ギリシア神話由来のプログラミング用語・プロジェクト名
目についたので、見つけるたびここへ追記することにしました。とてもたくさんあると思いますが・・。
西欧文化の背景にギリシア神話のあることが伺えると思います。
面白いと思うのは、日本人が親しんだ神話の人名と英語での人名は往々にして異なるところです。
JSONさん、あなたはイアソンさんだったのですか・・という驚きがあります。
Sinon.JS
トロイア戦争の登場人物シノン(Sinon)より。木馬の計の時にわざとトロイア側に捕まって木馬を引き入れさせたギリシア側の戦士です。
自動テストのための spy 機能を持つのでこのように名付けられたようです。
Standalone and test framework agnostic JavaScript test spies, stubs and mocks (pronounced "sigh-non", named after Sinon, the warrior).
JSON
Ecma International のドキュメントでは、ギリシア神話のアルゴナウタイの冒険に登場するイアソンを引き合いに出して発音を説明しています。イアソンの英語名は Jason(ジェイソン)で、JSONでは a がひとつ足りません。
Pronounced /ˈdʒeɪ·sən/, as in “Jason and The Argonauts”
JSON 発案者の Douglas Crockford が直接 JSON とイアソンを結びつける発言は見つけられてないのですが、彼は JSON のようなデータ交換フォーマットが生まれた背景として冒頭で Ajax (こちらはトロイア戦争の英雄アイアス)の登場を採り上げているため、JSON もそうかなぁ、と連想されるところです。
In 2005, the idea of Dynamic HTML gained new energy and acceptance when it was renamed as Ajax. One of the key ideas in Ajax is the use of data interchange as a more efficient alternative to page replacement. Applications are delivered as HTML pages. How should data be delivered?
Ajax
エイジャックス(Asynchronous JavaScript and XML)はトロイア戦争の英雄アイアスの英語名となります。
Ajax の名付け親 Jesse James Garrett が明示的に Ajax とアイアスを結びつけた記述はなさそうですが、西欧では一般にこの英雄にあやかって Ajax の名をつけてきた背景があります。
Jeremy Keith, "Bulletproof Ajax" (2003) より "From Ancient Troy to Modern Web Design"
本書によると、Ajax の名は Asynchronous JavaScript and XML の意味で用いられる前にも、英国の戦艦、Flash Gordon(SF映画)のロケット船、車、レコードレーベル、オランダのフットボールチーム、アーケードゲーム,、家庭用クリーナー(床用クレンザー)の名前として知られていました。 Oxford Dictionary of English では、Ajax といえば1にトロイア戦争の英雄(大アイアス)、2にやはりトロイア戦争の英雄(小アイアス。同じ名前の人物がふたり登場します。)となっています。