編入試験について調べる
とりあえず自分が情報を集めるにあたって気にしていた観点を書いておく。「編入は情報戦」といわれがちだが、調べれば普通に出てくる。調べましょう。
調べたこと
そもそも編入を受け入れている大学と学科は?(実質的な)定員は?
自分の高専からの進学先は?
出題科目は?傾向は?面接の内容は?時期は?
先輩はどこに行ったか?
参考書は何を使ったか?
過去問とその解答はどこ?
調べる方法
学科の進路資料室でいろいろ見る
信頼できる情報が手に入る。編入試験が近づけばそのあたりはアナウンスがあるだろうが、いつでも入れるはず。明石高専E科の場合、先生にいうと鍵を開けてくれます。
大学Webサイトから募集要項を見る
理学部や文系学部に編入できるところも多い。工学部でも、物理工学科などに編入できる場合がある。
一般入試における難関大学が編入においても難関とは限らない。難しそう〜な大学でも幅広く調べた。一般入試で求める学生像と、編入で求める学生像は異なるのだろう(なんで高専生編入枠があるのかよくわからんが)。定員・倍率はアテにならないので、実際の合格者数を見るようにした。
編入は試験科目がコロコロ変わるので告知も追っていた。大阪基礎工は2021年実施試験から一部科目が削除されたが、その情報は2021年5月の募集要項の発表を待たず、最速で2020年11月に手に入った。 過去問を見てみる・解いてみる
先輩からもらうのが一番速い(解答ももらえるので)。高専によっては過去問を蓄積している。
大阪大学基礎工学部・工学部の過去問は(公式ルートだと)学校経由でしか入手できない
電通・農工・神戸など:Webサイトに直近3年分を公開している
東京など:郵送してくれる
寮・部活の先輩
問題集、過去問いろいろもらって話も聞いた。潮寮なら冬に進学セミナーもあるけど、別にそんな機会を待たずに部屋に突撃した。
編入体験記
検索すればいろいろ出てくる。「体験談」と「体験記」の表記ゆれがあるので、「編入体験」と調べれば両方にヒットする。過去問解答を配布しているサイトもある。
ZENPENにはいろんな大学の編入体験記がある。キャッチアイ画像とタイトルの大学名が一致しないことがあるが、そのときはタイトルを信用すればいい。YouTubeチャンネルは見たことない。HenTaiにも少しあるが、若干古い。 「編入体験記を書いて、それをインターネットに公開する」というハードルは案外高い。あまり自分の体験を振り返ったり、人と情報を共有することに興味がない人・慣れていない人もいる。ネットにある体験記はその時点ですでに内容が偏っている。学校にある受験報告書を読んだり、寮生なら先輩の部屋に突撃したりして、ネットに出てこない部分を知っておきたい。
ZENPENの編入説明会
編入生の体験を聞いたり、受験生としゃべったりするイベント。有志が主催している。少なくともそういうイベントに参加する程度にはマジメな人が集まってくるので、その時点である程度雰囲気が偏っている。 京大の人に「就職でもいいかな〜って思うんですよね〜」って言ってみたら「え!?このグローバルの時代なのに修士すら取らないでどうするの?」とおっしゃっていた。どうしよう。3年でインターンのついでに行った当時は研究室とかもロクに調べてなかったので、筑波の人と雑談したのが一番楽しかった気がする。
編入体験記を読む
みんなそれぞれのエピソードがあって面白いので、最初は手当たり次第読んでいた(最終的には50人分は読んだ)。読んでいるうちに次のような基準ができてきた。
絶対視しない
後輩に話を聞くと「誰それさんはこれぐらいやってるのに、俺はアカンわ」というようなことを聞きがち。Amazonアフィリエイトとおしゃれな画像で固めた所詮「編入ブログ」にもうさんくさいのはあるし、やっぱりこういう文章では(合格後のテンションで)数値をちょっと盛りたくなる。たぶんこのページにも大げさなところがあるんだけど、なかなか気づけない。勉強にはいろんな方法がある。いくら編入生とはいっても、せいぜい5回しか受験していないので、正しく分析するのは難しい。
すぐ影響されちゃうタイプなので、以下のような強い表現を中和するためにも、多くの体験談を読んで十人十色であることを実感するよう心がけた。また、体験談の内容をただ鵜呑みにするのではなく、考えたり実際にちょっと真似してみたりして、その内容が自分に合うのか合わないのかできるだけ確かめるようにした。早くから始めたのはそのやり方を試行錯誤する余裕を確保するためでもあった。
熱血・辛口な文章は差し引いて捉える
「こんなんできるか‼」と思ってしまうので。一生懸命にやることよりも、自分の学力を一番伸ばしやすいと思われる方法で取り組んだ(実際にはできなかったけど)。おそらく一所懸命にやることで最大効率を発揮できる人もいれば、そうじゃない人もいる。そしてお互い「なんでこんなに勉強していられるんだ」「なんでこんな学習期間で受かるんだ」と思っている。
こんな構文は疑ってかかる
「〜べき」「必ず〜」「絶対」
例:「一日10時間勉強すべき」「前日は早寝するべき」「朝に勉強するべき」「キッチンハイターを飲むべき」
所詮その人の体験なので…。Wikipediaなら「独自研究」「要出典」が貼られる。
「〇〇があれば大丈夫」or「〇〇がなかったら受からなかった」
〇〇の例:「向上心」「集中力」「一緒に勉強する仲間」「海外研修」「徹底研究」「明確な志望動機」「熱意」
出願書類と筆記用具なしで受かるのはキツいが、その他の抽象的なものはなくてもなんとかなった。たとえ受験票を忘れても大丈夫(ほんとだって)。
他の大学の体験記
出題分野が似ていれば参考書はヒントになるし、出題分野にかかわらず勉強法は真似できる。
不合格体験記
探せば見つかる。案外多い。合格したからといって勉強の方法がよかったとは限らないし、不合格だったからといって何かが絶望的に間違っていたとも限らないので、説得力に差はない。だいたい点数は連続的なものであって、ギリギリ受かった人もいればギリギリ落ちた人もいる。
よく読んだ体験談
個人的なチョイス。「よかったからお前も読め」って言ってるわけではない。引用部を見てもらうと、けっこう影響されていることがわかると思う。
ここで昼休みに入ったのですが、一緒に受験していた友達からのLINEを見てしまいます。『数学、小問1つ以外は全部解けたかな』という内容でした。(中略)完全に心が折れて、「うわーーーやらかしたーーー」と言い続けながら昼ご飯を食べました。実はこの後受ける英語にもこの心持ちを引きずってしまいまして…。
以上二人は明石高専からで、過去問の出来が似ていたのでメンタルサポートとしても摂取していた。
簡潔にまとまっている。過去問解答を拝借した。信頼できるのでおすすめ(英語は見てない)。
自分が最大で 1 日どれくらいなら勉強できるかというのを考えて, その7 ~ 8 割くらいをコンスタントに勉強し続けるというのがいいんじゃないでしょうか。残りの 3 割は休憩などをして, 心身を労るのが大切です。僕は早い段階から受験勉強に着手して, 結構 1 日あたりの勉強量は減らしていました。
情報量が多くて、それぞれの時期にどんなことを考えていたのか知れた。合格後の話も知れて便利。
『編入数学徹底研究は簡単って体験談に書いてるのに,全然解けない,才能がないのかな』と落ち込んでいませんか?はじめはきっとそういうものです.少なくとも私はそうでした.2,3週してやっと身に付きました
東大の数学の過去問がかなり解けたので正直油断していましたが、これは罠で平成20年あたりの過去問から全然解けなくなってかなり焦りました。20年以降難易度が急に上がっていると思うので、過去問に手を付けるときは注意して下さい。
そして、1日10時間も勉強するのは少なくとも僕は無理でした。他の編入生は割と皆10時間10時間言ってるので(自分も10時間やらないといけないのかな……)ってなりますが無理して10時間やるのはストレスにしかならないのでやめたほうがいい気がします。
2回受けた感想なんですが、多分問題や科目ごとで偏差値換算やIRTかなんかが用いられてる気がしてきました。英語で自分の半分書いてるか怪しい人が自分と30点くらいしか変わらないってあるのかなって感じです(中略)あと、H28だかH29だかの受験者(物理の1問目が車に乗ってn個に分裂した玉を転がすやつ)が「力学最後の1〜2問白紙、光学半分くらいしか書いてないけど275/300だった」って事例もあるし、多分誰も解いてないやつのweightは軽いんじゃないのかな。
情報の共有
調べたことはTwitterなどで共有していった。情報を流す人に情報は集まる(ってメンターが言ってた)。
先輩やネットで収集したりスキャンしたりした過去問はGoogle Driveに整理して、興味のありそうな人に渡していった。それを会話のきっかけに、問題集や志望校の情報を交換したりした。過去問がほしい人は気軽に連絡してください。過去問を得るために筆者をフォローしたり、筆者と仲良くなったりする必要はありません。
他人の足を引っ張ることで自分の利益を得たくなかった(得られるとも思わなかった)。やろうと思えば過去問や情報を独占することもできたが、そんなことをするのはバカバカしい。学生課に紙で蓄積された過去問を10人20人で別々にPDFスキャンする手間を考えるとゾッとした。そんなプロセスは省いて浮いた時間で寝たり勉強したりするほうがいいに決まっている。
また、限られた枠を賭けて相対的な学力で競うゼロサムゲームとして、受験を捉えたくなかった(たしかに枠は限られているけれども、全体の学力を考えればゼロサムではない)。言い換えれば「情報を共有すると、相手はそれだけ情報収集のコストを浮かせて、その余剰を勉強・休憩に使えるので、それだけ自分が損をする」という考え方をしたくなかった。もちろんそう思うのは個人の価値観によるが、ゼロサムとして捉えるとそのことだけで(なぜか)やる気が失せてしまうという現実的な問題もあった。何度も述べているように動機が弱いので、「他人を蹴り落としてでも自分が通る」必要がある(ことを強く意識させられる)となれば、「じゃあ自分はいいや、寝よ寝よw」と手を引きかねなかった。編入は枠が小さいから、1つの枠の意味が大きく感じられた。それでも滑り止めは受けたんだけど。
実際には出身高専やら家庭環境が絡むので理想的な平等とか協調は実現できないのだが、ちょっとでもマシにしようとした。