07363 プラスを伝えるご機嫌よう
No. 07363, by shio / 塩澤一洋 https://flic.kr/p/2qHQZ5u https://live.staticflickr.com/65535/54294788696_5116616e9b_3k.jpg
「ご機嫌よう」を楽しく使っていると、相手の反応が色々で面白い。 そもそもなぜこのような挨拶を使おうと考えたか。
「ご機嫌」も「よう」も挨拶として適しており、日本語の他の挨拶にはない美点があるからです。
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Good morning
Good afternoon
Good evening
Good night
Good bye
すべて「good」です。「良い」というポジティブな単語が含まれています。ヨーロッパの他の言語でも大概同じ。例えばこんにちはなら、
Bon jour
Buon giorno
Buenas tardes
Guten Tag
Добрый день(good day)
你好(直訳すれば你はyou、好はgoodやnice)
すべて「良い」「素晴らしい」を含みます。
ラテン語まで遡ると、「こんにちは」は「salve」。意味は「ご機嫌よう」です。ドイツでは今でも使われると思います。
いずれも、相手の「良い」朝とか「良い」日を慮って発する言葉です。
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日本語の挨拶はどうでしょうか。
「おはようございます」は相手が「お早いですね」という意味。放送業界で終日使われるのは、(出番などに対して)早くからいらっしゃっていることを慮って使われるのだろうと推測します。
「こんにちは」、「こんばんは」は、「今日はご機嫌いかがですか」、「今日はいいお天気ですね」などの略。でも言葉として発せられるのは「今日は」「今晩は」の部分のみ。
「さようなら」は「それでは」。元は「さようならご機嫌よろしゅう」などだったのが略されたもの。言葉として発せられるのは「それでは」の部分のみ。
いずれも、大切な部分が言葉に表れていない。言語化されない。「みなまで言うな」(言わなくてもわかる)という日本的な奥ゆかしさなのかもしれません。でもshio.icon的には、大事な部分を省略してそうでない部分だけを口にするより、付随的な部分を省略して本質的な部分を言語化し、表現した方がいいと思う。
せっかく相手を慮るなら、ちゃんと言葉にして言った方がいい。
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「お疲れ様でした」は最悪。shio.iconはこの言葉を可能な限り避け、仕事をしていただいた相手には「ありがとうございました」と感謝の気持ちを言葉にします。
「お疲れ様でした」を英語に直訳したら「You were Mr./Ms. Tired.」。相手に対してこんな失礼なこと絶対に言わない。言うべきではない。ネガティブを言語化しないのは英語の基本。プラスを表現するのが英語。
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挨拶なのだから一言でプラスを表現したい。
その意味で、作業現場で使われる「ご安全に」は素晴らしい。放送業界で24時間「おはようございます」なのも、早く現場に入った相手のプラスを評価する言葉だから素晴らしい。
振り返ってみると、現代の挨拶では省略されてしまった部分である「ご機嫌よう」こそ、「(今日は)ご機嫌良く(好く)いらっしゃいますか」「(それでは)ご機嫌良く(好く)お過ごしくださいね」という「good」が含まる表現です。
加えて、「機嫌がいい」ことこそ、人間関係の基本。
機嫌良く過ごすことが、仕事や人間関係を良好に円滑に展開する基盤だからです。
こう考えてくると、「ご機嫌よう」、最高でしょ!!
実際に使ってみると「ご機嫌よう」を別れる時に使うのは自然だけど、会った時に使うことに違和感を覚える。
そこで精選版日本国語大辞典を引いてみました。
ごきげん【御機嫌】 よう
(「よう」は「よい」の連用形から) 久しぶりに出会った時、または別れる時などにいう挨拶のことば。相手の健康を祝ったり、また、それを祈る気持を意味する。
とのこと。1775年の用例が掲載されています。
なるほど、別れる時はいつでもOKで、会った時については、「久しぶりに」に会う相手に使う言葉なのですね。確かに「お久しぶり〜」より「ご機嫌よう」が良さそう。
「お久しぶり」も省略形。「お久しぶりにお目にかかりますがお元気でいらっしゃいましたか」といった挨拶が短くなったもの。「お久しぶり」だけだと、(会うのが)久しぶりである、という事実しか述べていない。
複数の私立小中高校で、「ご機嫌よう」が挨拶として推奨され、定着しています。特に多くの女子校では日常的に使われています。
男性諸兄もぜひ、このポジティブな言葉を日々口に出す素敵な習慣を真似しましょう。
🩷🩷🩷ご機嫌よう🩷🩷🩷
〈写真はSIGMA fp L / SIGMA 50mm F1.2 DG DN | Art〉
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