合意形成
「誰一人置き去りにしない」を教えるはずの教室で平然と少数派を切り捨て、一度決めたことには従え! と「従順な子」をつくる教育がおこなわれている。
「未来の社会をつくる子どもたちに本当に伝えるべきことは、対立を乗り越え、合意形成に至るプロセスを経験させることではないか。学校で起きるトラブルこそが絶好の学び場であるはず……」by工藤・苫野
1、合意形成とは
合意形成とは、意見が食い違っているときに、互いの意見を納得のいく形で一致させることです。合意形成のあとには、最終的に一致した意見や提案に従った行動が求められます。状況によっては、それぞれが一定の妥協を求められる場合もあります。合意形成の善し悪しは、目的の達成具合によってわかります。たとえ満場一致で合意形成をした上で行動したとしても、その結果失敗していれば「良い合意形成だった」とは思えないのが実際のところでしょう。逆にいずれかが妥協した上でも、結果的に目的を達成できれば、その合意形成は成功したものとみなされるはずです。
つまり、合意形成はプロセスよりも結果が良いか悪いかで判断されることが多くあります。
では、「結果良ければ全てよし」なのでしょうか?
合意形成とはなぜ必要なのか
合意形成は、経営会議の意思決定や何かプロジェクトを計画するとき、そして共通の目的を持って業務を行うときに、参加者それぞれが理解・納得したうえで進めるために必要です。
合意形成がなされていれば、それぞれが当事者意識を持ち、同じ熱量で業務に取り組んでもらえるようになるというメリットがあります。反対に合意形成に失敗し、目的や手法に理解や納得、共感が得られずに、一部の人が疑問や不満を抱えたまま物事を進めると、プランを進める途中で認識や意見の食い違いによりミスや軋轢が生じる可能性があるので注意が必要です。その結果、スケジュールの遅延や計画が頓挫、誤謬といったリスクも考えられるでしょう。
また、合意形成に成功するためには、それぞれの考えを整理するために合意すべき内容が理解されており、そして合意すべき内容が納得されている状態が不可欠になります。
合意形成は、スムーズな意思決定や行動につなげるために重要なプロセスです。合意形成に関わる関係者の持つ多様な前提を明確にし、それぞれの考えを合意形成に取り入れられる方法はないか、しっかりと議論する必要があります。
つまり「論理」と「心理」の両方が必要であるということです。