045-20151102 謎のプログラム”ADHD.exe”への対処?(4)なぜ抜け出せないのか?
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木枯らしが、吹き始めましたね。寒い冬が近づいていました。これまでの蓄えが、問われます。
といわけで、続きです。
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この本では、一旦作動した「欠乏.exe」が、なかなか終わらない仕組みを解明しようとしています。
ここでは、私がこの本の中で一番好きなエピソードである、インドの露天商の話をかいつまんでご紹介します。
・露天商は毎日1000ルピーの商品を仕入れて、1100ルピーの利益を得て生活している。
・ところが、多くの露天商は1000ルピーのお金がないので毎日そのお金を業者から借りていて、その利子を毎日50ルピー支払わなければならない。これでは貯金ができないので、いつまでたってもきつきつの生活から抜け出せない。
この露天商は、今の私であり、私の妻でもあります。とにかく日々、目の前のことをこなすので精一杯。妻は「今週のタスクリスト」なんて見たくもない、と言います。見たいのは「今日のタスクリスト」だけだ、と。多すぎて処理しきれないように見えるからです。この悪循環は、どこかでとめなければならない。
欠乏は目先のことしか見えない行動を生む。そして、それは個人の怠慢ではない、そうならざるをえない仕組みに問題がある、と著者は言います。
・では、その1000ルピーを露天商が持っていたら、きつきつの生活から抜け出せるはずだ。といわけで、実際に何人かの露天商に1000ルピーを与えてみた。で、どうなったか?
・最初みんなその1000ルピーを大切にして生活レベルが改善した。ところが、1年たってみると、全員もとの借金生活に戻ってしまっていた。
なぜなのか?
筆者は、ここで、適切なタイミングかつ適切な量の余裕が必要だ、と主張します。それを「スラック」と呼んでいます。
露天商にとって、1000ルピーは十分なスラックではなかった。彼らはそれぞれにもろもろの急な出費に迫られてこれに手をつけざるを得なかった。そして、一人ずつ元の生活に戻ってしまったのです。
これは、彼ら露天商が怠慢だったからではない、十分なスラックがない仕組みに問題があるからだ、と筆者は主張します。これはとてもうなづけます。家事や子育てに追われて、いろんな意味で余裕のない親として、よくわかるのです。
そしてポイントは、適切な量と、タイミングです。量だけではない。
この本に年1回ドカンと収穫と収入が来る農家の話が出てきますが、彼らは収穫前の生活がギリギリになってしまう。給料日前はギリギリになる、というのもよくある話。ということは、年でも、月でもない。
では、どうすればいいのか?
(この項、続きます。次回が最後です)