119-20180821 「哲学」を持った共有ツール、Scrapbox
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「哲学」と「具体例」が明示された、面白い本だと思いました。
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この本は「チームのための新しい共有ノート」(公式説明)"Scrapbox"のガイドブック。こう書くと、個人ではあまり使えないのか?という印象も受けがちですが、この本でズバリ書いてある
Scrapboxは、知のコラボレーションツールです
という表現が、より的確であるような気がします。
で、この本の肝は、やはり第2章にあります。「やはり」と書いたのは、私がフォローしている方のほとんどが「第2章がすごい」とおっしゃっているからです(例えば Tak.さんのブログ)。 第2章では、なぜ知のコラボレーションをすることが重要であるのか?が書いてあります。この部分だけを見ると、ウェブアプリの解説本とは思えないほど力説されているのですが、私が読み解いたところでは
インターネットにより「書斎」が閉じたものではなくなった
にもかかわらず、今のブログやSNSは、逆に知識の偏在や分散を招いている
そこで、個人の中で、あるいは共同作業により知識を容易にネットワーク化する道具が重要
という流れになっていると感じました。ただ、これだけではまだピンとこない、という方のために、第3章で豊富な具体例が用意されているのですが、特に著者本人による(個人/複数)x(プライベート/パブリック)の4象限による実例がとてもイメージしやすかったように思いました。
私は個人的にもScrapboxを使っているのですが、現在のメインの用途は「日記」(個人 x プライベート)です。他のアプリから移ったのにはいくつかの理由があります。
1、そもそも項目を立てるのが容易
2、項目間のリンクを作るのが容易
3、ある項目をコピーして別の項目を作るのも容易
4、この本の第4章に言及がある「UserCSS」等をScrapbox経由で教えてもらって、好みの見栄えが作れる
自分の手になじむツール、という意味では上記4、は重要な気がするのですが、単なる日記アプリにならない可能性が上記2、と3、にあります、ここに「ネットワーク化」あるいは「コラボレーション」を促進する要素があります。
たとえばこれまでのこのブログの記事を全部Scrapboxに入れて、これ、と思った言葉にリンクをかけると、思ってもみなかったつながりが出てくるかもしれません。
ところで、この本にはなぜ知のコラボレーションをする「必要があるのか?」ということは、自明のこととしてあえて書いてないような気がしました。個人的には
仕事を効率化できるから
人生や生活を豊かにできるから
単に「面白いから」
このあたりが思い浮かんだのですが、このあたりを考えはじめると、もっとScrapboxが自分にとって面白い、あるいは「手になじむ」道具になるのかもしれません。
Photo by Thomas Quine from Wikimedia Commons