おさないんの夏ができるまで
この記事は、はんドンクラブ Advent Calendar 202516日目の記事です。
※はんドンクラブ外から来た方へ:この記事は多分にはんドンクラブの内輪ネタを含んでいます。楽曲のサウンド自体や楽曲解説は参考になるところがあるかもしれませんが歌詞等の文脈は全くわからないと思います。その点ご容赦ください。
まえがき
冬ですよね、寒いですよね。ということで、少しでも皆様の心が温まるように、夏の曲『「サマーおさないん宝くじ」テーマソング』の楽曲解説をやっていきます。
「YouTuberがすなる楽曲解説といふものも、私もしてみむとてするなり」の気持ちです。
動画でしようかなあとも思ったのですが、私は文字媒体で解説を読むのが好きなのもあって、今回は文字+動画の形式でやってみようかと思います。というか動画のアドカレも見てみたいですよね。誰かお願いします。
だいぶ音楽の専門的な話を書いています。すみません。なんか雰囲気で感じ取ってもらえたらうれしいです。
楽曲はこちらです。これだけでも聴いてもらえたら嬉しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=mTNk9bOVvsk
本編行きましょう。
それは或る春の日。予兆もなく、こんなリプライが飛んできました(縦に長い)。
https://handon.club/@S_iRe_N/114142196438483936
https://gyazo.com/05cd16cbc53ca87a4792228e8cb487f1
ちなみに歌詞の元ネタはこれです、ひどすぎたのが元で上の歌詞ができるまでになってしまいました。
@osa9: 高尾山でひいたおみくじ救いがなさすぎて泣いちゃった
https://pbs.twimg.com/media/Gljn4AvaYAAmVHP.jpg
——と、いうことで。面白そうだったので、作ることにしました。
もうちょっとちゃんと言うと、この頃はあまり忙しくなく(今年後半になって忙しくなるのですが)、歌モノも作りたいけど歌詞を考えるのが苦手な私にとって渡りに船だったのと、「\STEPN GO/」など掛け合い的なフレーズもあり、作りごたえがありそうだなと思って、作ってみることにしました。
曲の作り方には色々あると思いますが、最近は私はコンセプト決め→作曲→編曲(ラフミックスもする)→ミックス→マスタリング、の順番でやっています(※ループものを作る場合などは、作曲と編曲を分けないことも多いが、コンセプト決めを最初に行うのは同じ)。
音には無限の可能性があるわけですが、それでは形にならないので、どこかで線を引く必要があるわけです。また、線の引き方も決める必要があるわけです。
この曲は、コンセプトをこんな風に書いていました。
https://gyazo.com/faf65dd3d5322d9c83729e239337535c
クソ真面目に書いてますね。まあでもこれが指針となったから、その質はともかく、ある一定の方向性に向かって曲を書いていけた、のだと思います。
作曲
では作曲、見ていきましょうか。
私が言う「作曲」は、メロディーとコード(暫定)を付けること、としています。
※動画視聴上の注意
音量差がある場合がございます。ご注意ください。
ノイズ的な音が大きくなっています、お聞き苦しいところがありますがすみません、ご容赦ください(音声書き出し等の編集が発生してそれをしていると時間が足りなさそうなので・・・)
https://gyazo.com/b70c9720a8b1e7aa91b74d33637f18fb
(右上のStereometerくんが左右に揺れててかわいいですね)
コード進行も貼り付けちゃいましょうか。こちらです。
code:chord
Key: Gm
Intro
| Eb^7 | F7(9,13) | D-7 | G7(b13) |
| C-9 | Bb/D | Eb | D7sus4 D7 |
A
| G-9 | Eb^7(9,13) | C-7b5 | A-7b5 D7(b9) |
| G-9 | F/Eb^7 | C-7b5 | D7(b9,b13) D7(b9) |
| G-9 | Eb^7(9,13) | C-7b5 | A-7b5 D7(b9) |
| G-9 | F/Eb^7 | A7(b9) Eb/F | D/E ||
B
| Eb^7 | D7(#9,b13) D7(b9) | Db^7 | C-7 |
| B^7 | F/Eb | Gsus4 | G ||
C-Sabi
| Eb^7 | F7(9,13) | D-7 | G-11 |
| C-7 | D7(b9,b13) D | G-11 | G7(b13) G7 |
| C-7 | D7(b9) ||
Inter
Key: Bb
| Eb7(#11) | Gb^7/Ab | Bb^9 | |
| Eb7(#11) | Gb^7/Ab | A-7b5(b13) | D7 ||
B
Key: Gm
| Eb^7 | D7(#9,b13) D7(b9) | Db^7 | C-7 |
| B^7 | F/Eb | Gsus4 | G ||
C-Sabi2
| Eb^7 | F7(9,13) | D-7 | G-11 |
| C-7 | D7(b9,b13) D | G-11 | Ab-9 ||
Key: G#m
C-Sabi3
| F-7b5 | E-^7(9,13) | Eb-11 | D^7 |
| C#-7 | E/F# F#7 | B F#/A# | G#-7 |
| C#-7 | F# | E^7 | ||
まず、全体のトーンから決めていったかと思います。
悲しく、クールで、シティーポップ的。歌詞はああいう感じなので、曲の方は大真面目に作って良いこととしました。
悲しいんで、短調をベースに作ることにしました。Gminorとしてますね。その上で、サビは並行長調のBbmajorの4536、いわゆる王道進行でいっちゃってますね。王道進行、なんだかんだ伸びが良くていいんですよね。
コード進行の解説をしましょうか。
イントロ
これはサビを元に少し変化をつけたものです。4小節目をG-11 → G7(b13)とすることで、その後の4小節で終わらせるようにしていますね。
Aメロ
G-から始まっています。ここは短調なんだぞ、という響きを提示して、短調の1625を回し、短調を決定づけています。
2回し目では、15小節目のA7がキモですね。1回し目のC-7b5とぜんぜん違うコードを出しています。たしかこれは、BメロのEb着地から逆算して出したかと思います。Eb着地前は、Eb/F → D/Eで、つまりはF7→E7的に、裏コードのドミナントモーションをつなげているのですね。じゃあA7はどこから出てきたか、というと、Eb/FのEbです。Ebの裏がA7なので、コード上部だけ裏コードのつながりを作りながら、ベース音はA→Fという五度圏的には脈絡なしの動きをすることで、浮遊感、どこに行くかわからない感=Bメロへの橋渡し、なんかすごいコードの動き感、をうまくできたんじゃないかな、と思っています。
Bメロ
入りはEb^7。Aメロ最後で遊んだので、緩和と着地としてのベーシックなコードですね。
その後、D7へ行って、おっ丸の内サディスティック進行(4361)か? と見せかけて、もう一回半音下に下がってメジャーセブン→半音下マイナーセブンスしてます。
その後のB^7→F/Eb→Gの部分はいわゆるマリオ進行の変形として見ていいでしょう。VIb→VIIb→I、です。これをGに当てはめると、Eb→F→Gとなるわけですが、Fの部分のベースにEbを入れることでできます。B^7の部分は、Ebから、G音を下方変位させて、ベース音はBbを上方変位させればできます。
けれども、作っているときはそうやって作った記憶はありません……。どうやってできたかわからないタイプの進行ですね。あと、下方変位、上方変位などクラシックの和声っぽい用語を使っていますが、そもそも合っているのかわかりませんしこの場合においてそれが可能なのかもわかりません(エクスキューズ)
Gはこれまで短調だったところを長調にすることで、パッと景色を(一瞬)開かせました。一旦ここで区切りたい、というのもありこうなったかな、と。
サビ
何も言うことはありませんね。ただ王道進行やってるだけです。
間奏
並行長調のBbmajorに転調しています。で、バックドアドミナントでBbに持っていっています。なぜここで転調したかというと、一旦一気に開ける感じにしたかったからですね。高揚感というか、鬱屈とした感じを一旦晴らしたかったのです。晴らしたあとで暗くすれば、落差があって気持ちが良いでしょう、ということで。
5-8小節目の方は、Gb^7/Abから割と強引目にGmのツーファイブ使ってますね。ベースがAb→Aと半音なのでまあ割と成立するんだと思っています。
ラスサビ([C-Sabi3]部分)
楽曲全体としてはG#minorなのですが、全体としてはBmajorとして見たほうがわかりやすいですね。
度数でいうと、IV#-7b5 → IV^7 → III-7 → IIIb^7 という感じで、IV#から裏コード的に半音ずつ下がっていく形にしています。ここで一度もドミナントセブンスを挟まず、メジャーセブンスで繋いでいるところがオシャレなところかなと思います。
次の4小節は、大まかには2516でよくある進行ですね。ちなみにこの4小節の中の3小節目で、一度Iに戻るのは、『私たちはもう舞台の上』のラスサビで、一度Iにスンと戻って来る部分があるのですが、そこから取ってきたりしてます。
最後の3小節は、ツーファイブからの、IV^7終わりという感じです。歌詞が「漕ぎ続けて」ということなので、おれたちの戦いはまだ終わらないぞ、ということでIで終えずにIV^7終わりにした、という記憶があります。
ちなみに、サビ前の「タタタ」は、まんま『プラスティック・ラヴ』を踏襲しています。
https://open.spotify.com/intl-ja/track/3lq6i23fC6j1v1AR0GeNg8?si=9c2fda817b9f4bb7
制作の最初の頃はもっとシティーポップにしたかったのですが結局そうならなかったのですが、ここに一応名残がありますね……。
メロディーについて。これは曲調と表裏一体のところでもありますが、まず16ビートにしたかったのでメロも16分をふんだんに使いました。シンコペーションも入れてね。
「\STEPN GO/」のところは、掛け合いにできるようにしてみました。実際のところ掛け合い感は乏しい感じだったので、もっと作れたらな……と思いましたが。
Bメロ部分は、最初思いついたメロには歌詞の音韻数が少なく、その結果「つーうーかー」(Bメロ1)/「きーえーたー」繰り返し(Bメロ2)という形に落ち着きました。当初のメロはもう思い出せない……
せっかくなのでボーカル+コード版も出しておきましょうか。
https://gyazo.com/6fb0db390d8119c794c9ba6227c003bb
「何事も滞りがち」の「がち」は、もっとうまいメロの作り方ができなかったかなあ、と思う部分でもあります。
あと、STEPN GOの部分はもっといい感じで調声できたらよかったなあと。
あとやっぱ歌うには音域高いですよね……、まあそこは歌いやすさより聴いて気持ちいいのを優先しました。
編曲
じゃ編曲へいきましょうか。
まずはドラムとタンバリンを見ましょう。
https://gyazo.com/6c281767e8c97781f37861c8807ecfac
使用音源はSuperior Drummer 3(以下SD3)です。使用キットはコアライブラリーのLow Ceilingです。
https://gyazo.com/01372bafc9a613d6868d28b9beca6597
SD3は音源もMIDIフレーズ集もふんだんにあるのですが沼なので手を出していません、、。
流しの部分は大分付属のMIDIフレーズを使いました。
フィルインはそれなりに自分で打ち込んだかな……。特にBメロのキメ+フィルイン部分は自分で打ち込んでいます。けど難しすぎですよね、これ叩けるものなんですか? ドラムに詳しい諸氏のご意見を伺いたいところであります。
サビ部分にはタンバリンが入ってきます。タンバリン、いい味出てますよね。何かの動画で、なにかが足りないと思ったらタンバリンを入れればいい、タンバリンを入れれば大体成立する、と言っていました。まるで目玉焼きにかける醤油のように、ほんの少しだけれどもそれをそれとして成立させるためにとても大事なパーツの一つですね。
スネアはゲートリバーブというものを使っています。ミックスにも関わるものかもしれませんが、サウンドデザインは編曲の範疇にはいるかな、ということで、編曲で扱うことにします。
https://gyazo.com/e44eba6a7e5c01514fc93e462c83b378
この部分
https://gyazo.com/76e9377570548436c74bb4a445ec90bb
※Bitwig Studioは、画面下部がエフェクト(音に様々な効果を与えて音色を変化させるもの)チェーンとなっており、左から右の順番で、エフェクトが適用される。
ドライにするとこう
https://gyazo.com/18e40474ecabc087ab27a8cd1320b44f
スネアにリバーブ音を足して、それをゲートしてます。こうすることで、残響がありつつも、一定時間以上はスパッとリバーブ音が聞こえなくなることで、スッキリさも出しています。80年代の音楽によく使われていたと何処かで見たので、やってみました。実際、シティポップみは出たかなあ、という気がします。
ベースいきましょう。
https://gyazo.com/add45ba820e710d903aa08aab18610df
ベースを演奏しているとき、打ち込んでいるときが一番楽しいまである。音源はMODO BASS2です。
といっても、今聴き直すと拙いところが見えますね……。発音タイミングが微妙だったり、音の長さが微妙だったり、フレーズをもっと凝れないのか、だったり。せっかくポップスの中で対位法的に遊べるパートなのだから、もっと音情報を広げるような、それでいて全体を阻害するほど目立つほどでもない、いぶし銀なベースフレーズを作っていきたいと思います。
Bitwig Studioはピッチベンドをノートごとに表現できて、しかもそれをピッチベンド情報に変換できるので便利ですよ(他のDAWでも搭載されているものもあると思いますが)。
こういうのとか:
https://gyazo.com/0fc592c2788306d3beeb72403581a729
エレピです。
https://gyazo.com/d49664fe704f184134ed75afe2233a11
コードでもエレピを使っていましたが、弾き直しました。細かいニュアンスだったりフィルインを入れたかったりしたので。
今聴き直すとわりとよれよれですね……。これなら全体的にクォンタイズかけてもよかったかも。
エレキギター!
https://gyazo.com/25134c37d91b4c95a121087d041221d6
なんというか、キメ以外は流しのリズムです。正直若干ハーモニーが怪しいところもあると思います。すみませんここは省力しました。
といっても使っている音源がSESSION GUITARLIST Electric Vintageなので、これくらいしかできない、というのもありますが。本当はAMPLE GUITARとか欲しいのですけど使用頻度が少なくいまいち手を出せておらず。
https://gyazo.com/86c46165e2384d7a682386b1c10820b6
上モノ! 一気に見て(聴いて)いきましょう。
サウンドデザインが広がる、作ってて楽しい(≒苦悩もする)ところですね。
https://gyazo.com/c80f8cab1edfc92f235b1a2c308a965d
音色ごとの解説します。
Syn_SawLead・Flute:イントロとFluteの旋律部分を担当しています。
イントロ部分は、最初SawLeadだけだったと思いますが、ちょっと細くさみしい感じがしたのでFluteも加えました。今思うと間奏部分にも追加してもよかったかもしれません。
間奏入り前のSawLeadのタイミングはもう少し詰めれたのではないかな、と思います。
Bell:ベルは偉大です。要所要所にメロディーに合わせるだけで、切な美しいサウンドが出せるからです。クールで物悲しい雰囲気を作りたかったので、存分に使わせていただきました。
SynStrings:ストリングスです。最初は生弦音源を使おうかとも思ったのですが、省力のためとむしろシンセの方が時代感あってよいだろう、ということでこうしました。Aメロ・Bメロで使うのは耐えて、サビで盛大に(といってもベーシックな四声ですが)使ってあげるだけでちゃんと効果出ますね。
Brass:Bメロ冒頭キメのみに使っています。多分ここだけで使うのが一番いいと思います。いや、そんなこともないかもしれませんが……。トラック名ではBrassと書いている割にそこまでブラスではなかったような気がします。
今見返したらSerumでした(スクリーンショット)
DirtySeq:落ちサビでのみ使っていますね。特定箇所のみでの使用ですが、割と気に入っています。
エフェクトチェーンはこんな感じ
https://gyazo.com/9e59c98a00bbdad78c825227aa1dbb6chttps://gyazo.com/9f441ad55d1f7eff9b1d67a8d037a013
動作はこんな感じ。Delayで増やして、フランジャーで汚し、bit-8でさらに汚し、最後にAuto-Panを掛けているような感じ。
https://gyazo.com/65fef4e44abab58164f80a2bdabc53b5
Psycho Bells:仮想通貨が風に消えたときの頭がグワングワンする様子を表現したくて作ったものです。ちなみにこちらもAuto-Panをしていますが、DirtySeqと位相は180°違いで、この2つの音で音場をぐるぐる回っているようにしています。
次、FX(効果音)!
https://gyazo.com/eca8301f5dae2447727a52a36fdff4b2
トラック名=素材名で恐縮なのですが、トラックごとに解説を……
ESM_GB_fx_foley_one_shot_objcoin_coins_single_coin_toss_table_light_long_01_metal_bright_drop_fall_slip・ESM_TF_fx_accents_one_shot_ping_coin_2_organic_drop_deep_falling
コインが落ちる音です。通貨の下落を意味しています。FXはこれくらい直接的な音を入れてしまってもいいんじゃないか、と最近は思っています。
BRS_Rain_Street_Neighborhood_Med_2・WindGusts_BW.59814:風の音系ですね。雰囲気づくり
Uplifter_1:盛り上げのためのUplifter。こういう音、Uplifterといいます。よく聞くけど名前が分からない効果音たくさんあって困るのですが、なんとか絞り出した言語表現をLLMに与えてあげたら適切な名前を教えてくれる(こともある)ので重宝しています。
Aメロに入ったら、さっと消えてほしいので、これについてはリバーブも何もかけていません。
FFS_Wind_down_1:ガラスが割れた音を表現しています。きっとチャートの底が割れてしまったのでしょう。コインが落ちる音と同系統の表現ですね。
ボーカルを見ていきましょう。なんですかね、楽曲解説ってボーカルを後回しにしがちな感じがあります(私見)。イラストでいう目入れの工程みたいなところがあるからでしょうか。
4リズム+Vocal+Chorusでいきましょう。
https://gyazo.com/7166e1e88adb0225d83e72f030b34405
うーん、声が入ると哀愁が3割増しになりますね。いいですね。
そこまで細かいコーラスワークをしているワークではないのですが、(当社比で)細かくコーラスを出し入れしたり、2:07以降の歌い分けを作れたのは良かったなと思います。聞けばわかるのですが、なかなかアイデアとして出てこないのですよね……。
和声として好きなのは0:50のところです。半音ずつで下がっていき、かつオンコードなのですよね。緊張感あるサウンドに寄与したと思います。
ちなみに、作成途中でSyn Vのデータを紛失して、コーラスは復元不可な感じなんですよね……かなしい。
ミックス
まず総論的なことを書いておきます。最近のミックスの方針は、結構古いですがK-System(のK-20)でやっています。
具体的にはこういう形でやっています(正確にいうとこれを作っていた時は★はやっていなかった)
ミックス時、RMSが-20dB前後で収まるように音量を調整する
トラックでは、エフェクトに入るまでにRMS-20dBFS付近にUtilityでゲイン調整
アナログモデリングエフェクトなど使う場合、-18dBFS付近が0VU(設計音圧)とされていることが多く、これに大体合致するのもよい
エフェクトをかましてる間にレベル変わるからフェーダー直前にもう一回RMS-20dBFS付近に調整する ★
ボリュームフェーダーはトラック間の平均的な音量バランスを整えるものとして使う。ほぼマイナス方向にだけ使う。
トラック内の音量変化はフェーダー直前最終段Utilityでオートメーションを描いて表現する
音圧(dBFS)を大きくするのはマスタリングで。
ミックスに悩んでる諸氏は上記を試してみるのも良いと思います。RMS-20dB付近であれば、まずピークがクリップするかなど考えなくてよいし、上にも下にも十分な音量調整幅があるのでミックスしやすいと思います。
見ていきますか。キックです。
https://gyazo.com/e15e57d3a00f15d98f961a0a3f68b32a
サチュらせた上でロー落とし目、後結構コンプで結構上を叩いてます。
コンプはAttack62.3ms Release82.3msでわりとキックにしては緩やかな設定かなと
スネアです。
https://gyazo.com/be389625c448eb123b6848f38efdabf2
ゲートリバーブについては編曲部分で書きました。
EQはLOWを結構上げ目、HIGHも上げてドンシャリめに、コンプのたたきも厳しく、Saturnですこし歪ませたあと、ゲートリバーブかましたあとは全体をゆるくコンプかけてますね。
ハットです。
https://gyazo.com/6467c5bf3b7dd539b788370588d674f5
BitwigのプリセットにHi-Hat Fattenerというプリセットがあったのでそれを持ってきて、もしかしたらすこしいじったか、くらいですね。
Toms(タムタム中心のマイク)、OH(オーバーヘッド)、Ambience(スタジオ全体の空気感を録ったもの)には特に何もかけてません! まあいいかなって感じでそのままです。
で、ドラムがまとまったドラムバスはGlueコンプをかけたくらいです。
https://gyazo.com/22e8fd4d47b28caf8b06ce634fa4406a
タンバリン。だいぶコンプで叩いてますね。ただ、Attackが62.3msとゆっくりなので、これでアタックを際立たせられている、はず。
https://gyazo.com/d3dcac73dfdaa64828bb10c6d26ac7d8
ベースです。
https://gyazo.com/43b1f8d99d24c6b5417e432ad2cc25e8
AMPLITUBEとかDI Bass(SSL4000Eチャンネルストリップのプリセットの一つ)は試してみたけれども使っていない形跡がありますね……。
EQで割と重低音落としたり、パキ音あたりの2kHzあたりを伸ばしたうえで、サチュレータのBass Driver(このプリセット低音がかなり出ていい感じです)で低音を伸ばし、コンプでほぼダイナミクスをなくし(これは良かったのか……)、最後に際立たせたいところをもう一度EQしてますね。
うーん、もうちょっとシンプルな処理でいけたかも。
エレピ。変なことはしていなくて、コーラス入れたあとは低音の邪魔をしないようにローをカットしてるくらいです。
https://gyazo.com/e0e417dd7fbf3ef6a204e980efd2de31
エレキギター。
https://gyazo.com/7137b6d6ac1068550c1ef56fefdfaa24
これもローカットしてちょっと音整えてるくらいですね。こっちもコーラス入れていて、80?90?年代感を出そうとしています。
あとは……気分でかいつまみます。
シンセストリングス!
https://gyazo.com/8ea93c5c831a972b4854236d00c245ce
なにもしてないですね、SERUMしてるだけです。
フルートはダイナミクスを消しまくってます。コンプで潰しまくってます。この曲においてはシンセみたいな感じで使ってます。
https://gyazo.com/84d29b31b551881dbb733edcc55bd648
SawLead。弱グライドかけて、滑らかにしています。
https://gyazo.com/059dfa38932329aa9ed4d4d8bd3840e9
シンセブラス。サチュレーターとビットクラッシャーで、それぞれ少しずつ汚してる感じです。
https://gyazo.com/486439f0c3a435974d24c974d981dac1
メインボーカル!
https://gyazo.com/c6a34741a131631fd303ce5804497e59
Avalon→C-2→Tape Recorder→Q4という流れ。正直ここはUAD使ってみたかったので使ったみたいのはある。けど前に出る感じ、高品質な歪みな感じが出たかなあ、出てくれたらいいなあ、と思います。
エフェクトを全部バイパスしてみるとこんな感じ。
https://gyazo.com/7a8105d6d5ba6c8cdd6c3e1d2f8fac31
音量差もありますが、エフェクトがある方がぐっと前に張り付いた感じがしますね。いいんじゃないかと思います。多分。
ちなみにこのエフェクト群は各種コーラスでも同じように使っています。
リバーブは3つ使っています。まずVocal Rev。
https://gyazo.com/3a7507eccc92ced044f02fc509012069
Sound CityとPro-Rのリバーブです。このあとコンプで叩いてますけど、リバーブだけ聞くとちょっと叩きすぎかな……という気も。
FX用の、風の音など用のリバーブを専用で設けています。
https://gyazo.com/47de049b39b9461443ddcdad35501df2
これはAメロに入るときに余韻を出したくて、オートメーションでAメロ入るときにガッツリ音量を上げています。
楽器系はプレートリバーブでやってます。
https://gyazo.com/f2205e90689ede0b4595a32543ccb1b9
モワモワしないように、ローはガッツリ削ってますね。ハイも気になるところは削り目です。
今聞くと、もうちょっと多くても良かったのかな……という気も。ここらへんの塩梅は難しいです。
外観とフェーダーバランスはこんな感じです。
https://gyazo.com/d089985146344f76d30091ad632b2d8f
フェーダーバランスについては、正直なんもわからんです・・気持ちよくなるようにやってます。もっとリファレンスをちゃんと立てて、それを参考に/勉強にするのがいいのかも(ADPTR AUDIO Metric ABとか使って)。
マスタリング
マスタリングについては、奇をてらったことはなにもしておらず、この曲の場合はこうしました、というくらいです!
https://gyazo.com/184c41622c8bce5e405d66e4e76389af
コンプで中音量くらいの部分を軽く押さえて(Tight Masterと表示のあるものがコンプ)、
EQでちょい腰高に
リミッターでいいくらいまであげる
マスタリング無しと有りではこんな感じで違います(※音量にだいぶ差があります注意)
無し
https://gyazo.com/41876d1fb9af1fce935d94284990086c
有り
https://gyazo.com/bc50054ca75ff24e7c085d483162d6db
今聴き直す/見直すと、流石にリミッターで圧縮しすぎでは? と思ってきました。この曲ならもうちょっとおおらかなダイナミクスがある方がいいんじゃないかと(でスネアの音量をもう少し下げて)。まあ、これはチャートの天井を叩き続けている表現、ということで……。
あとがき
ここまで来た(=読んだ、見た、眺めた、スクロールした)みなさま、ありがとうございました。
デジタルメディアは紙面の制約がないのが良いところだと思いますが、そんならということで書きたいままに書いたら1万4000字ほどになってしまいました。フェルマーは「この余白はそれを書くには狭すぎる」と書いたらしいが、足りないくらいの余白で書く心意気が必要なのかもしれない。
でも今はLLMがあるから記事を食わせて知りたいところだけつまみ食いするのもありかもしれませんね。煮るなり焼くなり好きにしてください。
なにはともあれしてみたいことができてよかったのと、書くことで振り返れてよかったですね。
編曲においてはフレーズもそうですが、リズムの意図しないヨレ具合はMIDIで打ち込んでいるのだからもう少し整えたほうが良かったなあと反省しております。単にクオンタイズするのではなく、一音一音意思があるタイミングでのジャスト具合・ヨレ具合にしたいですね。
こんな記事に需要があるのかと言われたらまあほとんどないと思うのですが、ここは書きたいことを書きたい機会にすることもあるので、それでもいいかな、と。多分もっと噛み砕けばいいのでしょうがそこまでの気力&時間はなかった……。LLMに解説してもらってください(投げやり)。
アドベントカレンダーもまだまだ続きます。ぜひお楽しみください~~~(私も読みます)!