ミシェル・ウェルベック 「H・P・ラブクラフト 世界と人生に抗って」読書メモ
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「わたしたちは、あらゆる形態の現実主義に対する、至高の解毒剤を必要としている。」
「人は人生を愛しているときには読書はしない。それに、映画館にだってほとんど行かない。何と言われようとも、芸術の世界への入り口は多かれ少なかれ、人生に少しばかりうんざりしている人たちのために用意されているのである。」
「大人であること、それは地獄。このような決然とした立場を前にして、昨今の「モラリスト」たちは、漠然と非難を含んだ不平をもらし、品のないほのめかしを差し挟むチャンスを待つことだろう。おそらく、実際にラヴクラフトは大人にはなれなかったのだろう。しかし、確かなのは、彼が大人になろうと欲しもしなかったことである。また、大人の世界を支配している諸々の価値を考慮に入れるなら、このことで彼を断罪するのは酷というものだろう。現実原則、快感原則、競争、絶え間なき挑戦、セックス、それに投資……祝歌なぞ唱えてはいられない。」
「ラヴクラフトはこういった結論の何とも気のめいる性格を充分に意識している。一九一八年に彼が書いているように、「どんな合理主義も、人生の価値と重要性を最小化し、人間の幸福の総量を減じがちなものです。多くの場合、真理は自殺の、あるいは少なくとも、ほとんど自殺に等しい鬱状態の原因となりえます」。」
「もちろん、人生に意味などない。しかし、死もまたしかりである。」
「エゴイズムと悪意という普遍的法則の侵犯を想定させてくれるものなどなにもない。」
「しかし時にまた、いや、しばしば、わたしたちはこうした存在を殺す楽しみだけのために殺すのである。これこそが、わたしたちの「地球外知能」との未来の関係の正しいイメージなのだ、そうラヴクラフトは警告する。」
三体を思い出す。「わたしがおまえを滅ぼすとして、それがおまえたちとなんの関係がある?」
「しかしながら、逆説的なことに、わたしたちは現実ではなく、いかに醜悪であってもそうした世界の方を好む」
「人生に倦み疲れた心にとって、ラヴクラフトを読むことが逆説的な慰めとなるのがなぜなのかはよくわかる。実際、どんな理由であれ人生のあらゆる様態に対して本物の嫌悪を抱くに至ったすべての人に、ラヴクラフトを読むよう勧めることが出来る。」