子どもたちに必要なのは立派な施設だろうか
まず出生率の話だが、ブログ記事に書いたとおり、2005年以降は上昇傾向だ。合計特殊出生率が人口置換水準を割り込んだのは1974年以降で実際に人口減に転じたのが2005年と30年のタイムラグがある。 出生率(の上昇)を支えてるのは主に30歳代である点は注意すべきだろう。また小さい子どもにものを買い与えるのは親や祖父母の世代だ。その財布を巡っての争奪戦は激しく、そこに「本」がどれだけ割り込めるかという話だと思う。ぶっちゃけ、本棚のひとつもない家の(つまり本を読む習慣のない)子が図書館に通ってまで本を読むのか、という話である。
「本好き」というのは概ね2種類に分かれる。すなわち「読書家」と「蒐集家」である。自分で図書館を造ろうなんて考えるのはたいてい後者だ。一方、図書館に通ってまで本を読むのが好きなのは前者に決まってるので、もうそこからギャップが生じている。
一方、子どもの頃の条件付けで図書館を「自習室」として利用している人にとっては、実は本の有無とか選書の基準とかどうでもよかったりする。彼らにとって重要なのは図書館という空間が創りだす affordance である。近年流行りの TSUTAYA 図書館や今回の安藤某が造るという図書館はこのタイプだろう。
個人的には公立図書館を乗っ取って TSUTAYA 化されるよりは蒐集家や建築家がそれぞれの欲望に従って勝手に図書館を作るほうが100倍はマシだと思うので、そういう方向ならバンバンやってもらって構わない。