第10章 関係の視点で捉えた組織・リーダーシップのあり方
#社会構成主義
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第10章 組織–不安定なバランス
第10章は第3部「専門的実践における関係規定的存在」の最後の章で、組織を掘り下げた回でした。正直今までで一番スッと読みやすい!仕事や組織という、自分自身の日常に直結する部分だったからかなと思います。
📕組織の活力は関係から生まれる
普段ビジネス書や仕事のノウハウ本には、行動原理は内発的動機か外発的動機で整理をされていることが多いかと思います。
ここではそういった、原因があり結果に結びつくというのは境界画定的存在の見方であり、組織の活力が関係の結節点から生じるとみてみよう、ということが提唱されています。
まず、スローガンはモノローグの一方通行なもので、組織にコミットさせるのを人為的に作ることは難しいこと。その中で人は、相手との関係性の中で肯定されることで居場所ができてくるということが書かれていました。
人は肯定されることで、アイデア、価値観、考え方を共有しようとするようになる。このようにして、組織の有する可能性はより豊かになる(後略)
これを読んでハッとしたのは、つい新入社員や後輩に教えるときは、「こうしてああして」「ここは直して」と伝えてばかりで、直接・間接どちらも肯定をちゃんと伝えていただろうか?ということ。
これは子どもに対しても同じです。対等な関係に立って、肯定することからスタートしたいなと思いました。
📕組織の危険性と解決アイデア
一方、「この組織」に囲い込みをしていくと、本来個人が持っている仕事以外の多様な関係性を断ち切らせ、活力低下に繋がってしまう危険性も指摘されています。
また、関係性が「協応行為」で成り立っていることを考えると、本来はピラミッド型組織で上からしたへ命令するということは成り立たない(下の人に拒否されたらそれで終わり)ハズのものであるというのが面白い視点でした。
そんな中、いかに協同的に意思決定をしていくのかという事例がいくつか挙げられていました。面白かったのは、意思決定をゲームのように、色違いの帽子を被り、◯色の人は批判的に話す、◯色の人は楽観的に話す、といった役割を与えて話すというものです。
また、組織の問題というのは「そこにある」ものではなく、そこにいる人たちの協応行為によって「問題だ」と認められたものであるというのも、これまで読み進めてきた中では納得のことでした。(価値を認める問い(Appreciative Inquiry)というやり方も興味深かったです)
📕関係からみたリーダーシップ
リーダーシップについても同様に、相手がいなければそもそもリーダーにはなりえない(自分一人ではリーダーではない)という前提の中、個人の特性ではなく「つながりを持つ人が互いに影響を及ぼし合い、力を発揮しながら未来を目指す力」と定義されています。
では、いかにしてリーダーシップを発揮していったら良いのかは、日々の相互的なやりとりを通した3つの実践が載っていました。
①ビジョンや価値観、気づきを積極的に共有する
②Yes,andで価値を付加する。否定ではなく新たな見方を提供する
③「私たち」という枠組みで物語る
📕読書会の中の話
いくつか印象的だったことをメモしておきます。
1つは、「良いチームは常にメンバーがどこで何やってて、何が残ってるかを声かけあってヘルプしあってるよね」という話。
何かイレギュラーがあったりてこづっている時に「手際が悪い!」と怒るのではなく、「じゃあこっちやっておくね」と自然にヘルプに入れるコミュニケーションが取れているといいよねという話が出ていて、私はヘルプシーキングの考え方を思い出しました。
もう1つは、「多声性」という言葉について。これは、いろんな人の意見を聞くということではなく、自分の中にもいろんな声がある、言葉は常に誰か他人からの借り物だよねという話。
自分の中にいろんな人の声があるからこそ、いろんな人の視点に立つこともできる(まさに変幻自在的存在)。声は宛名性があるという言葉が印象的でした。