講演概要
演題「低炭素化に向けた電気鉄道の回生エネルギー有効利用」
ブレーキ時に運動エネルギーを電力に変換する回生ブレーキは、列車や自動車のエネルギー効率向上に大きく貢献してきた。低炭素社会の実現に不可欠な技術の一つであり、さらなる活用が期待される。
電気鉄道では、1971年に営業運転を開始した営団地下鉄(当時)千代田線のチョッパ制御電車など、回生技術は早くから導入されてきた。しかし、その有効利用は古くて新しい課題である。電気鉄道では複数の列車が同一架線を共有するため、回生電力を他の加速中の列車に効率よく融通する必要がある。ところが、一般的な直流電化区間では余剰回生電力を電力系統に戻せないため、回生電力を弱めざるを得ない。さまざまな対策が講じられてきたものの、近年のモータやインバータなど主回路技術の進化により、回生による発電可能量は増加し、加速時の消費電力は減少するという皮肉な状況により取りこぼしはまだ多く、根本的な解決には至っていない。
我々は、交通システムの低炭素化を目指し、電動化やスマート化に関する取り組みを進めている。本発表では、回生エネルギーの有効利用、ひいては低炭素化に向けた新たなアプローチを紹介する。具体的には、発電と消費のミスマッチを解消するための電力貯蔵とエネルギーマネジメント、発電と消費のタイミングを調整する列車ダイヤの最適化などを取り上げる。