研究の全体構想(version2)
研究の問い:子どもたちは体育授業において如何にして対立をした際に納得する合意に至っているのだろうか?
研究の背景:知識創造場面の一つに合意形成するという場面がある。体育の授業における合意形成については、体育科教育学においても教え合いやルールを学習する方法として、その重要性が指摘されてきた歴史がある。
しかしながら、社会構成主義的な学習観へのパラダイムシフトが浸透して昨今の学習指導要領においても対話的な学びが位置付けられていることからも「」というような指摘もなされるようになってきている。
けれども、「合意形成」とは非常に多義的な概念であり、どのような条件が整えば合意に至るのかといったような具体的な議論はなされぬままに対話の機会だけが用意されている側面がある。
特に利害関係者の間で意見が対立した際にどうしていけば互いに納得していける合意形成が測れるかという問題に対する答えは、その環境紛争、医療などといった他の領域においても今だに問われ続けられている問題である。
他方で、上手くいけば、第三の意見が創造されて互いに納得する「解」が得られることもあることから知識創造という側面かの注目もなされている。
いずれにしても、暴力やコンフリクトの問題が今だに解決されないスポーツの世界において、子どもの頃から納得のいくような合意形成を経験することは大切になってくる。
目的:そこで、本稿では合意形成のなかでも子どもたちによって意見が対立する場面に着目して、その際に如何にして納得する合意に至るのかを明らかにする。
使用する概念の整理:目に見える言葉やモノがどのように「コンセンサス」と「アコモデーション」
研究の方法:エスノグラフィー
調査の概要:小学校4年生の体育授業に3ヶ月間
データ:フィールドノート、子どもの振り返り、子どもに対する聞き取りデータ