「空気」の研究
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2020/7/?
2020/7/29
山本七平『「空気」の研究』(文集文庫)読了。明治期以来、日本社会の意思決定は空気によって拘束され、自然科学に基づく判断はなんら影響を与え得ない。現実という水を差す効果も一時的なものに過ぎない。この空気は近代西洋思想を輸入する際に棄却した非合理の部分が亡霊のように回帰したものだ。
「空気を読む」ことが誰にも求められる現代の必読書!
社会を覆う「空気」の正体を正面から考察し、1983年の初版以来読み継がれ、日本の針路が云々されるたびにクローズアップされる古典的名著。
〈以前から私は、この「空気」という言葉が少々気にはなっていた。そして気になり出すと、この言葉は一つの〝絶対の権威〟の如くに至る所に顔を出して、驚くべき力を振っているのに気づく。(中略)至る所で人びとは、何かの最終的決定者は「人ではなく空気」である、と言っている〉
昭和期以前の人びとには「その場の空気に左右される」ことを「恥」と考える一面があった。しかし、現代の日本では〝空気〟はある種の〝絶対権威〟のように驚くべき力をふるっている。あらゆる論理や主張を超えて、人びとを拘束することの怪物の正体を解明し、日本人に独特の伝統的発想、心的秩序、体制を探る、山本七平流日本学の白眉。