漂白される社会
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2019/6/24
2019/6/30
開沼博『漂白される社会』(ダイヤモンド社)読了。漂白という表現に以前興味を持っていた。レビューで大体想像がついていたが、ネットの実話系読み物とかルポルタージュ集という印象。社会学と言うには体系だった理論や積み重なった議論が見受けられず、留保の多い文体にもおぼつかなさを感じた。
内容紹介
■売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスと貧困ビジネス…
■「自由」で「平和」な現代日本の闇に隠された真実
■先入観と偏見で見過ごされた矛盾と現実を描く!
社会に蔑まれながら、人々を魅了してもきた「あってはならぬもの」たち。
彼らは今、かつての猥雑さを「漂白」され、その色を失いつつある。
私たちの日常から見えなくなった、あるいは、
見て見ぬふりをしている重い現実が突きつけられる。
【本書の掲載事例】
売春島、ホームレスギャルと移動キャバクラ、シェアハウスとネズミ講・オフ会ビジネス、
ヤミ金と生活保護受給マニュアル、スカウトマンと援デリ少女、
裏カジノ・闇スロット・野球賭博、脱法ドラッグ、右翼幹部、新左翼・「過激派」、
フィリピン人偽装結婚ブローカー、高校サッカー・ブラジル人留学生、高学歴「中国エステ」経営者
■先入観と偏見で見過ごされた「あってはならぬもの」の実態
「歌舞伎町浄化作戦」に象徴されるように、ある時期を境に、全国の繁華街から客引き・キャッチが激減した。
しかし、彼らの存在そのものが消え去ったわけではなく、「あってはならぬもの」として社会から隔離・固定化され、不可視化された現実がある。
先入観と偏見をもって「あってはならぬもの」が潜む闇から目を背けることなく、闇を闇として見つめることからスタートしなければならない。
■「見て見ぬふり」で漂白される「自由」で「平和」な日本の真実
売春島の遊女、偽装結婚ビザで来日するフィリピーナ、違法と合法の狭間に巣食うグレーなビジネスの実践者、繁華街にに女性を“供給”するスカウトマン、新左翼と右翼…
彼らはみな、社会から長らく蔑まれてきたと同時に、戦後社会に生きる人々を魅了してもきた存在だ。
しかし、「自由」で「平和」な社会への要請が高まるなか、かつての猥雑さが「漂白」され、いまやその色を失いつつある。
私たちが「見て見ぬふり」をしている重い現実の先にこそ、現代日本の真実がある。
■「現代社会とはいかなる社会なのか」をひも解く濃密な旅
「あってはならぬもの」たちの漂白は、地方/都会といった空間的隔たりのみならず(第一部)、戦後社会という時間すら超越して進行している(第二部)。
その事実を確かめたうえで、根源的欲望でもある性・ギャンブル・ドラッグの深淵に迫り(第三部)、かつ新左翼・右翼といった現代日本の暴力の残余を解き明かすことで(第四部)、猥雑さを失いつつある疑いが確信へと変わる。
さらに、グローバル化の表層からこぼれ落ちた真実(第五部)を見抜くことで、本書で設定された「現代社会とはいかなる社会なのか」という問い、その1つの答えにたどり着くことができる。
内容(「BOOK」データベースより)
売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスと貧困ビジネス…。「自由」で「平和」な現代日本の闇に隠された真実 先入観と偏見で見過ごされた矛盾と現実を描く。
著者について
開沼 博 (かいぬま・ひろし)
社会学者、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。
1984年、福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。学術誌のほか、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポルタージュ・評論・書評などを執筆。読売新聞読書委員(2013年~)。
主な著書に、『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)、『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)など。
第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
開沼/博
社会学者、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。1984年、福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。学術誌のほか、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポルタージュ・評論・書評などを執筆。読売新聞読書委員(2013年~)。第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)