論文のスタイルと構成
あらまし
研究室に配属されたら、まずは、DEIMなどの比較的易しい論文を何本か読んで、気づいたことを挙げてみよう!
フォーマットなどの、体裁について気づいたこと
書かれている事柄とか、内容について気付いたこと
文体や、使っている言葉や記号などについて気づいたこと
図と表について気づいたこと
論文全体について気づいたこと
そのほかの気づいたこと
それぞれで読んだ論文の章の名前を書き出して、どの論文にも頻繁に出てくる章の名前と、特徴をまとめよう
論文のスタイルと構成
フォーマット
タイトルがある
タイトルは、普通の本と比べると、結構長く、具体的
2段組
学会によるが、多くの学会では2段組みフォーマット
普通のワード文書の3~4倍入ると思えばよい
著者が複数人いる
重要なのは「第1著者」と「最終著者(研究室名)」の場合が多い
著者には所属がある
アブスト
だいたい「本論文では」「本稿では」「本研究では」から始まる
背景をすっ飛ばして、論文の全体を客観的に要約している
セクションとサブセクションがある
3章
3.1節
3.1.1項
末尾に論文名が列挙されている
参考文献というセクション
「関連研究」のセクションとかで引用された文献が載っている
本文中に登場しない論文は、ここには書かれない
ページ数は、8ページ
たまにそれ以下の場合も?
基本的には、学会では「上限ページ」が設けられていて、ギリギリまで書く
内容
「発見したこと」、「わかったこと」が書いてある
「やったこと」は書いてない
実装やプログラミングについてはほとんど書いてない!
コードの代わりに数式で説明している
手法は、「やった順」ではなく、手順書のように書かれている
説明書や、仕様書ではなく、同じことをしてみたい人向けの手順書
「評価実験」がある!
何かアルゴリズムやプログラムを作ることが目的ではない
「有効性を明らかにする」ことが大事
表層的な文体
「である」体
「~だ」は出てこない(文中で「であるが」の代わりの「だが」は出てくる)
「~です」「~ます」は出てこない
文章である
「体言止め」や、「ポツンと置かれた単語」は出てこない
テンマルではなくカンマピリオド
カンマピリオドは、全角
基本は過去形
主語はほとんど出てこないが、出てくるときは「我々」
単著の場合でも「我々」
各章、節の頭にトピックセンテンスがある
「この節では、何を説明する」ということが書いてある
「結論 → 内容 → 結論」というような構成になっている
図と表
図表は上下にまとまっている
文の途中にいきなり図表が挟まることはない
図表にはすべてキャプションがある
図のキャプションは下
表のキャプションは上
すべての図表に番号が振られている
すべての図表は、本文中で「図1では・・・」「表2では・・・」のように参照されている
図は、華美ではない色使いである
装飾のために背景色をつけたり、カラフルだったりはしない
図は、挿絵ではなく、何かを説明するのに使われている
図や表は、その中身が文章でも説明されている
章構成
「アブスト」がある
論文全体の要約
社会的背景は書かれず、多くの場合「本論文は・・・」から始まる
いくつかの論文で、共通する章をピックアップしてみよう
はじめに、序論、イントロ
関連研究
提案手法、手法、「○○による××計算」
評価実験
考察
まとめ
「はじめに」に書いてあること
社会的背景
技術的背景
この論文で何を提案しているか
「関連研究」に書いてあること
章分けして書いてあることが多い
研究を列挙して「ここが自分の研究と関連」、「ここが自分の研究と違う」を紹介
たまに論文の末尾に載っている場合もある
「提案手法」に書いてあること
論文のメインパート
その論文で提案しているアルゴリズムの中身を書いてある
はじめに概要が書いてあって、そのあとに実際の処理が書いてある
実際の処理内容は、数式で説明されている
「評価実験」に書いてあること
実験の詳細:実装、使ったデータ、被験者のプロファイル
比較対象:何と比べたのか(ベースライン、比較手法)
実験タスク:どう比べたのか(被験者に何をさせたのか?)
評価尺度:何で比べたのか(適合率、再現率、速度、などなど・・・)
「考察」に書いてあること
実験結果について、なぜこうなったか書いてある
実験結果を受けて、分かったことが書いてある
実験を通じて、不十分だったことが書いてある
全体的に、章分けはせずに、文章で書いてある場合が多い
https://gyazo.com/7a35b56b693afaf4c23eda8dc5a03e5a