【交通事故】同乗者のシートベルト未着用と過失相殺
神戸地裁令和5年9月28日判決(交民56巻5号1284頁)
事故発生時に後部座席にシートベルトを着用せずにいた同乗者について、未着用が受傷の原因、あるいはその程度が拡大した要因となったことは否定できないこと、受傷の可能性が高まり、受傷の程度が拡大することは具体的に予見可能であったことを理由として、10%の過失相殺を行うことが相当であると判断
いわゆる「なお書き」において、「道交法71条の3 第2項による規範の対象は運転者に限定されているが 、損害発生拡大へ の寄与に照らして損害の公平な分担の観点から損害賠悩請求権の過失相殺の要否を検討することと、道交法において警察官等による取締対象となる者の範囲を定めることとはその目的が異なり平仄をあわせる必然性はなく、かつ、過失相殺の前提となる過失(注意義務達反)は法令違反の場合に限定されず、 慣習や条理等に反する場合も含まれるものと解されるから、 上記判断を左右しない」とされている。