20201112 臨床法学教育学会
学生が躍動する法学授業 ── リモートでもリアルでも能動的学習を引き出す手法とICT活用
成蹊大学法学部教授 塩澤一洋
2020年11月12日 18:00〜19:00
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イントロダクション
どういう授業か
法律のプロ:「この授業を学生の時に受けたかった」
ロースクール生:「本当のソクラティックメソッド」
発言自由。意思に基づく発言。
指名しない(マイク回さない)
予習不要
学生:「200分が短く感じました」
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授業の様子
前から埋まる
後ろがあいている
挙手の競合
オンライン化によりチャットで発言
仕組みで人を動かす
ゼミの様子
自主自律
自己紹介と経緯
ロースクール修了生にリサーチ
マイクを回すクラス、回答順序が決まっているクラスが7割
先生から「何も難しいことは聞いていないのになぜ答えられないのか」と言われた
先生から「読めばわかるのになぜ分からないのか」と言われた
先生は「条文が大切」とおっしゃりつつ、教えるのは判例ばかり
先生は「判例は事実が大切」とおっしゃるが、その前提であるはずの「条文の文言・意義」の教育が等閑、または御座なり
shioの授業のshioらしさ
目線が水平
人を見て法を説け
正解探しの旅に出たら二度と帰ってこられないよ。正解探しの払拭
学生の回答を受け止める。褒める。肯定する。理解を示す。その回答が問いと辻褄が合うように説明してしまう
先生と学生が一緒にマラソンしている感覚
いつも「なぜそう考えるのか」を問いかけ、表現させてくれる
マイクを回さない
「なぜ、この議論をするのか」から伝える
「学生は何も知らない」を前提としている
本当の初学者がいることを常に意識
すべて褒める
百選より六法
条文の読み方、使い方を教える
判例はゼミで扱う
条文は目次から
答案の書き方を教える
ナンバリング
根拠条文
「以上」
法的三段論法
授業のプロセス
1. 挨拶
2. 前回のshioへのメッセージにコメント
3. 前回のReview
4. 前回のQuestionの解説
5. 本日のTopics
6. 本日のQuestion
7. 本日の教科書とshioへのメッセージ
発言回数
基本方針
人に教えるのが最高の学習方法
ラーニングピラミッド
魚を与えて一日を養い、漁法(すなどり)を伝えて一生を養う
知識より手法
授業は体育だ
教育とは
自立、自律
多様性の尊重
授業の方法
予習不要 現場で考える
全方位対話
問いかけ
オススメ
レジュメ無し
授業ノート無し
授業準備はshioへのメッセージへのコメント書き
ノートの書き方を詳しく
万年筆の使い方、選び方
書考、喋考
アンキよりキアン
法的三段論法
条文の読み方
全員で音読
100回読むように
読み方
学び合いから教え合いへ
解の多様性
あなたの解を教えてください
発散する議論、収斂する思考
法律の面白さを伝えたい
相互添削:Scrapbox
答案を全員でシェア
最初から最終形態
完全タッチタイピングの習得
ICTの活用
レジュメ→Scrapbox
iPad Pro
GoodNotes 5
Apple TV
事前にいただいたご質問
授業を拝見すると、学生たちの発言を塩澤先生が肯定的に受け止めることによって、学生たちの発言が促進されているように思います。ただし、もっと先に進んだ授業になると学生の意見を明確に誤りと指摘しなければならない場面も出てきそうです。そのような場面での対応について、塩澤先生流の工夫はありますか?
最近の法律はその法律の目的が明文で書かれています。しかし,古い法律である民法には,目的が規定されていません。先生は,民法の目的をどのように考えておられますか?私は,民法は,私権の主体,客体,私権の変動(発生・変更・消滅)を規定することによって,個人の尊厳と両性の本質的平等を実現することであると考えています。
授業で,法律は自由のためにあるとされていますが,私は,法律は責任を規定し,その上で人々に権利を付与しており,それが人々に自由を与えているように思います。責任と裏腹で自由が確保されることを確認し,信頼を担保する責任感の強い法学部生を育てることが必要だと思いますが,いかがでしょうか。
講義動画、参考になります。 学生からの質問や感想がたくさん出ていることに驚きました。たくさんの質問や感想を引き出すため、心がけていることや工夫していることは、何かありますか?
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chatでいただいたご意見、ご質問
塩澤先生はマックユーザーで有名だったですから、以前からお名前を知っていたので感激です。
学生が掲げている紙の意味を説明されると面白いと思います。これから説明されるのだと思いますが。
三段論法は,ただし書を扱えないので,法的思考としては不適ともいわれています。ただし書はどのようにして三段論法に組み込まれていますか?私は,トゥールミンの議論の図式を勧めています。
学生の出来が悪いのは教え方が悪いと思うべき、ですね。
学生を信頼する
学生の積極発言を誘導する手法は賛成。予習不要については、社会に出た後、会議で思いつきでなく、検討した責任のある発言の姿勢については、いつ、どのように教えいただけるのか?
私は、米国留学中にソクラテスメソッドで、指名されたときに、プロフェッサーの意図する回答するため必死に、言語の問題もありますが、予習しました。教授の怖いほどの厳然とした教えと、それに応えたいという緊張感が好きでしたし、それが学習意欲、責任あるコミュニケーションの養生に繋がったと信じています。学生に積極性を引き出すことと、責任ある発言のバランスをどのように考えられますか?プロフェッサーは、決して私の発言を否定しなかったが、肯定もしない。極度の緊張感で、納得させる次の発言をせざるを得ない。鍛えられました。このような緊張感ある事業を如何にWebで実施するか?
モノを与えると自分は失うが,知識等を与えても,自分は何も失わない。むしろ,自分の知識・スキルが向上する。
仕事をしている社会人(公務員)に,現実の問題(行政処分の要件充足等)を題材として研修をするとき,直ちに正解を導く力をつけてもらいたい場合はまた別なのでしょうか。法令に基づかない検討(感覚的な意見)は求めておらず,通常の水準の職員が導く,裁判で通用する一つの正解を導く力を身につけて直ちに実現してもらわないと困るのですが,そうもいかない現実があります。
(上記のコメントに対する他の方からのコメント)条文から初めて、そのの読み方、事実のあてはめ方、基本的な解釈の仕方がきちんと教えられてないということではないでしょうか? それこそ法学部、法科大学院で徹底的に教えるべきということではないでしょうか
(コメントに対するお返事)一面,その通りです。条文,法令,上司の命令,自分の権限と役割を認識して,職務を果たすという意思があって,技術的に,法律を使いこなすことが必要なのですが,どちらも欠けている方につて,(時間をかけずに)何をどうすれば良いのかと悩んでいるところです。
塩澤先生の方法は、コモンローではない、日本でのソクラティックメソッドのやり方なのかなと感じました。感想まで。
たいへん興味深い話の最中に本当に恐縮なのですが、19時から別件の会議があり、ここで退席させていただきます。申し訳ございません。お許し下さい。
ありがとうございました
ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。ここで失礼させていただきます。
ありがとうございます。
塩澤先生 ありがとうございました。心が躍動しました!これで退出させていただきます。
ありがとうございました。とても得るところ多かったです!
ありがとうございます。
塩澤先生ありがとうございました。楽しく聴講させて頂きました!
ありがとうございます。失礼いたします。
都合で最後の部分しか参加できなかったのですが、雰囲気はよくつかめました。参考にさせたいただきます。ありがとうございました。
ありがとうございました。途中で退席するかもしれませんので、1つだけ聞きたいことです。塩澤先生がポイントとして言われる手法も哲学もいちいち素晴らしいので、少しでも取り入れて授業に生かしてみたいと思いますが、なかなかできる自信がないなあ、と思う方も多いかと思います。塩澤先生はそれを実践できていることがすごいと思いますが、ご自分の授業を録画して振り返って改善するというようなことを繰り返して今日に至っているのでしょうか?その辺の努力の過程を少し聞きたいのですが。
ありがとうございました。民法だと範囲が広く、民法1でどこからどこまでやるといった「守備範囲」が決まっていると思うのですが、それらの「カバー」はかなり気にされるのでしょうか。それとも学び方を学ぶことが大事なので、全体をカバーすることはあまり気にしないのでしょうか。
学生を信頼すること、解の多様性を重んじること、とても重要だと感じました。ローの授業でこれをいかに実践するか、上記を重視すればするほどおそらく授業時間がいくらあっても足りない状況になりそうです。これをどうするか、自分でも考えてみたいと思いますが、何か良いお知恵があればご教示いただければと思います。が、申し訳ありませんが、私も次の所用がございますため、ここで退席させていただきます。塩澤先生、ありガツオございました。またどこかでお目にかかれればと思います。以上
塩澤先生、ありがとうございました。失礼しました。
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