ハンナ・アーレント
労働(labor)・仕事(work)・活動(action)が人間が存在するためにはこの3つの活動が必要
生命維持の活動が労働
生命維持という要請を超えたレベルでの人工物を作ろうとする人間の活動を、労働と切り離して仕事と呼んでいる
他の人間との関わりの中で生じる公共的な問題を解決していくことを活動と呼んだ。
「全体主義」についての研究で有名で、自由や多様性を尊重せず、個人の利益を国家の利益に従属させる全体主義を厳しく批判しました。 アーレントは、異なる立場や意見を持つ人々が共存する「複数性」という概念を提唱しました。彼女によれば、政治の本質は、異なる意見を持つ人々が互いに尊重し合い、協力しながら共通の目的を達成すること 「全体主義(Totalitarianism)」とは、個人の自由や社会集団の自律性を認めず、個人の権利や利益を国家全体の利益と一致するように統制する思想または政治体制です。この体制は、近代的自由主義を否定し、個人が自己の利益ではなく国家のために生きるように強制することを特徴とします。歴史的には、ナチズムのドイツ、ファシズムのイタリア、そして冷戦後のソ連などの社会主義国家が全体主義の例
社会の不安が広がると、普段政治に関心を持たない人々も政治について話すようになり、こうした状況では、深く考えずに行動する大衆は、切迫した感情を抱き、分かりやすく安心できるイデオロギーを求める傾向があると指摘しています。 要するに、現状から救済してくれる物語が大衆により渇望され、アーレントは、こうした状況が全体主義的な運動の台頭につながったと考察しています。
アーレントは、政治で求められるべき状態として「複数性(Plurality)」という概念を提唱しました。政治的共同体において、多様な人々が互いに異なった視点や意見を持ち合わせ、それを共有しながら協力していく状態が必要だと考えました。 これによって、より多様で多角的な判断が可能となり、より正確な判断が生まれるということです。 一方で、全体主義では、異なる意見を持つ者との対話がなく、同じ角度からの思考を強いられるため、複数性が破壊されます。全体主義が公的領域を破壊し、異なる意見を抑圧された状況が続くと、人々は分かりやすい言葉に反応しやすくなり、同じ方向に進まされることが可能となるとアーレントは指摘します