人間の条件 - アンナ・ハーレント
p299 「~にもかかわらず、誰一人として、自分自身の物語の作者あるいは生産者でもない。いいかえると、活動と言論の結果である物語は、行為者を暴露するが、この行為者は作者でも生産者でもない。言論と活動を始めた人は、たしかに、言葉の二重の意味で、すなわり活動者であり受難者であるという意味で、物語の主体ではあるが、物語の作者ではない」
ある行為者の物語は他者性の間のみに存在する。
p308 「活動が人々に向けられるものであり、それらの人々も活動能力をもっているから、そこで起こる反動(リアクション)は、一つの反応である以上に、それ自体が常に新しい活動であって、この新しい活動は、自分にも跳ね返り、他人にも影響を与える。こうして、人間の間の活動と反動は、閉じられた円環の内部に留まることは決してなく、その影響力を自分と相手の2人だけにしっかりと限定することも出来ない」~「なぜなら一つの行為、ときには一つの言葉でも、すべての布置を変えるのに十分だからである。」