論理学Ⅱ(山口尚の講義)第2回
様々な命題において,
ある世界$ w_1ではありえるが,別の世界$ w_2ではありえない,のようなことがある
$ w_1で起こり得る現実というのは$ w_1で生じていることを指す
$ w_2で起こり得る現実というのは$ w_2で生じていることを指す
現実というものは世界に対して相対的である と言える
任意の命題$ Aについて
$ Aは必然的である$ \iff任意の世界$ wで$ Aは成立する
$ Aは可能である$ \iff次のような世界$ wが存在する,$ wで$ Aが成立する
1 + 1 = 2というのが必然的真理であるのは1 + 1 = 2があらゆる世界で成立するから
逆では?
様相(様相論理)が単純な量化に置き換えられるかどうかという形而上学な問に今回は答えることは出来ない 世界の間に見える/見えないの関係を入れる
https://gyazo.com/08788326252ec79aaddeeb13617b2d54
資料より
今
世界$ @からは,
$ @,w_1,w_2の世界が見える
$ @から観測可能な世界$ @,w_1,w_2全てで首相 = 菅義偉の関係が常に成り立っている
これより次の主張が言える
$ @では首相 = 菅義偉であることは必然である
一方世界$ w_1からは,
$ w_1から観測可能な世界$ w_1,w_3において,首相 = 菅義偉の関係が成り立っていない世界がある
これより次の主張が言える
$ w_1では首相 = 菅義偉であることは必然ではない
$ Aは命題,$ wは世界とする
$ Aが$ wで必然である$ \iff$ wから到達可能な任意の世界$ w'において$ Aが成立している
$ Aが$ wで可能である$ \iff$ Aが成立する,$ wから到達可能な世界$ w'が存在する
$ wから$ w'に到達可能であることを$ w\textsf{R}w'と表記すると,更に次のように表記できる
$ \square Aが$ wで真$ \iff$ w\mathsf{R}w'となる任意の$ w'で$ Aが 真
$ \Diamond Aが$ wで真$ \iff$ Aが真である$ w'が$ w\mathsf{R}w'として存在する
今このような状況下で様相を量化で考えてみる
https://gyazo.com/f034b53a4fee818eae31ae2dc74bf9fb
資料より
今
$ w_1について,$ w_1\mathsf{R}w'である$ w'は$ w_1,w_2である
$ w_1について$ p_1は真
$ w_2について$ p_1は真
したがって
$ \square p_1が$ w_1で真
一方,$ w_2については$ w_3について$ p_1が偽なので,
$ \square p_1が$ w_2で偽
$ \square p_1が$ w_3で偽
更に
$ w_1で$ \square\square p_1が真か?
これは,
$ \square(\square p_1)が$ w_1で真
$ \iff$ w\mathsf{R}w'となる任意の$ w'で$ \square p_1が真であるかをチェック
先の計算で$ \square p_1が$ w_2で偽であることは確かめたので,
$ \square\square Aは$ w_1で偽
結論としての図
https://gyazo.com/f04a5c3df928e51b61bea9a72512ae1e
これより,$ \square p_1 \to \square\square p_1は$ w_1で偽あると結論づけられた