044-20151019 謎のプログラム”ADHD.exe”への対処?(3)ほんのささいなきっかけで
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前回の続きです。
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この手の本らしく、実際のエピソード満載なのですが、その第1章のエピソード1で登場するのが「料理の鉄人」なので、好感度が上がりました。
さて、「欠乏.exe」がバックグラウンドで走り出すとどうなるか。著者は「集中」と「トンネリング」が起こる、と言います。
「集中」は、ポジティブな側面。このたとえに「料理の鉄人」(のアメリカ版)が出てきます。詳しくは書きませんが、なんとなく想像(創造?)がつくかもしれません。
で、ネガティブな側面が「トンネリング」。大事なことまでシャットアウトしてしまい、時に命を落とすことになる。
本文では実際に命を落とす例が「料理の鉄人」のすぐ後に出てきますが、ここでは別の例を。
私の妻が食事を作ると子供に席をつくように促しますが、子供は特に遊んでいる最中だとすぐにつくとは限りません。まぁ、よくあることです。
一方、私が食事を作ると、もちろん子供はすぐに食べるとは限りませんが、妻も同様なんです。妻にとっては食べることより友人へのラインの返信や、明日の天気予報のチェックや、目に付いた家事の対応が優先します。なんで食べないの?と聞くと、今やらないといつできる時間が取れるかわからない、と言うのです。さらにはその後、もし子供たちがまだ遊んでいたら「なんでまだ食べないの?」と怒りだします。
ここに3つのポイントがあります。
まず一つは、「いつ時間が取れるかわからない」と言っていること。
妻に取って最大の心配要因はやはり時間なのかもしれませんが、「処理能力」が不足すると直ちに時間に影響します。
二つ目は、妻はこれらの行動を無意識にやっている、ということ。
「なんで食べないの?と聞くと」と書きましたが、聞かないと妻は我に返ることはありません。「処理能力」は無意識のレベルに影響します。妻が子供に怒っているのはストレスからではなく、無意識のレベルに影響した処理能力の低下によるものです。
三つ目は、妻が食べない理由がほんのささいなことである、ということ。
冷静に考えれば、ラインの返信や明日の天気予報のチェックを2、30分後でやっても結果に大きな影響を与えるとは思えないのですが、とにかく「処理能力」の低下はほんのささいなことから発生します。
ここでは妻を例に挙げましたが(申し訳ない)、実は誰にでも起こりうる。
大学で模範生だった人がほんの些細なきっかけで借金地獄に堕ちてしまった話が本文に出てきますが、それはこの人が「怠惰だから」なのではない、と著者はいいます。
「欠乏.exe」が走りだすきっかけは誰でも、どこにでもあるのだ、というのは大きな気づきでした。いわんや、ADHDをや。ささいなきっかけに反応しやすいADHDの人が、簡単に処理能力が低下するのは当然のことです。さぁ、どうしたものか?
(この項続きます)