オチまで教える配布資料
それだけであれば、そのスライドの次に何がでてくるかというのは、話す側だけが知っていることであって、聴衆は知らない。しかしさまざまなプレゼンや学会の発表を聴きに行くと、あらかじめ入り口のところで資料がどーっと配られます。各机に資料があらかじめ置いてあったりする。
大学で現在行われている授業の多くでもそうです。その資料には、その日に話す予定となっているスライドが全部プリントアウトされている。話の内容があらかじめ全部、学生の手元にあるのです。そんなの、面白いはずがないじゃないですか。ネタばらしです。あらかじめ「今日はこれを話します。話はこういう順序で展開します。オチはこうです。」と全部つまびらかにして、聴衆に情報を与えてしまう。始まる前にです。そうしたらもう「別に聞かなくていいや」って思いますよね。特に怠惰な学生は。
大学ではそういう授業の配布資料を「レジュメ」と呼びます。実際、配布されているレジュメを授業の冒頭で貰って、帰ってしまう学生もいます。それはもう、話を聞く必要がないからですね。当然の行動です。レジュメを見れば全て分かる、全部書いてある。教員によっては、ものすごく詳しいです。A3版の紙4ページくらい、事細かにその日の内容が書いてある。
授業に出てみると、教員によってはそれを半ば読み上げるような感じ。面白いはずがないです。まっさらな状態であらかじめ何も情報がなくて、これからどんな授業が展開されるのだろう、というワクワク感があって、その授業に参加していた時代から、このスライドを使う時代になって、教員の側でまず詳細なストーリーが予定されるようになった。さらに、その予定されているストーリーが授業の前にあらかじめ学生にまで配られるようになってしまっている。面白いはずないんですよ。