131-20190227 カレーライスを「買う」のもあり
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久しぶりの、プロジェクト・マネジメントの話。
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かなり前に、これに関する話を書いたのですが、あの本はプロジェクト・マネジメントそのものを取り扱ったのに対し、この本はプロジェクト・マネジメントの考え活用して人生をより豊かに幸せになることを目指した本です。「生活」の個々の要素はあまり取り上げられていませんが、それでもQOLを向上させるヒントがいろいろ書かれています。
この本で著者が強調するのは「幸福思考」と「本質思考」です。まずは「幸福思考」。
プロジェクト成功のために個人の幸せを犠牲にして良いなんてことは絶対にないと思っていますし、プロジェクトの成功が個人の幸せと結びつくことがないなんてこともないと思っています。
プロジェクトの成功と個人の幸せが二律背反状態にならないようにするためには、そうならないようにプロジェクトの目標を設定することが重要です。あらゆる仕事に関わるプロジェクトがそのようにできるかどうか、正直私はわかりません。ただ、プライベートに限定しても「プロジェクト」はたくさんあり、その目標設定のやり方が自分のQOLに直結することは、少し考えればわかることです。
例えば、家事をする、家族旅行に行く、家計を管理する。こういったプロジェクトを自分の幸せに結びつけるには、どのようにするかを考えないと、最悪家庭が崩壊します。やればいい、というものではない。どこまでやるか、あるいはどこまで「手を抜くか」といったことを含めて、自分自身が持つリソースはもちろんのこと、家族や子供のリソースまで考える必要があります。家族の幸せは自分の幸せにほぼ直結するとはいえ、自分一人犠牲になるのもよろしくない(そう、断じてよくないのです)。ここのバランスを保つのはとても重要です。
そのバランスを保つためにも重要なのが、「本質思考」であるような気がします。
「問題の本質を把握せずに、もがいてしまう」という問題への処方箋で、一番大切なのは、その問題は「何を尋ねているのか?」を正確に把握することです。
GTDという情報整理術において、まず頭の中に気になっていることを全部inboxに出して、inboxの事項それぞれについて「これは何か?」と自らに問いかけることが次の重要なステップとして組み込まれているのも、同じような考え方のような気がします。このプロジェクトは何のためにあるのか?その理解がずれてしまうと、とんでもないリソースの無駄使いが起こりかねません。
この本ではプロジェクト・マネジメントの簡単な例として「カレーライスを作る」という例が出てきます。いくつかのアクションに分解し、それぞれの制約要件を把握して効率よく作業手順を配置して、効率よくカレーを作る。これはこれで大事なことです。ただ、何のためにカレーライスを作るか?ということを把握することによって、そもそも分解されるアクションが異なります。野菜を切ってルーを作るのか、レトルトパックを買ってくるのか、ご飯は自分で米を炊くのか、スーパーで「2分でご飯」を買ってくるのか、あるいはカレーライス自体をコンビニで買ってくる、という選択肢もあり得るでしょう。
そう考えると、子育ての本質は何か?何のために子育てをするか?という回答への対応によってtodoリストが大きく変わるし、家族の幸せの度合いも変わってくるのかもしれません。手間をかけさえすればいい、というものではない。
プロジェクト・マネジメントというと、結構「理詰めでガチガチ来る」という印象もあるのですが、逆に言うと、身近で重要なことさえ実はその場の感覚だけでやっているというのもあるかもしれません。四六時中プロジェクト・マネジメント的にやるのは精神的にきついかもしれませんが、時にはこのような枠組みで日々の生活を考えてみてもいいという気がします。