011:「何をどう発信したらウケるか?」を考えるよりも…
2021/12/24
https://anchor.fm/shigotano/episodes/011-e1c3ig5
おなじみのキャストが勢揃いしている「パトリオット・デイ」を是非とも観に行きたくなる理由は「LOST」を繰り返し観たくなる理由とぴったり一致します。
そこに行けば「なじみ深くて新しいもの」がほぼ間違いなく手に入るという確信が持てるのです。
このくだりは、「飛べ!フェニックス」という映画を題材にしているのですが、太字にした「僕は映画を見ながら別のことを考えました」という部分がまさに作り手の(やや手の込んだ)メッセージといえます。
こうした、ふとした連想を喚起せしめる力。これをどうにかして自分の中に取り込みたい。それがゆえに映画をくり返し観続けているのだと思います。
『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』の中でも著者の押井守さんは「映画はケーススタディです(p.170)」と言い切っています。すなわち一般化を試みることで自分なりの再現性を追及するわけです。
「町山智浩観」にしても「押井守観」にしても、単に背景知識や映画ウンチクだけで成り立っているわけではありません。その人がそれまでに生きてきた中で培ってきた人生観や世界観といった、長年にわたって継ぎ足し続けられた“秘伝のソース”がベースにあり、そこに知識をひたしていくことで生まれます。
知識だけでは味気ないのです。
そう考えると、ただ漫然と映画を観るだけというのは実にもったいない時間の使い方だと思えてきます。
映画を観終えると、つい「ネタバレ」とか「正しい解釈」を求めてえんえんとネットサーフィンをしてしまいがちですが、まぁ、それも楽しみの1つでもあるのでやってもいいとは思いますが、それに加えて、その映画作品からどんなメッセージを受け取ったのか、どんな新しい視点が得られたのか、どんな感情がわき起こったのか、あるいは、どんな古い記憶が蘇ってきたのか、などなどについて、いちいち時間をとってまとめておくと、自分だけの“秘伝のソース”(sauce/source)が味わい深くなるのではないか、などと考えたりしました。