06145 多摩美術大学で担当している「情報と社会」の成績評価はScrapboxで完結、簡潔
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2020年度後期(秋学期)成績評価のひとつめ。多摩美術大学情報デザイン学科で担当している「情報と社会」の成績評価をwebで提出しました。採点作業はScrapboxのみで行えたので、非常に楽でした。 クリエイタ、アーティストの卵たちに対する著作権法と契約法(民法)の授業。
例年ですと、教室での授業中に学生たちが多様な意見を交わしますので、平常点の採点は発言回数。毎回授業終了時に学生たちが申告するその日の発言回数を、学期末に合算します。
2020年度、多摩美術大学で「実技科目」以外のクラスは「オンデマンド方式」になりました。「オンデマンド方式」とは、あらかじめ教員が録画しておいた「講義」動画を学生が好きな時間に試聴する方式。shio.iconは大反対。
オンライン教育には2種類あります。Zoomなどを使った「リアルタイム授業」と、「オンデマンド講義」。多摩美術大学以外でshio.iconが担当している3つの大学はすべて「リアルタイム授業」です。
オンラインであってもきちんと「リアルタイム授業」を実施すべきとshio.iconは考えます。授業は学生たちとの対話で成り立ちますから、「オンデマンド講義」は一方的に教員から情報提供するだけであり、「授業」が成立しません。特に法律学は解が多様ですから、知識の伝授が主眼ではなく(もちろんそれもいたしますが)、考え方、条文の使い方、書き方、論じ方を伝え、学生たちがそれを実践し、教員からフィードバックを繰り返すことよってそのスキルを身につけていくことが大切。法律科目は「実技科目」なのです。「授業」なら学生たちが意見として繰り出す多様な解によって学生同士が刺激を受け合う場が形成されますが、オンデマンド講義ではそれも期待できない。「講義」しかできないオンデマンド方式は法学教育に馴染みません。双方向、そして全方向の「リアルタイム授業」を行うべき。
とはいえshio.iconは雇われの身。大学の方針には従いますので、粛々とオンデマンド方式で「講義」。
それに対して学生たちは毎回、あらかじめshio.iconが提示した「7つ視点」に基づいてScrapboxに論述する(essayを書く)。shio.iconはそのすべてに、毎回コメントを書く。Scrapboxなので「返却」は必要なく、shio.iconが書いたらそのまま学生たちが読める。「提出」や「返却」を必要としないのがScrapboxの利点です。お互い、「書く」だけでいい。「保存」とか「送信」などまったくない。楽。 それによって一方通行の「オンデマンド講義」に欠けている対話性を補完しています。だから「オンデマンド講義」は、教員の負担が非常に大きい。あらかじめ相手のいない画面に淡々と喋り続ける。本来の「授業」なら授業中にリアルタイムで学生たちと対話をすべきところ、「授業」はせずに一方的な「講義」をする。だからそれに対して毎回学生にessayを書いてもらい、教員はそれを読んでコメントを書く。全員分。
時間がかかるし、負担も大きい。給料は同じ。
この1年間は学生に対してコメントを書く量が非常に多かったため、つくづくMacのライブ変換と親指シフトでよかったと感じます。ライブ変換は、変換操作ほぼゼロな自動変換。 一方、親指シフトはかな配列の一種。1万字書くためにローマ字入力ではおよそ2万回キーボードのキーを押す必要があるところ、親指シフトならおよそ1.1万回でOK。楽々(例えば「かきくけこ」と書くためにローマ字入力だと10押鍵、親指シフトなら5押鍵です)。
加えて、月に一回、30分だけZoomでリアルタイムに議論する時間も設けられているので、その時間は参加している学生たちと色々お話。質問にも答えるし、派生した話題に関しても対話する。学生たちが創作している作品の著作物性やその著作権についても対話します。この時間が最も大学らしい。
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期末試験は行わない(行えない)ので、平常点として評価の対象となるのは、学生たちが毎回書いたessayと、最終課題のessay。
すべてScrapbox上に書かれていますので、shio.iconはそれを開いて、読んで、評価すればいい。 とても楽。
紙に書いて物理的に提出するとか、Microsoft Wordなどのワープロアプリで書いてPDFファイルを送信して提出する、といったやりとりがゼロ。WordやPDFも「紙」の延長に過ぎない。本当にデジタルのメリットを享受するなら、総じて「紙」の発想を捨てることが大切。つまりページ概念を捨てる。ファイル概念を捨てる。やりとりしない。お互いにクラウドに書いて、お互いに閲覧すればいい。
クラウドサービスであるScrapboxに書けば、書いた瞬間、相手からも見える。だから学生も教員も楽々。 各ページにも段落ごとにもタイムスタンプが付くから、いつ書かれたか、編集されたか、一目瞭然。
2021年度以降、オンライン授業であっても対面授業が再開されても、「提出」系はScrapboxに集約し、「提出」を回避します。書くのも読むのもめっちゃ楽だから。 https://flic.kr/p/2ktFxDG https://live.staticflickr.com/65535/50852732366_e1a529486d_3k.jpg