073-20161115 チェックリスト 今そこにある安全網(2)
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前回の続きです。
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カイジに出てくる綱渡りならぬ、鉄筋渡り。もし、あの鉄筋の下にセーフティーネットを貼ってくれるなら、参加者は50万円くらいは簡単に支払うことに同意するのではないか。でも、もしそれが平べったい地面を歩いているとき、あるいはせいぜい30cm程度の高さの場合には「考えられない」ことだろう。
私はカイジを読んだことがないのですが、安全網の重要性を認識できる、わかりやすいたとえです。この「高さ」を「複雑さ」に置き換えて考えて考えてみましょう。この本の中に複雑さのわかりやすい例えが出てきます。
世の中の問題は、三つに分類できるという。
一つ目は「単純な問題だ」ケーキの焼き方などがこれにあたる。(略)
二つ目は「やや複雑な問題」だ。ロケットを月に飛ばすのはこれにあたる。(略)
三つ目は「複雑な問題」で、子育てがよい例だ。(略)経験は有用だが、それだけでは不充分だ。
筆者は「やや複雑な問題」にあたるビルの工事現場を見学し、二つのチェックリストを発見します。ひとつは、個々の膨大な作業のチェックリスト、もう一つは「提起スケジュール」と呼ばれるチェックリストです。これは何月何日にこれこれについてみんなで話し合う、ということ書かれています。なにか想定外のことが起こった場合、コミュニケーションの場を確保して、解決にあたります。
あるプロジェクトを進める際、事前に万全の準備をしていたとしても、やっている最中に問題は必ず起こる。「提起スケジュール」は、そういう認識のもとに存在します。問題が発見されたとしても、深刻化する前に手を打っておく。まさに「安全網」です。多くの人の知恵を借りた安全網。それが、もう一つのチェックリストです。
この経験をもとに、子育てのような複雑な問題への対応こそ、チェックリストが必要不可欠であり、チェックリストという形を用いることにより、より良い判断ができるのではないか、と筆者は指摘します。
さて、子育てにおいてチェックリストが有効と思われる2つの場面を考えました。一つは日々の活動に対するもの。例えば子供たちの学校や幼稚園に行く前に確認すべきことのチェックリスト。これは「持ち物リスト」ですね。単純ですが、学校は時間割があるので持ち物は毎日変わります。行事も頻繁にあります。バカにはできません。
もう一つは、大きな原則に関すること。例えば、子供にある新しい習い事をさせるかどうか考えるときに考慮すべきことのチェックリスト。ある時点で新しい習い事をさせたい、と思ったとする。大きな教育方針の変更です。その場合、まず相談スケジュールを設定する。そして考慮すべき項目を考える。お金、時間、我が家の教育方針。いろいろあるでしょう。これらを明記して意識しておくことが大事なのかもしれません。
いずれにしても、ひとりではできせん。最低限家族内のコミュニケーションはとって、いろいろな知識や見方を反映させたほうがいいのでしょう。でも、家庭内会議ですから、大人は二人。お父さんとお母さんしかいません。大人数の大人が関わる工事現場とは違います。孤独かもしれませんね。
この項、続きます。