050-20160112 マイノリティに向き合う「リエゾン」
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年末年始にこの本を読んでいました。年末、一気に3巻4冊を読了。あまりにハマって他に支障をきたしかねない状況になったので、年越し前後は小休止。今再び読みすすめています。
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小説というものは、読む人の頭の中にあるものによっていかようにも解釈できるのかもしれませんが、私はこのシリーズの大きな主題のひとつに「マイノリティ」があると感じています。
本人の意思とは全く関係のない理由で「マイノリティ」の立場を受け入れざるをえなくなった人々。その集団に対するいわれのない誹謗中傷や差別は、今も止まないし、本巻の舞台である24世紀になっても止むことはないのでしょう。
捨てる神あれば拾う神あり。24世紀にも、支援者がいます。この本ではマイノリティである「プラクティス」に向き合う存在として「医師団(リエゾン・ドクター)」なる集団が登場します。「医師団」のメンバーであり、本巻の主役の一人であるセアキのおっさんが大好きということもあり、今まで読んだ中では一番好きなエピソードです。
このセアキのおっさんは、「プラクティス」のはねっかえり(?)をなだめすかし、彼らがこの時代の世界と共存するために微力を尽くします。その全然政治家っぽくないやり方が面白いのですが(政治家を否定するわけではありませんが)、彼のように、マイノリティとマジョリティをつなぐ人、あるいは複数のマイノリティ間をつなぐ人というのは、今後、さらに多様化する世界の中で重要な役割を担っていくような気がしています。
多くの情報が行き渡り、劇的なコスト低下が進んだ今の社会では、均質化と多様化が同時に猛烈な速さで進行しています。私は年末に書いた通り多様性を重視したいのですが、完全に分断化された世界を望んでいるわけではありません。それぞれの個性は認めながら、やはり、それなりに共存したい。そのためには、セアキのおっさんのような目線を持つことはとても大事だと思うのです。
私はこれからも、ある面ではマイノリティの一員として、またある面ではマイノリティに向き合う「医師団」の一員として、微力を尽くしたいと思います。
今年も、よろしくお願いいたします。