極私的、2020年の名盤15選
この記事はホシハウスアドベントカレンダーの14日目の記事です。昨日はこばゆーの「2020年の旅先を写真で振り返る」をお届けしました。このフットワークの軽さは羨ましいですよね。カメラ機材は重そうですけど…レンズとか。腰には気をつけて。
てなわけで、2020年はあっという間でした。今年はアンビエントにハマったり、山下達郎・大瀧詠一にハマったりで、過去の音楽を掘り下げることが圧倒的に多く、今年リリースの音源にはあまり触れることが出来ていませんでした。
それでも時々は最近どんなん出てんのかな〜とPitchforkやらAlbum of the Year(海外のクソ便利な音楽レビューまとめサイト)やらを覗いては新譜を漁ったりもしていたので、その中からこれはと感じた15枚をピックアップしました。
題して、「極私的、2020年の名盤15選」。
大したコメントはできませんが、どのアルバムも内容は折り紙つきですので、もし気になる物があれば是非聴いてみてください(一枚を除き全てサブスクで聴けます)。
Sign o' the Times (2020 Remaster) / Prince
https://youtu.be/T_HXcQgcwiw
いきなりリマスター盤から始めて申し訳ないんですが(オリジナルは1987リリース)高校生くらいから聴き入ってたアルバムが遂にリマスターされたということで流石にテンション上がりました。
これまで流通してたCD盤はさすがに時代が時代なので音圧がかなり低く、私としてはそれで聴き込んで慣れてるので良いんですが、そこが人に薦めづらい要因だったので、少しは布教しやすくなったかなと思います。(それでも内容のとっつき辛さはありますが)
Instrumentals / Adrianne Lanker
https://youtu.be/JswKBvKtGJo
USインディーフォークの雄、Big Thiefのフロント、Adrianne Lenkerの作品で、長尺のアンビエントなトラックが2曲収められています。歌物を集めた「Songs」と同時にリリースされました。正直あまりBig Thiefはそんなに聴いてこなかったんですが、今年はアンビエントをよく聴いていたこともあって(この話は来週のアドベントカレンダーで書きたいと思います)、すっかり気に入ってしまいました。特に2曲目の「mostly chimes」、無限に聴いていられますね。。。美しい。
Soul Lady / YUKIKA
https://youtu.be/67jSYCSrnE4
曲がいいですね。そして顔もいいですね(最高)
韓国を拠点に活動している寺本來可
さん(アイドルマスターKRにも出てたりします)のファーストソロアルバムです。80年代ジャパニーズシティポップへのオマージュを重ねに重ねた、高品質な楽曲が並びます。一曲目が「From HND to GMP」(羽田空港から金浦空港)ということで、"日本のシティポップを踏まえたK-POP"と"日本から韓国に渡った寺本來可"というダブルミーニングのコンセプトアルバム風味になっているのも素晴らしい演出だと思います。
僕の中の少年(2020 Remaster)/ 山下達郎
https://youtu.be/lWWmEmyXsAQ
プリンスに続きこちらもリマスター盤です(オリジナルは1988リリース)
冒頭にも書いた通り、今年は山下達郎にどハマりしていたわけですが、ほぼ全てのアルバムを聴いた中で、個人的に1番好きだったのがこの「僕の中の少年」でした。なので、今年リマスター盤が発売されると聞いたときは本当に嬉しかったです。収録曲の良さは言わずもがな。
Miles / Blu & Exile
https://youtu.be/8Uynb-CyTUk
タイトルからも示唆されてますが、ジャズを始めとするブラックミュージックへの愛に溢れたヒップホップアルバムです。エレクトロやトラップが主流のヒップホップシーンにおいて、こうしたブームバップ的なプロダクション(こういう言い方が適切かは微妙ですが…)は逆に新鮮。
前夜 / ピチカート・ワン
ピチカート・ファイブで知られる小西康陽が自作曲(ピチカート時代のものや、ここ数年提供曲を含む)を自らボーカルを務め披露したライブの実況録音盤です。お世辞にも歌が上手いとは言えないんですが(バックの演奏は鉄壁)、やはり曲のことは作った本人が一番よく分かっているということなんでしょうか、妙に真に迫った演奏・歌唱が続きます。
ブルードリーム / ランタンパレード
https://youtu.be/8xCXV2lPfpY
続いてこちらもライブ盤。ランタンパレードの曲はちょくちょく知っていたんですが、このライブ盤を聴いてすっかりファンになってしまいました。サンプリングを主軸にしていた時代、バンド編成の時代、両方の曲が地続きに鳴らされている自然さに驚嘆しつつ、アレンジの切り口は違えどあくまでも楽曲の強度は常に一貫していたという事実に気付かされます。
Circles / Mac Miller
https://youtu.be/aIHF7u9Wwiw
2018年に薬物の過剰摂取により、26歳の若さで死去したラッパー、マック・ミラーが最前に制作していたアルバムを共同プロデューサーだったジョン・ブライオンが引き継いで完成させたアルバムです。白眉はなんといっても「Good News」。
倦怠と絶望をないまぜにした極めて内省的な心情の吐露はラッパーという枠を飛び越えて、ニール・ヤングやエリオット・スミスといったシンガーソングライターの系譜に連なるものを感じます。
If I Am Only My Thoughts / Loving
https://youtu.be/g3AJQe6FQzE
この緩やかなグルーヴがとても心地よいですね。
ベッドルームポップにも通じる、程よくローファイに仕立てたプロダクションですが、陳腐さを感じさせないのは楽曲の強さと、垣間見える古典へのオマージュでしょうか。
The Third Summer of Love / ラブリーサマーちゃん
https://youtu.be/TQPFF9rIUSs
90sインディーロックへの限りない愛と近似に満ちたロックンローアルバムです。それでいて懐古的な空気を全く感じさせないのは、凄いとしかいいようがありません。
このアルバムを皮切りに日本のインディーシーン90sリバイバルが来るとみても(もうとっくに来てるような気もしますが)全然言い過ぎじゃないと思います。
Moveys / Slow Pulp
https://youtu.be/QkKpbkpwv0U
アメリカからも90sインディーに通じるこの一枚。
このアルバムもそうなんですが、USのギターロックっていうのはなんでしょう、どこか乾いたというか、枯れたニュアンスがありますよね。(カントリーやフォークからの流れでしょうか)
聴いてるとクソ広い道路とか、荒野がなんとなく浮かぶような、そんな曲が大好きなんですが、この「Idaho」もそんな一曲。
Have We Met / Destroyer
https://youtu.be/06ZLNLz2yGI
最初聴いた時は正直わけが分からなかったんですが、何周かするうちに少しずつ癖になっていきました。AORが下敷きにあるという意味では過去作の「Kaputt」に近いんですが、よりリズムが強調されているあたりに時代性を感じます。
…とかいいつつ、この「Cue Synthesizer」が好きすぎるだけっていうのもあるんですけどね。このリズム、痺れます。
Youth Pastoral / Ben Seretan
https://youtu.be/ZiX2kh80NdY
Twitterでたまたま知り、なんとなく聴いてみたところこれが大当たり。こういう思いがけない出会いがたま〜にあるので、常にアンテナは張っていたいものです。ニューヨーク在住のシンガーソングライター、Ben Seretanの作品です。静謐なクリーントーンの轟音ギターにフォークな歌世界が絡みます。あと何と言ってもこの声。ニール・ヤングやダニエル・ジョンストン(昨年惜しくも亡くなってしまいました…)を彷彿とさせる、鼻にかかったハイトーンボイスが強烈な印象を与えます。
蕾 / Climb The Mind
https://youtu.be/_mvwL6KttM8
オルタナマナーに則ったサウンドの上に、誕生日を迎えた女子目線で私小説的な世界観が炸裂します。どうやったらこんな歌詞を思いつくんでしょうか。。本当に替えの効かないバンドだと思います。唯一無二。冒頭に書いたサブスク配信のない一枚がこれにあたります。ということで久々にCDを買ったんですが、歌詞カードを眺めながら曲を聴くという、10年前は当たり前にやってたはずの行為がとても新鮮でした。
You Already Know / Ted Poor
https://youtu.be/otsD74TCQQo
やべえ、あと一枚どうしよう…という所に滑り込みで良い音源に出会えました。
アメリカのジャズドラマー、Ted Poorのソロ作です。曲と演奏も素晴らしいんですが、録音というか全体の音響がかなり好みなんですよね…私が好きなジャズのアルバムって割とそういう感じなんですけど。かなりふわっとしてますので、こういうところ、もっと上手く説明できるようになりたい。
ということで、「極私的、2020年の名盤15選」でした。割とロック寄りな選びになりました。今年も良い作品が沢山あり、聴いていて楽しかったです。
来年はアンビエントを更に掘り下げつつ、ジャズも色々聴いてみたいなと思ってます。今まであまりジャズは聴いてこなかったので。。。
あとレコード集めてみたいですね。まずはプレイヤー買うとこからですけど。
明日の記事はホシくんの「今年やったゲームのレビューをする」です。お楽しみに。