贈与
贈与を失ってしまえばだれかに助けてということを原理的にはいえなくなる
贈与がなくなった世界には信頼関係が存在しない
モースの「贈与」と「交換」
• 贈与(gift)
• 本質:与える・受け取る・返すの“三重の義務”で関係をつなぐ行為。
• 特色:非同時・非等価・未決済(いつ・何を返すかは開かれている)。
• ねらい:モノよりも名誉・信頼・結びつきを動かす。「物には送り手の人格(名誉)が宿る」とされ、断る/返さないは関係破棄のサイン。
• イメージ:結婚祝い→すぐに清算せず、お返しや将来の助け合いで関係が続く。
• 交換(market exchange)
• 本質:同時に、等価で、清算する取引。
• 特色:価格で評価し、その場で関係を閉じる(決済して終了)。
• ねらい:効率・比較可能性。相手の人格性は取引にほぼ影響しない。
• イメージ:店での購入→支払って完了、次回に義理は残らない。
ちがいを一行で
• 贈与=“未返済の余白”を残して関係を育てる装置
• 交換=“余白を閉じて”その場で決着する装置
使い分け(実務の勘所)
• 関係を厚くしたいとき:贈与(時間差・返礼の自由度を残す)。
• 手早く均衡を取りたいとき:交換(価格で即時決済)。
(例:VCや起業では、無償の紹介・知見共有・OSS貢献=贈与が長期の信頼とリターンを呼び込み、契約や支払い=交換で運用を締める、という“二層運用”が効きます。)
#モース #マルセル・モース