機能として組み込む
サイボウズはこのような整備を行えるだけの自製力を備えていると思います。
私自身もプロトタイプ作成やフィードバックなど関われる余地はあります。
以上三点を想定しています。
もちろんこれらは暫定であり、サイボウズ・ラボやサイボウズの皆さんと一緒に考えていきたいです。
自己アピール:
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あなたのアピールポイントを自由にお書き下さい。(字数・形式無制限)
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三点ほどアピールを述べた後、最後に改めて私の価値を示します。
■1: エンジニア、作家、ライフハックの三つの軸をすべて知っている
私は以下に示す三つの軸をすべて持っています。
これらのスキルや考え方を総動員した研究開発や情報発信が可能です。
この性質上、プロジェクトを前に進めることにはあまり向きませんが、
よりより手段や考え方を提示したり、未来の種を出したり、と中長期的な視座での検討に役立ちます。
- ソフトウェアエンジニア
概念を設計し、プログラミング言語に落とし込む能力
コンピュータファーストで物事を捉え、翻訳する能力
テキストの読み書きやテキストデータを扱う素養
- 作家
常識や現実にとらわれない想像力や妄想力
現状や感情を含む、あらゆる事物の言語化能力
多数の設定や展開を考慮した上で破綻なく続きを紡ぐ執筆能力
- ライフハック
タスク管理、時間管理、リマインダーなど仕事に関する管理の知識
GTD、振り返り、メモなど日々の情報から人生の方向性までを統一的に扱う方法論の経験
ストレングスファインダーやティール組織など人や組織の性質を見るという視座(※1)
※1 これらはライフハックとは違いますが、おさまりが悪いのでここに入れさせていただきました
またエンジニアですので、自ら手を動かして検証したりプロトタイプをつくったりすることも可能です。
直近では(仕事で)SBOM の形式を変換する CLI をつくったり、(プライベートで)ChatGPT API をテキストエディタから呼び出して素早く使えるようにするクライアントをつくったりしました。
以下は GitHub アカウントです。
■2: ラフにアウトプットする力がある
メンバー向けの情報共有はもちろん、全社員に向けて継続的に情報を出すこともできます。
- 仕事の過程をアウトプットできます
仕事では毎回議事メモを残し、他者向けのREADMEや検討ログなども残します。
それを行うための整備(たとえば GitLab + Markdown や Scrapbox など)の要領もあります。
- 情報共有に抵抗がありません
現職では全社員全グループn万人が閲覧できるブログがありますが、ここで情報発信を行っています。
プライベートでも Scrapbox にて日々あらゆる内容をアウトプットしており、三年で二万ページを超えました
- 読み手を考慮したアウトプットができます
たとえば以下は初学者向けに PATH の概念を解説した記事です
これは極端な例ですが、TPO に応じて、わかりやすさに寄せた文章を書くことができます
■3: 非同期的な仕事のやり方を知っている
リモートワークにより非同期コミュニケーションなど非同期的な仕事のやり方が台頭してきました。
対面とのバランスは重要ですが、今後もこの流れは変わらないと思います。
また地理的にも離れたグローバルの文脈ではなおさら重要となります(サイボウズも現在はグローバルを掲げていると思います)。
さて、私は非同期的な仕事のやり方に精通していると自負します。
たとえば以下をすべて持っています。
・チャットなどフロー型、Wikiなどストック型
・GitHub Issues、Markdown といったエンジニアライクな情報共有手段
・Scrapbox という次世代の情報共有スタイル
・Minecraft によるメタバースやバーチャルオフィスの世界観
・同期と非同期のバランス、テキストと音声の違い、メンタルモデルの違いといった視座
非同期的な仕事のやり方は今後も避けては通れないジャンルと考えてます。
これらの議論や提案に関して、力になることができます。
■サイボウズにとっての私の価値について
サイボウズの企業理念を引用します。
> チームワークあふれる社会を創る
私がこの理念にどう貢献できるかを説明させていただきます。
いきなり逆説的になりますが、チームワークの実現や洗練にはチームを構成する「個人」の部分も重要だと考えています。
たとえば「社員自らが能動的に動く」という自律性はよく知られており、既にサイボウズでも取り入れているかと思います。
他に私が注目しているのは以下です。
- アウトプットに関するリテラシー
対面口頭コミュニケーションだけでは限界があり、情報を書いて残すことも重要です。
しかしこれには思っている以上のハードルがあります。スキルだけでなく、メンタルモデルも絡んでいます。
これらを踏まえた上で、ではどうすれば残してもらえるか、残したものを読むか、を考えねばなりません。
- 内省に関するリテラシー
人は誰しも自分だけの考え、思い、あるいは自覚しづらいもやもやといったものを抱えています。
これは不明瞭である上に個人的なものでもあるため、チームワークやコミュニケーションでは解消しづらいものです。
しかし、ここを解消しなければ、いつまでも消化不良感を抱えることとなり個人の気分や生産性にも影響がでます。
私は各個人がこれに対処できるようになれば、よりチームワークにも繋げられると考えています。
- ワークウェアリテラシー
仕事のやり方や考え方に目を向けるというパラダイムがあると、思考の幅が広がります。
目を向ければ言語化が行なえ、言語化ができれば議論や改善にも繋げられます。
ワークウェアはそのための語彙になります。
私はチームの構成要素となる「各個人」に注目しており、これらの素養(上記では便宜上リテラシーと呼びました)を底上げすることが、結果的に理念にも繋がると考えています。
私ならこのリテラシーを高められます。他ならぬ私自身が高めてきたこと、そして上述した三つの軸により、他者にも表現できるからです。
表現の媒介としては「ワークウェア」という概念も提示させていただきました。
ワークウェアの確立を目指して日々情報共有や議論や検討を行っていけば、意識の浸透も進み、底上げも進んでいきます。
そして、もちろんワークウェアはチームワークそのものを捉える手段としても使えます。
メソッドや新機能として商売になりうるワークウェアも生み出せると信じていますし、そうでなくとも日々言語化して提示することで触発や議論を促すことができます。
希望職種に「エバンジェリスト」と書いたのも、そのためです。
以上です。
私は、ワークウェアという切り口で、チームワークあふれる社会を創ることに寄与します。
■最後に、サイボウズ・ラボにとっての私の価値について
全社的な価値という意味では前述しました。
ここではサイボウズ・ラボの皆様にとっての、私の価値を話します。
私の価値は、ワークウェア・エンジニアリングともいうべき、新しい工学を持ち込めることです。
サイボウズ・ラボは現状、ソフトウェアエンジニアの集団だと理解しており、その技術水準で言えば、私は取るに足らないかもしれません。
代わりに、私にはここまで述べてきたワークウェアの視座があります。
造語ですので、工学と呼べるほどの体系もまだありませんが、そのポテンシャルはあると考えています。
より大胆に言えば、研究には「技術」の方にもう一つ、「概念」という軸もあると信じています。
この「概念」の方を新規開拓し、研究開発というものに彩りと可能性を与えたいです。
何よりワークウェアは面白いと信じています。
現に私も元はエンジニアとしてのキャリアパスを目指していましたが、今ではこのワークウェアを進めていきたいと考え、研究する日々となりました。
個人での追求には限界がある中、サイボウズ・ラボと出会えたことは幸運でした。
幸いにも個人の活動期間が長く、それゆえワークウェアも含めた言語化もできたと自負しています。
この私の考えが御社にマッチするかはわかりませんが、ぜひ検討していただけますと幸いです。