インタフェース設計論 授業ページ
6. テキスト入力システム
本日の話題
日本語入力手法
各種のキーボードやデバイス
各種環境の入力
モバイル時代の入力
小さな画面での入力
VR時代の入力
テキスト入力
知的生産に必要
検索に必要
日本文入力方式 (JI) 1981~1984
日本語文書処理 (JDP) 1985~1986
文書処理とヒューマンインタフェース (DPHI) 1987~1988
ヒューマンインタフェース (HI) 1989~2006
ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI) 2007~
各種デバイスの問題
キーボード
Dvorak, Qwerty
セミコロンなどの配置
タブレット
マルチタッチ
スワイプ
極小画面での入力
VR環境での入力
入力手法のトレンド
特殊キーボード
ペン / タッチ
文字認識
曖昧入力
少数キーボード
傾き利用
日本語入力システムの問題点
パソコン
ボタンやファンクションキーが多すぎる
半角/全角、無変換、変換、カタカナ/ひらがな
ケータイやスマートフォン
何故かキーが多い
状態遷移が難しい
方式がバラバラ
パソコン / ケータイ / PDA ...
将来出てくる装置でも?
サイネージではどうなる?
パーソナライズできない
同じ単語を何度も登録?
辞書共有できない
複雑化する原因
連文節変換
何故か主流だが問題が多い
インライン主義
アプリとの融合に無駄な苦労
細かい特殊機能
半角カナ変換、ギリシャ文字変換、...
Google日本語入力開発で一番苦労したらしい
日本語入力の歴史
漢字表とデジタイザ
2キー入力
文節変換
連文節変換
予測入力
かな漢字変換の発明者問題
元湘南工科大の天野氏が東芝を提訴
2012年5月 643万円で和解成立
連文節変換の問題点 (1)
正確な入力が必要
間違いが許されない
正確に打てない人には使えない
IoT時代に向いていない
連文節変換の問題点 (2)
読みが長くても全部入力必要
「品川駅まで」の入力に「shinagawaekimade」とか
予測式なら「shinag」「mad」で充分
高速に正確に入力できる環境や人は稀
手指が器用な熟練者が座っているときだけ
モバイル/ユビキタス環境ではほぼ無理
連文節変換の問題点 (3)
本質的に誤り訂正が必要
「きょうはいしゃにいった」は正しく変換することは不可能
歯医者? 医者?
訂正用の余計なキー操作
文節選択, etc.
曖昧入力をやりにくい
連文節変換の問題点 (4)
単語登録などカスタマイズが面倒
他のシステムと辞書を共有しにくい
連文節変換の問題点 (5)
他国語と併用できない
大阪弁辞書は使えるか?
連文節変換の問題点のまとめ
間違いが許されない
必要な操作が多い
訂正が必須
カスタマイズが難しい
日本語の標準語でしか使えない
⇒ 良い点がほとんど存在しない!!??
SKK
大文字入力で漢字入力
小文字だとひらがな入力
送りがなの部分でまた大文字入力
e.g. KaeRanai => 帰らない
SKK
実装が比較的簡単
辞書がシンプル
慣れると高速
×日本語以外では使えない
Gyaim
MacのIME
モバイルテキスト入力手法
キーボードの問題点
場所をとる
電車の中では邪魔
安定した机と椅子が必要
両手が必要
手がふさがっていると使えない
かなり練習が必要
修業を積んだ器用な人が、他人の迷惑にならない場所で、机の上で使う場合に限って効果的
特殊キーボード
分割キーボード
片手キーボード
特殊ポジションキーボード
SHK
複数の文字をひとつのキーに割りあて
「曖昧解消キー」
Pilot版など
Half-Qwerty
キーボードの右半分を左に折り返した配置
よく使うキーを15個に割り当て
ミサワホーム開発/販売
子音と母音の組みあわせでかな入力
富士通のキーボード
子音と母音の組みあわせでかな入力
同じキの2度押しで高頻度文字入力
複数キーの組み合わせでそれ以外の文字入力
母音と子音を左右に配置
スティックで文字入力
Fingering
指の振動でキー操作を検出
指の組みあわせでキーを指定
テンキー端末の傾きでQWERTYキーボードの位置(左/中/右)を選択
ビデオ: HoriKeys
四本指入力
QWERTYをa,s,d,fにマッピング
デモ: 四本指入力
テンキーで文字入力
曖昧性の自動解消
欧州携帯電話で普及
NECのケータイ
TouchMeKey
子音のみ指定して日本語入力
10キー / 4キー
PPM (Prediction by Partial Match)法で単語予測
何度も同じキーを押さずに文字を入力 (c.f. T9)
「補助キー」使用(「1」)
補助キーを押しながら「2」〜「9」キーを押すと代表文字を選択
補助キーを押さずに「2」〜「9」キーを押すと上記以外の文字が選択
曖昧性があるが だいたい当たる
字形に似た操作で文字入力
Palmの入力エリアに貼り付けるキーボード
「らっこ」キーボード
H4Writer
ハフマンコードに基づいて最短入力
H4Writer
キー割り当て
1 Line KB
Qwretyを1列に並べる
枠をタップして候補選択
各種のペン/タッチ入力手法
T-Cube
Unistroke
Graffiti
Quikwriting
Cirrin
Octave
楕円キー配列
Fitaly配列
Metropolis配列
Shark
Swype
ShapeWriter
ペン計算機
立って使える
小さい計算機でも大丈夫
邪魔にならない
壁かけメモ/伝言板になる
サイネージとして復活するかも?
iPadでブレイク?
T-Cube
パイメニュー方式
1ストロークで1文字入力可能
日本語T-Cube
かな入力に適用可能
熟練者は140文字/分入力可能
iPhoneの「フリック入力」はこの変型
Unistroke
アルファベットを一筆書きにマッピング
連想記憶可能
多少複雑化するがかな入力に適用可能
Graffiti
Zoomer, OmniGo, Pilot等で採用されている商用の一筆書き文字認識システム。
1ストロークで1文字入力可能
Unistrokeより字形に近いので覚えやすい
中心領域を除く部分を角度で8分割
ペンの領域間移動により入力文字を選択
中心/右/中心 →
``
t'' 中心/右/右上/中心 →
``
u'' ペンをタブレットから離さず入力可能
8pen
ペンを動かす方向と回転で文字を指定
Cirrin
円周上に配置された文字の上をペンでなぞる
よく使われる文字の組は並んで配置
四角のエッジをたどって文字入力
Quikwritingと同様のペンストローク
ペンを8方向になぞって字形で文字を選択していくと
候補単語が予測され、
正しい単語が予測されたところでペンを離す。
字形を表現するキーで文字入力
楕円ソフトキーボード
ソフトキーボードを楕円形に配置
ソフトキーボードの入力効率改善
Fitalyキーボード
ペン移動を最小にするキー配置
Metropolisレイアウト
ペン移動を最小にするキー配置
Shark
ソフトキーボードの上でなぞる
Modern Touchscreen Keyboards as Intelligent User Interfaces - A Research Review
by Shumin Zhai
SplitBoard
TapBoard
Bimanual gesture keyboard
DualKey
タッチする指によって文字を変える
美馬氏のシステム
TiltType
TiltText
SWiM
GesText
Swipeboard
ZoomBoard
SwipeZone
SwipeBoardをHMDで使えるようにしたもの
入力システムの理想
ユニバーサル
誰でも
ユビキタス
いつでもどこでも
ネット資源の有効利用
機能の単純化
アプリやOSとなるべく独立させる
インライン変換などにこだわらない
余計な機能は用意しない
かな入力? 記号入力? 全角変換?
熟練を要求しない
ネット資源や実世界情報を活用
辞書をネット上に置く
グループで共有
変換システムもネット上に置く
Google API
ネット上の情報を辞書などに利用
現在ホットな単語を使うなど
位置情報 / 時刻情報なども活用
「直接入力」でなく「検索で得られた侯補からの選択」による
なるべく少ない操作で検索条件を与える
検索結果を動的に表示し選択の対象とする
曖昧パタンマッチを活用する
POBoxの具体的手法
ソフトキーボードで読み/綴りの一部を指定
条件にマッチする単語を使用頻度の高い順に侯補として表示
例文辞書を使用し、前の単語から次の単語を予測
マッチする単語が無い場合は曖昧検索実行
POBox搭載製品
携帯電話
エアボード
小型VAIO
文字認識との融合
ソフトキーボード上で文字を描くと文字認識モードに移行
RubyMotionで作ったIME
自然言語処理なし
単語を検索するだけ
それなりに使える
デモ: Gyaim
かなキーボードの工夫
頻出発音の入力効率化
デモ: かなキーボードの工夫
T9式曖昧入力と非曖昧入力の融合
デモ: 5×2キーボード
検索と入力の共通化
Migemo
POBox辞書を検索に利用
入力できるものは必ず検索できる<br>
(読みが間違ってても大丈夫!)
デモ: Migemo
まとめ
入力システムはまだまだ発展途上
新しい環境/デバイス向きの工夫が可能
検索、予測インタフェースとの融合=