発言権から生まれる好循環の仕組み
だから学生達に発言を求めるのです。挙手した学生しか当てません。挙手してない学生をこうやって順番に当てていくのは拷問ですよ。「やだ私、絶対当たりたくない」っていう学生がいますから。なので、挙手してない人に発言を求めることはしません。完全に挙手制です。
そうすると、私が何か問いかけると学生達は手を上げるんです。最初のうちはパラパラですけれども、本当に何を言っても褒めて貰えるんだ、受け入れられるんだ、ということが分かり、かつ、他の学生の意見を聴くと、「いや、俺はそうは思わないんだけどな」という学生が何か言いたくなってくるんです。そうなればしめたものです。ガンガン手が挙がります。
意見が出だすと、挙手が競合します。問いかけるとバーって手が挙がるんですね。早いもの勝ちです、と最初に言っていますが、早い者勝ちも効かなくなる。みんな一斉にダッて手を挙げるから。
ときには私が質問してもいないなのに「はい!」と言って手を挙げる学生もいるんです。クイズ問題が終わる前にボタン押す人いるでしょう?あれとおんなじ。面白いですよね。「何答えるの?」って聞いたりして。
早いもの勝ちが効かなくなってきたら「発言権は前の列ほど高い」というルールにしましょう、と伝える。つまり、挙手が同時にたくさん挙がったら、前の列から発言する権利があるのです。内容にもよりますけれど、5人とか多くても7人くらいの意見を聞いたらもう他は聞けないから、後ろの方に座っていると当たらない。だから私の火曜日1限、1年生向けの「民法1」の授業では、9時始まりですが、8時55分くらいに行くと、前の5列はもう学生で埋まっています。そういう風に学生達のモチベーションを喚起することが、仕組みで実現できます。教室内の授業の運営の仕組みによって、学生達が「発言したいから前に座ろう」「前の席が混む前に行こう」「授業の開始前に行こう」と考える好循環が生まれるのです。私は前の方だけ当てれば済むから、楽です。というのは冗談で、もちろん、後ろの方の学生でも、手を挙げていたら指すようにしますけれども、基本は前が優先。そういうことが起こるのです。