『ヴァンパイア十字界』
「なあ、ステラ。それでもお前の魂は、今も私の幸せを願っているのか?」
貴方はあまりにも
強くて大きくて
誰にも心配されませんよね
何でもできる神様を
誰も心配したり
その幸福を
わざわざ願ったり
しないように
でも
誰にも
幸せを願われない人は
本当に幸せ
なんでしょうか
みんなの
誰からも願われないって
どんなに強くても
大変じゃありませんかね
だから
私は
貴方の幸せを
願うだけの人に
なろうかな
と
と言っても
実際願うことしか
できないんですけどね
ただ願うことだけは
私が
どこにいても
どうなっても
できることですから
私が死んでも
魂は
いつも貴方の幸せを
どうか貴方には
ずっと幸せが
ありますようにって
大事なものを失ったのがどうした。這い回ったのがどうした。復讐を否定されたのがどうした。それくらい私だって見たぞ。――いやそれ以上のものさえ私は見ているぞ。お前はまだずっとましだ。そんなもので支えられた剣を私に誇るな。私を殺したければ私以上の地獄を見つけるがいい それが我が罪 我が罰
終わる時は知らず―
月があるかぎり
夜があるかぎり
いつか私が殺されるまでのこと―
「よしなよ
惚れた女のためなんだろ?
ならクヨクヨするんじゃないよ」
「そうだなステラ 私はよくやった ならば これでよしとしようか」
誰もが正しくて、誰もが傷だらけで、単純な善悪などどこにもなかったのです