リベラル
Liberal:自由な、自由主義者
保守は「革新」と対立し、社会変革への消極的な態度を示す言葉である。他方でリベラルは「自由」という意味の言葉で、個人と社会の関係を示している。それゆえ保守とリベラルは本来は対立しない。たとえば、個人の自由を重んじるがゆえに、逆に社会の急進的な変革に慎重だという立場は十分にありうる。その場合はリベラルな保守主義者ということになる。
「あえていえば、仲間との関係を優先する立場が保守と、普遍的な連帯を主張する立場がリベラルと親和性をもつといえる。このことは、政治において、共同体の内部における『コモン・センス(共通感覚)』を重視するか、あるいは、自由で平等な個人の間の相互性を重視するかという違いとも連動し、今後の社会を論じていく上での有力な対立軸となるであろう」(※宇野重規『保守主義とは何か』、中公新書、2016年、204―205頁 一部省略) ではどこに保守とリベラルの対立の淵源を求めるべきかといえば、もはやそれは連帯の範囲の差異ぐらいにしか現れていないのではないか。ぼくの考えでは、それが宇野が指摘していることである。
保守とリベラルの違い、日本はゆるやか? 米は深い分断
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保守とリベラルの意味をまず確認してみたい。岩波書店の広辞苑第7版によると「保守」は「旧来の風習・伝統を重んじ、それを保存しようとすること」を指す。
「保守主義」は「現状維持を目的とし、伝統・歴史・慣習・社会組織を固守する主義」と定義される。経済で資本主義的な価値、市場メカニズムを重視する。
「リベラル」を広辞苑は「個人の自由、個性を重んずるさま。自由主義的」と記載する。米国では自由を守るために政府を利用し社会福祉を強調する考え方で一般的に「左」のイメージがある。
岸田文雄首相はどうか。一般的に首相のスタンスや出身派閥、宏池会は自民党内で比較的リベラルとされる。麻生太郎副総裁は「リベラルそうに見える顔が安心感を与える」と語る。
首相は安保で保守の面もみせる。「反撃能力」の保有を決め、2023〜27年度の防衛費の総額を従来比1.6倍の43兆円に増やす。共産党の志位和夫委員長は「涼しい顔をしながら危険なことをやろうとしている」と指摘する。
首相は自民党総裁の任期中に憲法改正を目指すと話す。同党の遠藤利明前総務会長は「安倍氏が言うと反対が強くなる。首相はそういう意味で改憲をやりやすい」とみる。
【保守】旧来の風習・伝統を重んじ、それを保存しようとすること。 【リベラル】個人の自由、個性を重んずるさま。自由主義的。
【保守】憲法改正に積極的(改憲派が多い)、集団的自衛権を行使できるようにした安全保障関連法支持、改正組織犯罪処罰法(「共謀罪」法)支持、原子力発電を維持、伝統的な家族形態が大事(選択的夫婦別姓に反対)、首相の靖国神社公式参拝に賛成
【リベラル】憲法改正に消極的(護憲派が多い)、安全保障関連法は憲法違反として反対、「共謀罪」法に反対、原発ゼロを主張、夫婦別姓に賛成、首相の靖国神社公式参拝に反対