「markdownはデカイ文字を書くのに便利」ではない
うわぁ。
今どきこんなこと言う人がいる方が驚きだよ。
これって「<Hx> タグは文字を大きくしたいときに使います」って言うのと同じくらいの「大いなる誤解」である。
もはや常識だと思っていたが <Hx> 要素がどのように表現されるかはスタイルに依存している。
断言していいと思うが, markdown で定義されるのはあくまで文書構造であって,それがどのように表現されるかは完全に実装依存である。
HTML に変換する場合に,どんなタグに変換されるかさえも実装依存なのである。
たとえば **強調表示** を大きい字にしたいならパーサや CSS 等でそう定義してしまえば実際に大きい字で表示できてしまう。
もうひとつ。
これはかなり重要なポイントだと思うが, markdown 記法に関する「標準語」は存在しない。
(歴史的に「元祖」と言えるものはある。狭義の markdown はこの元祖の Markdown.pl のみを指す) メディアタイプとしての markdown は RFC7763 で規定されているが, markdown 記法そのものについては例示(example)のみで規定されているわけではない。 つまり,すべての markdown は「方言」なのである。
これらは互換性という点では明らかに不便なのだが,もともと markdown 記法は表現能力としては非常に限られたものしかないので,互換性云々を気にしてもしょうがないという側面はある。
(本当に「書きたいように書く」ならルールを拡張するしかない)
私個人のブログサイトは入力はほぼ markdown 形式だが, Hugo の shortcodes 機能でかなりの部分を補完している(一部は HTML 記述で補完)。 shortcodes 機能を使えばいくらでもルールを追加できる。
じゃあ markdown の何が便利かというと,人によって異なるとは思うが,私にとっては markdown は human readable であるという点に尽きる。
つまり HTML や TeX などに変換しなくても,markdown 記法のルールを知らなくても,そのままプレインテキストとして蓄積し読めるということだ(まぁ文書中に TeX 記法の数式を入れたり PlantUML 記法で UML 図なんかを入れると可読性は落ちてしまうのだが)。 フリーフォーマットの議事録を markdown で書いてそのまま提出することもある。
データ形式が human readable であるというのは近年では重要なポイントになっている。
まぁビッグ・データを扱うなら要件が変わるだろうけど。