『営業と詐欺のあいだ』
幻冬舎
2013/5/31
モノが売れない時代でも一流の営業マンは売りまくる。彼らは、絶妙なタイミングで商品を薦め、必殺の決めゼリフを持ち、いつの間にか絶大な信頼感を勝ち取り、さらには「あなたは特別な人だ」と自尊心をくすぐりながら相手を気持ちよくさせ、必要のないモノまで買わせてしまう。商品説明などしなくとも、顧客は満足し、騙されたと訴えることもない。詐欺師と一流の営業マンは紙一重。十倍買わせる、きわどい営業のコツと心得を伝授!
### きっかけ、期待
いい音楽が売れるんじゃない。都合のいい音楽が売れるんだ。
これは「ウケる音楽」とはどういうものか、という話の中で出てきたセリフなのですが、ものすごく本質を突いています。映画やドラマの宣伝のために、タイアップされた主題歌を猛烈に売り込む。あるいは、学校や職場やSNSで「こんなカッコイイ音楽を聴いている」とドヤ顔するための曲は、売れる。そういった曲は、音楽的に良いかどうかではなく(その要素も多少はあるでしょうが)、あるコンテキストにおいて「都合がいい」ために対価が支払われているわけです。
あるいは、別の例でいえば。
数年前から日本の家電メーカーが凋落の一途にありますが、彼らは本質的に「良い商品」を作って売ろうとしています。少なくとも、高度経済成長期やバブルのときは、そうしてました。昔はそれでよかったのかもしれませんが、現代では「良い商品」なんて重いんです。良いかどうかの判断を自分でしなきゃならなくなるから。それよりは「早い、安い、旨い」で理由付けができる格安中国製品が買われるわけです。※
※現在、中国に対する認識はそれでは甘くて、規模もあり、
音楽に限らず、なにか商品を売る場合も、当てはまるところの多いフレーズなのではないでしょうか。
で、そんな『作詞少女』でオススメ文献として紹介されていたので、読んでみたというわけです。
### 印象に残ったところ
#### 第1章 交渉術――世界一のセールスマンが考えているたった一つのこと
*ハイライト | 位置: 37*
セールスと詐欺。両者は違うものでありながら、見た目はかなり近い。では、その境界線は? その疑問をあらゆる「お金を奪う」テクニックから考えてみるのが、本書の狙い
セールスがお客に伝える内容は、以下の3点に集約されます。
*位置: 232*
1 「メリット」……この商品を買えば、あなたは幸せになれます
2 「信頼」……たくさんある商品の中で、この商品こそがあなたの求めているものです
3 「価格」……あなたは適正な価格で買おうとしてい
ここで注目すべきは、「メリット」の後半部分です。
セールスが売りたいのは取扱う商品ですが、そのときお客に伝えるべきは「あなたは幸せになれます」ということ。優秀なセールスマンほど、売りたい商品については、ほとんど語らないことも多いようです。
なぜなら、消費者にとっては、モノやサービスの内容がどうであっても、自分の生活や仕事をより良くしてくれるものか、「自分を輝かせてくれるもの」かどうか、が最大の関心事だから。セールスはそのことをよく理解しているので、どう話せばお客の心が動くのかというテクニックを駆使するわけです。
それは、「買い手は、相手の商品がどれほど素晴らしいかには、全く興味がない」ということです。何に興味があるか。それは前節で説明した「この商品は自分をいかに輝かせてくれるだろうか」ということだけなのです。
位置330
### 第1章
黄色のハイライト | 位置: 8
現代社会は、人と人とをお金でつなげることにより成立しています。他者に何かを提供し、それと引き換えにお金を得る。そしてそのお金を使って欲する商品を買う──。老若男女、ビジネスマンから宗教家まで、何らかの売買に関わりながら生きています。 衣食住、娯楽から情報にいたるまで、すべてお金に換算される現代にあっては、他者からお金を奪うこと、奪われることは、生きていくためにはどうしても必要なこと
セールスと詐欺。両者は違うものでありながら、見た目はかなり近い。では、その境界線は? その疑問をあらゆる「お金を奪う」テクニックから考えてみるのが、本書の狙い
黄色のハイライト | 位置: 92
人は、お金を奪うこと、奪われることなしには、生きていけないのです
黄色のハイライト | 位置: 232
1 「メリット」……この商品を買えば、あなたは幸せになれます 2 「信頼」……たくさんある商品の中で、この商品こそがあなたの求めているものです 3 「価格」……あなたは適正な価格で買おうとしてい
黄色のハイライト | 位置: 241
商品の良さなど、彼はあまり語っていません。彼が語ったのは、その商品の良さが、私にいかに良い生活をもたらしてくれるかということ
黄色のハイライト | 位置: 247
彼は自分の店について、遠くのお客もたくさんいる、と言いました。そして、そのクルマの機能について、それをすでに買ってくれたお客が良いと言っている、とも伝えました。これは、他のお客大勢の声を借りて、「大丈夫。あなたの選択は間違っていないよ」と信頼させるためのもの
黄色のハイライト | 位置: 258
売れるセールスマンは「いい人」に
黄色のハイライト | 位置: 283
さきほど、買い手の心理原則を三つ挙げました。それに追加して、購入を促進させるテクニックも三つあります。 1 とにかく相手のためを思っているということを演出する 2 それによって、できるだけ商品を手に取らせる 3 手に取らせることによって、商談を長引か
黄色のハイライト | 位置: 291
最初はまったく買う気がなかったのに、長時間商品を見ていると買いたくなってしまう。商品について長い売り込みを聞いていると、いつしか「一つだけなら買ってみるか」と思ってしまう。それは、私たちが無意識のうちに「ここまで時間を使ったんだから、買わないとムダな時間を費やしたことになってしまう」と感じてしまうから
黄色のハイライト | 位置: 316
就職学生に圧倒的人気を誇る『面接の達人』シリーズの著者の中谷彰宏さんは、学生が語ることは二つしかないと言います。それは、これまで何をやってきたかという「自己紹介」と、これから何をやりたいかという「志望動機」だけだと。 その二つを通して、「自分がその企業で将来活躍できる人物である」ことを伝え、「自分を雇えばトクをする」と思わせるだけなのです。面接時の発言はすべて、メリットを説明するものでなければいけませ
黄色のハイライト | 位置: 330
それは、「買い手は、相手の商品がどれほど素晴らしいかには、まったく興味がない」ということです。何に興味があるか。それは前節で説明した「この商品は自分をいかに輝かせてくれるだろうか」ということだけなのです。 その商品が自信作だろうがなんだろうが、買い手には関係がありません。買い手は無意識のうちに、その商品から受ける利益だけを考えているのです。 一流のセールスマンは必ず買い手のメリットをいやになるほど強調してくれます。商品のすごさを説明することすらほとんどありません。ここに絶望的な差があり
黄色のハイライト | 位置: 341
彼らの手法は、お客に買わせるまでに次のようなステップを踏みます。 1 メリットの提示……その商品が買い手をいかに輝かせてくれるかを伝える 2 希少性の提示……目の前の商品数が残り少ないことを伝える 3 機会損失の提示……買わなければ、むしろ損してしまうことを
黄色のハイライト | 位置: 358
では、この「希少性」はなぜ昔から繰り返し使われているのでしょうか。 それは、希少性によって買い手は「自分の自由が脅かされる」「選択肢が奪われる」と無意識に思ってしまうから
黄色のハイライト | 位置: 364
そして、最後のとどめとして「機会損失」を理解させます。 これをもっと分かりやすく言うと、「買うか買わないかを迷っている場合じゃない。買わないことが損失なんだ」と理解させること
黄色のハイライト | 位置: 393
この話を聞いて、あなたは「しょうもないセールスマンだな」と思ったかもしれません。しかし、自分が販売している商品よりも、お客のことを知っているほうが、実は圧倒的に売れるものなのです。 ここで重要なのは、本当に理解していることではなく、買い手が「このセールスマンは自分のことを理解してくれているな」と思い込めばよい、ということです。たとえ、まったく理解していなくても、買い手にそう思わせればよいということは強調しておきましょ
黄色のハイライト | 位置: 399
信頼を形成するために、セールスマンがお客について知るべきことは三つです。 ・「お客の属性」……どんな組織に属する、どんな立場の人か ・「お客のセンス」……どんな能力・才能・趣味・タイプの人か ・「お客の敵」……どんな人間関係を持った人か この三つを、自分は知っている、分かっている、と思わせればお客と信頼関係を形成することができ
黄色のハイライト | 位置: 415
人間は自分の内なるセンスや才能が、世の中に正当に評価されていないという感覚を常に持っています。だから、それを評価してあげるの
黄色のハイライト | 位置: 437
サラリーマンは誰しも、社内を自分の意思だけで動かすことはできません。それは社長も同じ。一個人としても、家族がいます。 そういうときに、一流のセールスマンは必ずこう訊いてきます。「 ○○ さんご自身としてはどう思われますか?」。答えが「個人的には非常に魅力的なオファーだと思います」「私としてはなかなか良いと思います」というものだったら、お客の社会的立場と個人を分離させることに成功しています。 ならば次の質問はこうです。「何か社内でお困りのことがあるのですか?」とか「どなたか社内で反対なさる方がいらっしゃるのですか?」。この問いに対して「そうなんですよ……」とお客が愚痴を話し出したら、チャンス
ピンク色のハイライト | 位置: 444
愚痴を聞くことは共同の敵を作り上げるのに、もってこいだから
黄色のハイライト | 位置: 477
相手のことを信頼する決め手は、「相手の人生を知っているかどうか」だから
黄色のハイライト | 位置: 483
自分をよく理解してもらうためには、 (a)なぜ今の仕事に就いているかを、使命感を絡めて説明する (b)相手と実は近い関係にあることを説明する (c)誰もが知っている有名企業と仕事をしていることを説明する ということが定石とされてい
黄色のハイライト | 位置: 492
こういう偽善的なことをあえて書いたのは、「自分を理解させる」ことを実演したかったからです。 相手のことを理解したと思わせた後に、セールスマンは自分のことを理解させようとします。人間は、相手のことをまったく理解できない段階では、相手に対して恐怖にも似た感情を抱いています。売り手からすれば、その状況こそ打破されなければいけませ
黄色のハイライト | 位置: 497
一流のセールスマンは、人付き合いが非常に上手です。彼らは個人的なことをよくさらけ出すことがあります。 ・どんな子供だったのか ・どういうエピソードがあって、それがどんな使命感を生んだのか ・その使命感がどのように現在の仕事につながっている
黄色のハイライト | 位置: 530
この権威性は一種の仮面です。仮面の下は、ダイヤモンドの場合も石ころの場合もあります。ただし、この権威性に人間が弱いのも
黄色のハイライト | 位置: 540
一つのテクニックは、もう相手が買うことを前提にすること
黄色のハイライト | 位置: 563
これは、人間は一度試してみた商品を替えることはまれだという事実に基づいてい
黄色のハイライト | 位置: 637
海外では、このような読心術の一つを「コールドリーディング」と呼びます。何を言っても当たることを相手に投げかけ、そして質問を重ね、相手から情報を引き出し、その情報をもともと知っていたかのように見せかけ、相手からの信用を増すテクニック
黄色のハイライト | 位置: 640
ショットガンニング」というものもあります。これは、どうとでも捉えることができる言葉をひたすら相手に多量に投げかけるテクニックです。たくさん言われていれば、そのうち「当たっていそうだ」と思ってしまう箇所も出てきますよね。話者が相手のそういう反応を察知できれば、その点を強調し、あたかも最初からすべてお見通しのように振舞うの
黄色のハイライト | 位置: 660
1 自分にしか興味が
黄色のハイライト | 位置: 661
2 そのくせ自分のことが分から
黄色のハイライト | 位置: 663
3 どこか幸せじゃ
黄色のハイライト | 位置: 664
マーケティング用語で、企業活動を分析する「3C」という言葉があります。これは、自社商品のマーケティングを考えるときに、三つのCである顧客(Customer)、自社(Company)、競合相手(Competitor)を考えましょう、ということです。 そういう言葉があるのに、実際はほとんどの企業で「自社(Company)」のことしか把握していない、といいます。「ウチはこうだ」「ウチのやり方だ」といって、「顧客(Customer)」のことや「競合相手(Competitor)」を考えていないの
青色のハイライト | 位置: 683
ケン・グリムウッドの有名なSF小説に『リプレイ』があり
黄色のハイライト | 位置: 711
ただ、あとで分かったのですが、私の悩みは同業他社の悩みとほとんど一緒だというの
黄色のハイライト | 位置: 718
人間は自意識過剰の中で生きています。自分のことにしか興味がなく、しかもどこか自分が不幸だと思っている。 自分のことを言い当てようとしている人がいるときには、「それってみんなに当てはまるんじゃない?」というクールな視点を持っておきたいもの
黄色のハイライト | 位置: 770
的に当然であることを当然と思わせない ・濡れ手で粟の儲け話を人はどこかで望んでおり、その願望を利用する ・この時期を逃すと取り返しがつかないことを強調
黄色のハイライト | 位置: 796
人々は、「科学では解明されていないことがたくさんある」といって、神秘的なことを信じたいものですからね。 このたぐいのパフォーマンスにありがちなのは、 ・「偶然」を「必然」として認識させる ・その「必然」をパフォーマーの未知のパワーで創出したのだと思わせる ・非論理的なことを信じたがる人間心理を利用している というもの
黄色のハイライト | 位置: 830
抗ガン剤治療を止めろ、と言われた人がその通りにしたとします。すると、高い確率で、「治った気になる」そうです。それは、そもそも抗ガン剤投与というのが、痛みを伴うものなので、それを止めるだけで痛みが緩和し、あたかも教祖のおかげで病状が緩和・治癒 した錯覚に陥るから
黄色のハイライト | 位置: 853
科学が万全ではないと信じるのはよいでしょう。でも、科学やテクノロジーのことをほとんど知らないのに、「科学で証明できていないことがある = 科学は100パーセント信頼できるものではない」と結論付けてしまうのはあまりに早計だと思うの
黄色のハイライト | 位置: 864
答えは、「ただ、ひたすら悩みを聞く」ということ
ピンク色のハイライト | 位置: 874
さて、自分に自信がない人たちの特徴は次の通りです。 ・自分だけが特別不幸だと思っている ・その不幸を分かってくれる人を求めている ・そして、そろそろ運がまわってくると思って
黄色のハイライト | 位置: 881
なぜなら、彼は心からお客を愛していたからです。お客のことが好きだから、お客もついついその愛情に応えたくなってしまう。そういうWin‐Winの関係です。 これは心理学の用語で「好意性」と呼びます。人は、自分に好意を持ってくれる人のことを、ついつい好きになってしまうの
黄色のハイライト | 位置: 887
1 正面から褒めるのではなく、他者からの伝聞として褒める 2 相手の自尊心を理解する 3 相手が言ったことを覚えて
黄色のハイライト | 位置: 902
相手がふとしたときに口にした些細なことを記憶している、というのは非常に効果的です。相手を喜ばせるには意外性が必要
黄色のハイライト | 位置: 906
メモは自分のためではなく、相手のためにこそあるのだ、ということを私は学びまし
黄色のハイライト | 位置: 911
人間は複雑に見えながら、悩みや欲望、言われて嬉しい言葉、などはかなり似通っているのです。だから、お金を奪う側の人たちは、人々のその類似性を利用しようとします。もちろん、褒められることは悪いことではありません。ただ、褒められることと、財布を開く商品の価値を見極めるのは、別問題だという視点は持っておきたいもの
黄色のハイライト | 位置: 935
この売り手たちの特徴として挙げられるのは、当然ながら、実際の商品を手に取らせて販売することができないため、「画面上の情報だけで買い手をその気にさせる能力に 長けている」ことです。 では彼らは、どうやって買い手をその気にさせるのでしょうか。 それは、買い手の次のような心理・特性を理解しないことにはありえません。 1 理屈ではなく、見た目・感情で購入を決定する 2 商品を選ぶことが、実は苦手である 3 無料で何かをもらったら、ついお返ししたく
黄色のハイライト | 位置: 989
なぜ「選定基準」を教えるかというと、「人は何かを選ぶことが非常に苦手」だからです。誰かのアドバイスがなければ対象物の良し悪しはわからないといってもよいほどです。ピカソの絵は素晴らしいという人がいます。でも、それって、本当にそう思っているでしょうか? 世間の評価が高いからそう思っていませんか?
青色のハイライト | 位置: 993
米山公啓さんの著作『騙される
黄色のハイライト | 位置: 995
「選定基準」を教えるということは、相手の先生になるということです。先生になることができれば、必ず相手はついてきます。すなわち、あなたの商品を買おうとするでしょ
黄色のハイライト | 位置: 1,003
七つの手順があるとしたら、二つくらいまで
黄色のハイライト | 位置: 1,045
売り手のことを理解させるのは、インターネット上でも重要なの
黄色のハイライト | 位置: 1,052
価格についての買い手の不安を払拭する必要があり
黄色のハイライト | 位置: 1,078
これは、そもそも日本人が貧乏物語や苦労話・逆転劇が好きだという特性に加えて、そんな社会の底辺にいたような人が、今では一般人をゆうに超しているということに嫉妬心を感じるからです。人生の一発逆転劇は、 羨望 とともに「こいつだけにいい思いをさせてなるものか」と人々を煽り、商品の購買欲をそそり
黄色のハイライト | 位置: 1,084
多くの実績データが示すものは、その印象とは逆に「説明文は長いほど売れる」というものです。それは、おそらく読者が一定量以上のものを読まないと商品に納得できないという理由に加え、それだけの文章を読んだ時間を無駄にしたくないという気持ちが生じてしまうから
黄色のハイライト | 位置: 1,124
さて、まずウェブ販売を紹介したのは、その容易さと、それゆえの販売者数の急増があったからです。サーバーとドメインを契約するだけで、すぐに世界中の人々に何かを販売し始められるということは、インターネットが起こした革命の一つ
黄色のハイライト | 位置: 1,204
自分の悪筆を 諦めていたところ、あるエッセイで「高尚な内容を書くよりも、綺麗な字を書けたほうが、男性は知的に見える」と読んだ瞬間に考えを変えまし
黄色のハイライト | 位置: 1,322
のお願いを断れない ・人を信じてしまう ・脅しに弱い 残念ながら、一つでも該当する項目がある人は、潜在的詐欺被害者といえます。もっと言えば、「いい人」なのでしょう
黄色のハイライト | 位置: 1,406
そう、このテの詐欺は第三者から記述されれば、すべて「典型的で、ありふれた」「誰も騙されないようなもの」なの
黄色のハイライト | 位置: 1,410
ます。その詐欺をはねつけるものは一体何でしょうか。知識だ、と私は思います。 詐欺の時代にあって、自分自身を助けてくれるもの。それは、詐欺の種類をできるだけ知っておくことです。生活の中で、似たような経験をしたときに、引き出しから取り出せる知識。それこそが、私たちを助けてくれる守護神になってくれるはず
黄色のハイライト | 位置: 1,508
一点目。悪質商法の買わせるテクニックの中で最も有効なのは、「なぜ買わないのですか?」とひたすら訊くことだと言い
ピンク色のハイライト | 位置: 1,513
だけど、「~できない」ということを証明しようと思えば、すべての可能性をつぶさなければいけないのです。 だから、「なぜ~できない・しないのですか?」という疑問文を投げかける人がいたら、あまり信用しないほうがよい、といえます。これは、かなり重要なことだと私は思っています。
黄色のハイライト | 位置: 1,520
私は「あ、そんなこと言いましたっけ? 言ったかもしれませんが、それはよく考えれば間違いです」と言うように努めていますが、それは意識ゆえです。人はなかなか過去の発言を完全否定できませ
黄色のハイライト | 位置: 1,527
彼らの誘導に負けないコツは、相手のペースに巻き込まれないことです。それにつきます。「~できない・しない」ということを説明する義理と義務はこちらにはありません。自分の発言が一貫している必要性はないのです。 私はこのような売り込みを受けたときには、「そんなことは説明しません」「矛盾していますが、何か?」と言うようにしてい
黄色のハイライト | 位置: 1,555
世の中の営利団体が、無作為の人に向けて、慈善活動などしないことは心しておきましょ
黄色のハイライト | 位置: 1,557
ここだけの話」という常套句は、常に不特定多数に向けて発するものです。「ここだけ」である可能性はほとんどありませ
黄色のハイライト | 位置: 1,567
知人でもないのに、善意を仰ぐのは、常識人のすることではありませ
青色のハイライト | 位置: 1,602
「ビジネスでは、その仕組みを作った人以上に儲けることはでき
黄色のハイライト | 位置: 1,617
これは、私を含む男性にとってはつらいことではありますが、「自分がそんなにモテるはずはない」という事実を直視すれば、そんなにウマい話などないことが分かり
黄色のハイライト | 位置: 1,836
これまで紹介してきた洗脳の手法は、古典的なもので、時代により形を変えながら、さまざまなバージョンで発展しています。そのプロセスは、 ・「解凍」……人格を破壊する ・「変革」……新しい教義の注入 ・「再凍結」……新たな教義を強化し、以前の自分を否定させる という三つに分解でき
黄色のハイライト | 位置: 1,853
いつもの場所、とは自分のアイデンティティーを補完してくれる場所でもあります。逆に異空間とは、自分のこれまでのアイデンティティーを失わせるものです。現在、若者の中でブームである「自分探し」が、海外などの未知の場所への旅立ちが条件とされていることは示唆的です
黄色のハイライト | 位置: 1,921
しかし、彼の顔はマジでした。低賃金であっても、仕事が愉しければそれでいい。社長は言う。「夢は実現する」。その将来に向かって歩んでいる自分に、なぜお金など必要だろうか。そう語っていたのです。 この種の人を前に、私たちは反論できないという宿命を背負っています。 ただ、「夢を持って働くこと」と「低賃金に甘んじること」はイコールではない、と思い
黄色のハイライト | 位置: 1,971
というのも、少なからぬセールスマンが心の底から、「自分が売っているものは素晴らしい商品だから、それを分かってほしい」と思って、その純粋な善意からセールステクニックを繰り出しているのです。善意が昂じて詐欺的な手法が使われていることだってあり
黄色のハイライト | 位置: 1,994
ここで最も役立つのは、売り手たちに「勧誘開始前に、事業者名、勧誘目的である旨などを消費者に告げること」を義務付けていることでしょ
黄色のハイライト | 位置: 2,020
相手がどんなに正しいことを言っていそうでも、まずは「そんなに正しいというのであれば、ちょっと待ってくれ。消費生活センターに相談してみる」と伝えてやりましょ
黄色のハイライト | 位置: 2,030
そんな経験から結論付けた内容は、やや醒めたことではありますが、 1 無料で商品を配るだけのビジネスモデルなど存在するはずはない 2 「絶対に儲かる方法」などというものは存在しない。また、万が一あったとしても、見知らぬ他人に教えるはずがない 3 そんな簡単に幸せを与えてくれる第三者など存在するはずがない。すぐに手に入る幸福・愛など存在しない 4 自分だけが特別な存在であるはずはない。だから「あなただけです」「1万人の中から選ばれました」等の言葉は信じてはいけない 5 メリットがあるということは、その分リスクも内包している というミもフタもないもの
黄色のハイライト | 位置: 2,041
共産主義者は、社会の改革を願い、今ある富の分配を考えました。富の分配さえ考えれば、国民の生活が一変するということは、 抗いがたい魅力的な思想ではあったのでしょう。ただ、それは富のパイ自体を大きくすることには無頓着であり、頓挫しました。 それに対して、キャピタリストは、今の富を生産性の改善によって、いかに増大していくかを考えてきました。それは一見地味ながら、地道に改善していった結果、富のパイは拡大していき、結果として多くの人に幸福をもたらしたのは歴史が証明した通り
黄色のハイライト | 位置: 2,060
「今、お悩みのことはありませんか?」に対して「この電話をいかに切るか、です」というフレーズは相手を絶句させるには有効
黄色のハイライト | 位置: 2,062
ICレコーダーをドア横に用意しておきましょう。そして、電話は録音機能をいかにして使うかを熟知しておかねばなりませ
黄色のハイライト | 位置: 2,073
一番ダメなのは、相手の議論に一つ一つ応えてしまうこと
黄色のハイライト | 位置: 2,078
非礼には非礼で返すしかない、ということも覚えておきましょう。 あまりに失礼な売り手がいたら、「警察を呼びますよ」ではなく、本当に呼んでしまって
黄色のハイライト | 位置: 2,099
その後、私が学んだことは、カルト宗教とは、理論体系が異常に発達した団体だということです。「こう言われたら、こう返せ」「こう疑われたら、こう反論する」という説明ロジックが極限までに研ぎ澄まされています。それは、何の形もないものに、人を惹きつける必要性から生じたものでしょう。そして、そこから私が得た結論は、「カルト宗教家とはそもそも議論をしてはいけない」というものでし
黄色のハイライト | 位置: 2,105
カルト宗教からは、まず逃げるという必勝法があることを覚えておきましょ
黄色のハイライト | 位置: 2,123
堀江元社長は、「世の中にカネで買えないものなんて、あるわけない」と言ったとされます。本当に言ったかどうかに、私は興味を持っていません。ただ、その程度ならば言いそうだと判断されたこと、そして、ヒステリックな反応を得てしまったこと、は事実でしょ
黄色のハイライト | 位置: 2,153
この資本主義社会で人はみな、お金という記号を使って、その先に自らの願望を投影してきました。現代では少なからぬ喜びは、お金を使うこと、「お金を奪われること」によってもたらされ
黄色のハイライト | 位置: 2,157
ここで一つ説明を加えましょう。堀江元社長の発言、「世の中にカネで買えないものなんて、あるわけない」の意図は、この世の中でお金だけが無色透明で、誰も差別しないものだ、ということだったよう
黄色のハイライト | 位置: 2,171
ここまで私が例に挙げてきたセールスマンたちは、1円の価値もないものに、100円という値札をぶら下げて、買い手に差し出すこともありました。売買を、「お金という記号を使った、等価な交換だ」と思い込んでいるうちは、そのことに気づきませ
黄色のハイライト | 位置: 2,177
お金はもしかするとたしかに「記号」かもしれない。でも、それと引き換えに受け取る商品は、記号ではありません。吟味して選別すべきものです。 お金が記号として 跋扈 する時代にこそ必要なのは、「売り手たちを見分ける力」「商品を見分ける力」ではないでしょうか。 商品を買う──、仕入れ教育ではないでしょう
黄色のハイライト | 位置: 2,184
私が学んだことを端的に言うと、 ・自分が買いたい商品を明確にする ・セールスマンと、その売っている商品は別物と認識し、冷静に判断する ・自分が払えるお金・払う条件を明確にし、曲げない ・相手の売り込みには屈せず、自分の筋を通す ということ
黄色のハイライト | 位置: 2,191
「買う」「商品を選ぶ」ということを学べば、違った角度からの世界の見方が出てくるはず
黄色のハイライト | 位置: 2,213
営業と詐欺のあいだに境界線を引くものは、青臭い言い方をお許しいただければ、それは結局のところ「社会をより良くしたい」という意思の有無ではないでしょう
黄色のハイライト | 位置: 2,256
お金は現代の自由の象徴だと私は書きました。ただ、お金はそれ単体では何も生み出さず、どんなものでも買ってみないことには効用が生じることはありません。お金を使わなければ貯まるでしょうが、それでは愉しみの大半を捨てているようなもの
青色のハイライト | 位置: 2,260
この主体性の存在が、非合理な選択を唯一救うものではないでしょうか。いつの間にか選ばされているのではなく、意識的に選ぶということのみが、自由を行使する条件だと私は思うからです。 売り手の一方的な情報に惑わされずに、相手の手口を知って、商品を選ぶ、あるいはあえて売り手の誘いに乗ってみる。そこに、お金を使うことの本当の愉しさがあるはず
#### 第2章
#### 第3章
#### 第4章
#### 第5章
### 考察
①人は「自分を良い状態にしてくれるもの」を買いたくて仕方ない
②選択と決断は疲れる。リスクを避けたい。できることなら人任せにしたい。
つまり、
③信用できる人に「自分を良い状態にしてくれるもの」を選んでもらいたい
信用できる人、が重要。