金子による述語論理の意味論
$ \gamma
論理式$ Faが例えば「$ aは人間である」を表している($ aは自由変項) この時,例えば$ aに個体定項$ cを入れてみることができる($ cはソクラテスを意味する)
一方,$ aに何を入れれば良いのかわからない($ aに何を入れると論理式を満たすのかわからない)ということも考えられる
例えば,「$ aは殺人犯である」
今,「$ aは人間である」,「$ aは殺人犯である」は対象言語によって語られるものである
論理式が成立するかどうかは,対象言語外の,つまり,メタ言語によって述べられる対象によって充足される
文$ F_cに対して,述語$ Fと個体定項$ cをそれぞれ解釈する
$ F_cを解釈する(真/偽を与える)のではない!(命題論理の解釈関数と区別せよ)
述語の解釈
述語$ Fを解釈すると,対象領域の部分集合を与えられる
$ I_1(F) = \{\text{太郎},\text{花子}\} \subset D_1
個体定項の解釈
個体定項を解釈すると,対象領域の要素,つまり対象が与えられる
$ I_1(c) = \text{太郎} \in D_1
同じ述語,個体定項でも解釈が異なれば($ I_1,I_2)様々な解釈が与えられる
対象領域$ D_1が人間
$ I_1(F) = \{\text{太郎},\text{花子}\} \subset D_1
$ I_1(c) = \text{太郎} \in D_1
他方,対象領域$ D_2が場所
$ I_2(F) = \{\text{東京},\text{大阪}\} \subset D_2
$ I_2(c) = \text{東京} \in D_2
今,次のような方向性がある
充足は,対象から言語(論理式)へ
対象 → 言語
モデルは,言語(論理式)から対象へ(解釈が行われる)
言語 → 対象
これを統合しよう
付値関数$ \eta_jを考える
これはモデルから独立している
$ M_iに対し$ \eta_j($ i, j)
付値関数は,対象$ \gammaがどの$ D_iかが解釈されるのを待って,事後的に自由変項$ aがあてがわれる
$ \gamma = \eta_j(a)だが,左辺から右辺への方向性しかあり得ない
この付値関数を用いて,充足を定式化する
$ M_i \vDash_{\eta_j} Fa
モデル$ M_iの下,論理式$ F_aは,付値関数$ \eta_jによって充足される
モデル$ M_iの下,付値関数$ \eta_jは,論理式$ F_aを充足する
登場人物が3人いる
充足とはモデル,付値関数,論理式の3つからなる3項述語である
厳密には,充足はメタ言語側の概念,他方,論理式は対象言語側の概念である
対象言語であることを強調するために$ Faを$ "Fa"と""で括って(「」でも良い)
$ M_i \vDash_{\eta_i}"Fa"
長すぎるので割愛
任意の$ \eta_jによって$ M_i \vDash_{\eta_j} \phi
$ M_i \vDash \phiと表記する
つまり付値関数に無関係に$ \phiが充足される
任意の$ M_iの下,任意の$ \eta_jによって,$ M_i \vDash_{\eta_j} \phi
$ \vDash \phiと表記する
モデル,付値関数に無関係に$ \phiが充足される
$ \{\phi_1 ,\cdots ,\phi_n\} \vDash \psi
定義
前提$ \phi_1 , \cdots , \phi_n全ての充足する,全ての$ M_i,\eta_jが結論$ \psiを充足する
すなわち,任意の$ M_i,\eta_jについて
$ M_i \vDash_{\eta_j}\phi_1かつ,…,$ M_i \vDash_{\eta_j}\phi_nならば,$ M_i \vDash_{\eta_j} \psi