2018シラバス「演習II・演習III・演習IV」
科目名:演習II・演習III・演習IV
科目ナンバー:
単位数:8
配当年次:2年・3年・4年次
テーマ・概要
テーマ:民法と著作権法(知的財産法)に関する判例を研究して「shioゼミ判例十選」を作ります。
法律学とは「規範を」「事実に」「適用する」学問です。「法的三段論法」と呼ばれるその3つのプロセスで論理的に考えるチカラを鍛えれば、世の中のさまざまな問題をロジカルに思考できるようになります。shioゼミでは、民法と著作権法(その他の知的財産法)に関する重要判例を使ってそのチカラを磨きます。
現代社会を動かしている様々な取引とその法的問題を探り、事実の把握、法律構成、法適用、そして判例を評価するチカラを養います。その過程で、民法、著作権法に規定されている諸制度を横断的に検討し、理解を深め、判例・学説の知識を身につけながら議論を深めることによって、法体系を立体的に把握していきます。
判例で問題となった事案について自分の頭で考え、意見を述べあうことによって「規範を」「事実に」「適用する」チカラを養い、法令を道具として「使える」ようになりましょう。法的な思考力を身につけるとともに、法的な解決には多数の解があり「唯一の正解」は存在しないことを体得し、複数の解を出したうえでその中からより妥当性の高い解を見つけていく知的な訓練です。またすべて過程で、ITやwebのリテラシーを身につけていきます。ゼミ中は大学のiPadを貸し出します。
前期はゼミ生たちで判例を選び、全員で分析、研究します。その過程で、法的な事実の捉え方、条文の読み方、解釈の仕方、法適用の方法、判決文の読み方を学び、判例を素材とする研究の手法を会得します。それを踏まえて、後期には各自、判例を選んで研究し、その成果の集大成として、後期の最後に「shioゼミ判例十選」という論文集を作ります。
なお「演習IV」を履修する4年生、およびLEコースで「演習III」を履修する3年生には、その論文が「卒業論文」となります。
到達目標
DP2(課題の発見と解決)、3(他者との協働)、4(自発性、積極性)、5(表現力、発信力)、6(専門分野の知識・理解)、7(法的素養に裏打ちされた判断力)を実現するため、次の3点を到達目標とする。
① 判例の法的意義を理解して選択し、ゼミ生全員で協力して判例評釈を執筆し、「shioゼミ判例十選」を製作する。
② 論理的な文章表現と口頭表現ができるようになる。
③ 条文を体系的に読み、解釈し、事実に適用して事案を法的な解決に導くことができようになる。
授業の計画と準備学修
第1回〜第30回
授業の計画・内容:ゼミの主役はゼミに参加している学生たちです。ゼミ生がプレイヤー、担当教員はコーチです。したがって、ゼミで扱う判例や判例十選で扱う判例の選択など、すべて参加者と担当教員とで協議して計画を立て、進めていきます。
準備学修(予習・復習等):検討する判例を班ごとにサブゼミ(グループワーク)
準備学修の目安(分):班ごとに90分以上
授業の方法
ゼミは2年生(演習II)、3年生(演習III)、4年生(演習IV)が合同で行います。
週2回開講で、1回が「本ゼミ」、もう1回が「サブゼミ」です。両方セットでの履修と参加が必須です。まず前期の最初に2、3、4年生混成の班を作ります。次に素材となる裁判例(民法又は著作権法)を選びます。その判例を班ごとにサブゼミで検討し、事実を明らかにし、条文を解釈し、資料を調べ、班の見解を作成します。それを「本ゼミ」に持ち寄り、班の見解を全体にプレゼンテイションしたうえで、議論をします。
前期の間に3つくらいの判例を研究します。その過程で判例の評価方法を身につけ、口頭表現力を養うとともに、文章表現力も磨きます。
そのスキルを前提として、後期は各自が一つの裁判例を選び、研究し、評釈を書きます。全員の論文を全員で共有し、互いにコメントを書き込みあって、より良い論文に仕上げて行きます。もちろん塩澤も添削いたします。完成したら最後に「shioゼミ判例十選」として成果を形にしましょう。
「?」と「!」の循環を探訪しながら自己の価値観を磨き、真理を探究していくのが学問です。その過程で、プレゼンする力、文章を書いて表現する力を会得します。ゼミの友は一生の友。普段のゼミの他、ゼミ合宿、裁判所見学、お食事会等、みんなで企画し、楽しく充実したゼミにしましょう。
なおタバコの煙は他者の健康を害しますので、当然のことながらゼミの活動は合宿やイベント等も含め完全に全面的に完全禁煙です。
成績評価の方法
ゼミというコミュニティーに対する「貢献=コントリビューション」を評価して成績を付けます。ゼミに対してプラスに作用する働きかけはすべて貢献です。
班の仲間とともに十分に準備し、ハンドアウト(文章表現、図解表現、論理表現)を作成し、プレゼンし、自発的、積極的に考えてアイディアを発言し、疑問を呈し、他者の見解をより良くするアイディアを出し、根拠となる資料を探し出し、その意味を解明するなど、議論を面白く発展させていくことはすべて大きな貢献となります。そのほか、ゼミを楽しくし、人間関係を深めて、互いの成長に寄与していくことが本質的に重要です。そのために、ゼミの運営に主体的にかかわり、ゼミやサブゼミを活性化し、各種の企画などをすることによって、いろいろな貢献ができます。成績は、それら一人一人の貢献を総合的に評価します。
「演習IV」及びLEコースの「演習III」で卒業論文を執筆する必要がある人については、「shioゼミ判例十選」に掲載する論文を卒業論文として評価します。論文の提出締め切りは2019年1月31日です。
成績評価の基準
成蹊大学の成績評価基準(学則第39条)に準拠する。/Grades in the course are based on the criteria of Seikei University Regulation No.39.
必要な予備知識/先修科目/関連科目
民法I、民法II、民法III、民法IV、知的財産法
テキスト
法令集。例えば、
信山社『法学六法 2018』(1,000円+税)
第一法規『法科大学院試験六法[2018年度入試対応版]』(1,200円+税)
参考書
ゼミの進捗に合わせて、図書館にあるたくさんの資料を使います。例えば、
金子宏・新堂幸司・平井宜雄編『法律学小辞典<第5版>』有斐閣(又はそのアプリ)
池田眞朗『スタートライン債権法』日本評論社
池田眞朗『スタートライン民法総論』日本評論社
質問・相談方法等(オフィス・アワー)
ポータルサイトで周知する。