ウェルベック「プラットフォーム」メモ
ある島の可能性に続きウエルベック2冊目. 基本的には厭世的な中年の男が世の中に対して呪詛を呟いたりしているという構造は共通で大きく変わらない. 露骨な性描写と対比的な希望のない呟きというウエルベック作品のいつものパターン. でもそれが読者がウエルベックに求めているスタイルでもある。
それを知っているのか分からないけど割とウエルベックはサービス精神豊かな作家かもしれない。
p104「読書のない生活は危険だ。人生だけで満足しなくてはならなくなる」
p148「僕は世界全体が空港に似てきつつあると思った」
p165「僕は物事が後戻りしないと考えている。だからこの先変化が起こるとしたら、それは女性がますます男性化するってことだろう」
p182「明らかに人間は幸せむきにはできていない。人間が実際に幸せを活用できるようになるためには、おそらくすっかり別のもの(肉体的に別のもの)に変わらなくてはならない」
p187「三人とも、琥珀の塊のなかの虫のように、社会システムの中に囚われている。僕らは後戻りすることすらできない」
p205「要するに、人間がひとりひとり違う存在だという考えはまさに不条理以外のなにものでもない。ショーペンハウアーがどこかでこんなことを書いている。「人が自分の人生で憶えていることは、過去に読んだ小説よりほんの少し多い」まさにそういうことだ。ほんの少し多いだけなのだ。」
p322「みんな歳を取る」
p335「人間にとって人間以上に役に立つものはない」
p390「生きたいと思う心が欠如している程度では、残念ながら、死にたいと思うには不十分だ」