論文の書き方の基本的な注意事項
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論文には「守らないといけない体裁上のルール」がある!
内容は置いておいて、文体や、記号の使い方のルールを覚えて、見た目の正しい論文を書きましょう。
とても大事で基礎的なこと
まずは質より量で書く
論文は書いて削っての繰り返し
最初のうちは、自分でも「いい文章とは何か」がわからないので、とにかく悩まず書く
1つの文に2つ以上のメッセージを込めない
1文は短く、簡潔に
× Twitterは日常会話とニュースの伝播が同時に行われる、マイクロブログのうちの一つである。
〇Twitterはマイクロブログの一つである。Twitterでは、日常会話と伝播が同時に行われる。
ワンセンテンス、ワンメッセージ!
1つの文には、1つの意味しか込めてはいけない
数式や箇条書きをポツンと置かない
論文は頭から最後まで読み上げられる一つの文章
単語や数式が本文の流れと独立に現れるのはだめ
文献の参照
「[1]は」←読み上げられない(カッコイチは・・・とか読まない)!
「Shojiらは[1]」←読み上げられる(Shojiらは、と読めばよい)。
箇条書きや数式も文の一部
「重要度imp(a)を定義する。imp(a)=a/2+100次に・・・」←読み上げられない
「この時、重要度imp(a)はimp(a)=a/2+100と定義される。次に・・・」←読み上げられる
すべての図、表、参考文献は本文中で参照する
図や表の場合、その図表が何を表すか、その図表から何を読み取ってほしいかを文でも書く
参考文献はその内容の要約や、なぜ引用したかを分かるように書く
論文っぽさより、まずは「分かりやすさ」が一番大事
無理して難しい言葉や、固い言葉を使おうとして伝わらない文章になるのが最悪
「まずは柔らかく書いて、後でしっかり書き直す」くらいの感覚で書く
緩い表記ですら正しく書けないものを、いきなり堅くは書けない!
基本的な体裁上のルール
常文体で、文末は「である」
「~です」「~ます」「~だ.」は、基本登場しない
句読点はカンマピリオド
「、。」ではなく、全角の「,.」を使う
テンマルは、最後に一括でカンマピリオドに変換
約物(テンマルカッコ記号など)は全角
何も考えずに、日本語中に登場する記号類は、全部全角
カッコの場合は中に合わせるのが正式だが、全角でよい
数値やアルファベットは半角
例:この際Aplhaらは35人の分身を生成した
4桁以上の数値はカンマを入れる
一般的な数値は「1,234,567」のように3桁区切りでカンマ
固有名詞や年号などの場合はカンマを入れなくてよい
英単語の前後などに半角スペースを入れてはだめ
カーニングが崩れるので・・・
そもそも、普段から、入れてはいけない
カタカナ語の末尾の「ー」は消す(3音節以上の場合)
エスカレーター → エスカレータ
コンピュータ、メモリ、ユーザ・・・
例外的に残す場合も
「メジャーとマイナー」など、対になっていて片方が2文字の場合
「ストーリー」など、すでに一般語として普及しきっている
見出しが連続するのはだめ
Section見出しの後にSubSection見出しが来るのは駄目
Sectionの頭にはそのセクションで何を説明するかの概要を書く
「図1」「3章」など、論文内の参照は、対象の種類を明記
数値をむき出しで置かない
×「ここで1の2を集計して3にまとめる」
〇「ここで第1章の図2を集計して表3にまとめる」
タイトル、アブスト、本文はそれぞれ独立
「アブストで書いた内容だから、本文では書かなくてよい」ということはない
イントロの真ん中くらいで、改めて研究内容を紹介する
タイトルを具体的に言い換えたようなフレーズが、本文中に出てくる
略語は初登場時に正式名称を書く
SNS(Social Netoworking Service)またはSocial Netoworking Service(SNS)
アブストと本文は独立なので、アブストで書いていても、本文ではもう一度書く
単著論文でも、主語は我々(We)
読者と著者、人類全体が主語になるため
特別に自分個人のことを書く場合は「筆頭著者は」などと書く
和訳のある語をカタカナ語で書かない
「インプットする」などの「ルー語」はだめ
和訳の語で書く。一般的でない語の場合は、原語も書く
例:多様性(Diversity)とは・・・
訳語がない場合は、仮の語を自分で置くか、原語のままで書く
すでにカタカナ語として定着してるものはそのまま使う
例:コンピュータをComputerや電子計算機とは書かない
論理的・科学的な文章のルール
トップダウンな記述順を心がける
章の頭は「その章の要約」または「その章の結論」
「最後まで読まないと、何のための文章なのかわからない」のはだめ
「結論」「内容」「もう一度結論」のような書き方が一般的
いきなり内容の詳細を書き始めるのはだめ
例えば関連研究で、章の頭から「○○らは・・・」から入るのは、読者が置いてけぼりになる
「□□に関する研究は盛んである。××な例として、○○らは・・・」など、全体との位置づけから入る
長すぎる1文はだめ
3行以上の日本語は、読んでて意味が伝わらない
口語を使わない
「なので」「でも」「だけど」などはだめ
「してる」 → 「している」
長すぎる段落、短すぎる段落はだめ
長くても10行から15行くらい?
1行の段落は、可能な限り避ける
係り受けに気を付ける!2つ以上の意味にとれる日本語はだめ
「頭が赤い魚を食べる猫」
1つの意味にしか取れない文を心掛ける
語順を変える、かっこでくくる、2文に分ける
有効数字を合わせる
一般的に、実験規模に合わせる形で、小数点以下2桁や3桁までで丸める
正式な有効数字だと、「0.000022」は2桁扱いだが、我々の分野では「0.00」としてもよい
主観的な表現や断定的な表現は避ける
「良い、悪い」や「してしまう」などの著者の主観を含む表現
「してもらった」など、へり下った表現
「すべきである」「望ましい」などの著者の意見
書き換え方法
数値や尺度で示す(良い → 多い)
数式は方程式が基本
モデル化を扱う分野では入出力が大事
fq(a, b) = a + bのように、関数形式の方程式で表現する
単に「a + b」や、「fq = a + b」のように書くのはだめ
あいまいな動詞を避ける
「とる」「出す」などは、なんにでも使えるが、意味が複数取れる
例:「この配列から値を出した」 ← 計算した?抽出した?除外した?
あいまいな動詞をあいまいなまま熟語に置き換えない
例:「取得する」 ← 集めたなら「収集した」、条件で絞ったなら「抽出する」
たまに音読してみる
「文字として読むと読み飛ばすけど、音読すると気付けるミス」は案外多い
例:Typo、主語述語のねじれ、一息で読み切れない文、変な位置の読点など
時勢を正しく合わせる
過去形
やったこと(例:そのために、実験では、○○した)
現在系
普遍的な真理(例:人気度pop(a)はpop(a) = 1 / aで表される)
現在完了形
今でも有効な過去の行動(例:shojiらはLocation2Vecという手法を提案している)
TeXで論文を書く上での決まり
画像はベクタ形式
スクリーンショットなどを除いて、すべての図はpdfのベクタ形式
拡大してピクセルが見えるものはだめ
実際のやり方
図の場合、PowerPointから「印刷」か「名前を付けて保存」で作成
グラフはExcel内で右クリックで印刷か、PowerPointにコピーしてpdfに変換
PrintScreenやWin+Shift+Sなどはラスタ画像になるので、使ってはだめ
論文中で他の章や図表を参照するときに、ソースに数字を直接書かない
\refという命令を使う
例:ここで第\ref{s:a}章の図\ref{fig:b}を集計して表\ref{tbl:c}にまとめる
\labelコマンドを使って、図表に名前を付ける
表のキャプションは上、図のキャプションは下につける
書いた順がそのまま反映される
「caption」の下の行には必ず「label」が来る
図表の位置は「tb」で指定して、「h」は基本的に使わない
図表の位置はルールに従ってそのページ内の上部や下部にまとめて配置される
図の位置は、人手で弄らずにマシンに任せる
参考文献はBibTeXに任せる
配布されているbibファイルを使う! 人手で打つと間違える
ACMやIEEEなどの主要な学会のサイトには、bibtexを出力する機能がある
Google Scholarの「”」ボタンを押すと、bibtexをダウンロードできる
GoogleのBibTeXは自動生成されたものなので間違っている場合も・・・
その場合は、人手で修正
ソースコードでは都合のいいところで自分で改行を入れる
レンダリング時に改行は無視される
基本的には「.」の後で改行するのがおすすめ
その状態で画面内におさまらない行は、そもそも1文が長い
参照時の気持ち悪い改行を避ける
\refや\citeの最中に改行が挟まると気持ち悪いので・・・
~を使うと「改行禁止空白」を挿入できる
~\ref{}と~\cite{}を使う
その他の心構えなど
論文は、削ることはあっても、水増しすることはない
基本的には、論文は「指定のページ枚数に収める」ことが大変
最初のうちに下手に稼ごうとして冗長な文章を書くと、後で苦労する!
ページ数はギリギリいっぱいが望ましい
削って、ちょうど8ページ程度に収める
やや足りない分には問題ないが、超えるとフォーマット違反で落とされる