キーワード:サウンド・ビーム
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《IEIE》の中心となるアイデアは拍子抜けするほどシンプルなものである。まずパラボリック・アンテナをスピーカーと組み合わせることで、音のビームをつくり、島のあちこちに設置する。細かく言うと、2台のパラボリック・スピーカーが向かい合っている「サウンド・ビーム」と、パラボリック・スピーカーを岩などに向けて、音を反射させる「サウンド・スロー」の二つのタイプがあり、音源に関しては、一年ほどかけて同じ島のいろいろな場所でフィールドレコーディングした音を用いることになっていた。それにしても、一体なぜ島を楽器化するにあたってサウンド・ビームを使おうと考えたのか。1978年のクルーヴァーとのインタヴューのなかで、島を楽器化することでなにを達成したいかという問いかけに対してチュードアは次のように答えている:「島にいるときは、周りに他の人がどんなにたくさんいても、周囲から遠く離れている感じがいつもあります。そのことでそこにあるすべてのものを注意深く観察することができるんです」。周りから切り離されていることで、その場自体に対するフォーカスの度合いが高まるというわけだが、この島の特性についての説明は、そのままサウンド・ビームの特性にも当てはまる。つまりサウンド・ビームとは、いわば「音の島」を作り出す楽器である。こうして個別の観客が楽器を内側から経験する仕方のそれじたい島的な性格が浮かび上がってくる。 https://scrapbox.io/files/63080d1a0c5c35002351dfd1.jpg
チュードアが描いたサウンド・ビームの図
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チュードアが描いたサウンド・スローによる音のリフレクションの図
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クナーヴェルシェア島に設置されたパラボリック・スピーカー