私からみた奨学金 貸与期間編
これは「Rad Advent Calendar 2023」の8日目の記事です。
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挨拶
おひさしぶり kinoko.iconkinokoです
自分実は奨学金を借りていたのですが、この度大学生活を終えるということで奨学金生活を卒業することとなりました。
そこで、この4年間の振り返りとして貸与期間中の奨学金がどんなものだったかを奨学金の基礎知識(ド偏見)とともに語って行きたいと思います。
これから学生支援機構(以下、JASSO)から奨学金を借りようと思ってる方や、もう奨学金を借りてる方、娘、息子が借りようと思ってる方など幅広い方に現役生だった身として参考になればなと思います。
まずはじめに自分の状況を述べますと、住民税非課税世帯かつ自宅外通学で奨学金を借りないと通えない絶体絶命状態。でも、高校の成績はある程度良かったし、大学が給付奨学金の枠の中に入っていたのでJASSO奨学金の申請が通ったことで通える事ができるようになりました。
しかも自分が入学する年に運がよく授業料減免制度、入学金支援制度が取り入れられて至り尽くせリの状況に。
JASSOのすべてのサービス(奨学金に関する)を利用した自分でしか語れないことがあると思ってます。
※この記事は二次情報です。鵜呑みにせずにちゃんと公式資料から調べてもらったほうが確実なことはあしからず
JASSO奨学金について
早速ですが奨学金ってなんだって話なんですけど、借金です。
はい、そこブラウザバックしない。
「借金なんだ。じゃあ銀行で借りても同じじゃない?」、「借金はしちゃだめなやつだよな…?」
そんな風に考えたかもしれません。
冷静になんで銀行で借りるんじゃなくてJASSOから借りるんだと。
そこには学生を支援するために作られた様々な利点があるんです。
まず奨学金の大まかな概要についてはこちらの公式動画から確認できます。
https://www.youtube.com/watch?v=YAUh_KZAJWM&ab_channel=JASSOchannel
自分は給付、第一種貸与、第二種貸与、すべて申請していました。
しかし、第一種奨学金は給付奨学金をもらっている分金額が引かれるので、第一種は実質0円貸与でした。
奨学金の大まかな種類や制度、申込み方法がわかったところでJASSOの利点について語っていこうと思います。
利点は大まかに
金利
返済制度
自己管理
の3点があると思います。
これらは自分が貸与期間中に感じたことなどが中心になっていて、他の利点も色々あると思いますが、ド偏見(自らの目線)で語っていきたいと思います。
金利
第二種貸与奨学金はわりと審査がゆるいので幅広い人が借りられる反面、金利(利率)がついてしまいます。
しかし、JASSOで奨学金を借りたほうが良いその最たる例がこの金利です。
これだけでJASSOにしたほうがいいことがわかります。
まずこちらを御覧ください。
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※参考はページ下部 ※2023年の金利(独自調べ)
学生ローンの変動金利(変動利率)です(固定金利がない場合があるので変動にしました)。
変動金利はその名の通り変動しますが、高くなりすぎないように上限金利があるところもあります(後述)。
わりと大手を引き合いにだしましたが、市場平均としては3~4%なのがわかりますね。
(ちなみに400万ほど借りると7~8%以上の金利がつくので学生ローンは銀行商品のなかではお得(??)なほうです)
次にJASSOの奨学金と比較してみましょう。
こちらも変動利率で出してます。
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!?
!?
少なすぎてグラフが見えない!!!(そんなことはない)
脅威の数値0.4%です
いいですか、落ち着いて聞いてください。0.4じゃなくて、0.4%ですからね。
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これは他に追従を許さないほど圧倒的数値です。
たとえばここが1%とかになるだけで20年の返済を考えると30万ほど変わってきます。
他の学生ローンをみると3~4%…学生ローンには保護者名義で借りられる、すぐお金が入ってくるなど利点がありますが、
そんなんではもう超えられない壁があります。
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学生ローンとJASSO奨学金の比較ができたところで、変動利率と固定利率についても話しておきます。
変動利率はだいたい5年毎に日本の市場金利をもとに算出されます。
日本の市場金利(なんか金利の市場価値みたいなやつ)が上がれば変動利率はあがり、下がれば変動利率はさがるってことです。
重要なのは5年毎に利率(金利)が変動するってこと。
株トレードなどを思い浮かべるか方もいるかもしれませんね。
そう考えるとなんか固定利率のほうが安全な気がしてきます。
固定利率は市場金利をもととするのは変わらないんですが、卒業年の市場金利から利率が変わらないのが特徴です。
やっぱり安全なほうの固定利率のほうがいいかも…そう思うかもしれませんが。
自分は変動利率のほうをおすすめします(え~!)。
それは利率の低さと返済制度(こちらは後述)に秘密があります。
以下はJASSO公式ページから引用してきた令和5年度の月々の利率です。
※あくまで月々なため5年毎ごとの話ではありません
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変動利率(利率見直し方式)のほうが固定利率(利率固定方式)より圧倒的に利率が低いです
なぜ固定利率のほうが高いかは経済学の話なのでここでは割愛します(長期金利と政策金利)
しかし、やっぱり安全性が…そうおもうあなたに朗報です。
実は利率には上限利率が定められています。
もし世界恐慌並の事件が起きたとしても金額がドイツのハイパーインフレみたいにはならないのです。
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世界恐慌時に奨学金を払う人々参考画像
しかも上限利率なんと3%これでも学生ローンと同程度(もしくはそれ以下)なんです。
だから利率見直し方式にしたとしても際限なく利息があがりつづけることは無いので、安全性が担保されるのです。
ちなみにローンは125%制が多いようです。
つまり利息の額は最大で元金の125%までしかとらないということのようです。
それって3%とかそんなちゃちなもんじゃないですよ。
例えば400万借りたとしたら最大860万にまで膨れ上がることを意味しています。
3%なら100万程度増えるだけですみます(まず3%になることなんてないですが)。
結論、JASSOの金利は安すぎる!!!!
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金利についてある程度わかったところで、金利にも関わる返済制度について次項でお教えします。
返済制度
JASSO奨学金のいいところ2つ目がこの返済制度です。
返済制度なんて普通に20年返すだけなんじゃないの?と疑問に思ってるみなさん。
リボ払いって知ってますか?
その言葉だけで嫌悪感を示すかたもいるでしょう。
あのリボ払いです。
知らない方に説明すると、定額払いができるシステムで、月々の支払いが定額になるんです。
え、それってすごくない?
洗濯機を買って、エアコン買って、更に車買っても、月々の払う額は一定!(銀行が許してくれるかは別として)
定額2万なら高額な商品でも月々2万だけ払ってればいいのです。
なんてお財布に優しいシステム!
…
……
………
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…いや完全に罠でしょう。
どこからどう見てもそんな甘い話があるわけがない。
この肝は月々の支払いが定額までしか払えないことにあるんです。
つまり、リボ払いは一部繰越払いができないのです。
借入金(借金)には利息がかかります。
その額が馬鹿にならないことも金利編で身にしみてわかったことでしょう。
あなたは将来、ボーナスが入ったり、へそくり出てきたり、遺産相続したりするかもしれません。
「ラッキー、じゃあ借金少しだけ減らそう」となってもリボ払いは一部繰越払いができないため、
払いたくても払えないのです。
一括返済しなければどんなにお金があっても定額しか払えないのです。
けれでも利息はかかり続けます。
定額を払って、利息がかかり、定額を払って、利息がかかる。永久機関ができてしまうかもしれません。
こんなところに永久機関があったんですね。
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金利と返済制度の恐ろしさがわかったでしょうか。
その残酷さと言ったら、無限の悪魔も素足で逃げ出すくらいです。
しかし、JASSO奨学金は違います。
一部繰越払いをすることができるんです。
資金に余裕ができたら多めに払うってことがいつでもできます。
払った返済金は他の奨学生の資金になるので心置きなく払うことができます。
しかも、その繰越払いを行った分の利息はかからないのです!
ローンだと商品によってまちまちだったり、繰越払いをするための手数料がかかるものや、最低繰越額が高い場合があります。
JASSOの一部繰越払いは手数料がかからないうえ、最低繰越額は月々の量と同じ。
一万円月々払っている人は一万円から繰越できるのです。
お手軽だし、ボーナスが入ったらまとまって支払いもできる。
いいことづくめなんです。
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しかも、これが先述した変動利率と合わせると更に威力を発揮します。
変動利率は5年毎に見直しがされるといいましたが、一部繰越払いで5年分を払ってしまえば、
20年返済だった場合、通常4回の見直しが3回になります。
1回分の見直しをなくすことができるのです。
つまりは変動リスクを抑えることができるのがすごいポイントです。
まさに安全で、手軽で、楽な返済を実現できます。
ほかにも失職などで厳しくなった場合の月々の額を減らせる制度や、返済期限猶予制度などもあります。
結論、JASSOの返済ゆるすぎるだろ!
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※借金なことに変わりはないので勘違いしないように
自己管理
これまではJASSO奨学金の制度について私的な感想を含めてお話してきました。
人によってはJASSOの回し者だと思った方もいるかもしれませんので、ここで言っておきますね。
自分はJASSOの回し者ではないです。
怪しいところを明確にした上で、突然ですが…。
お金の管理ってみなさんどうしていますか?
深い意味はないですよ!アルバイトで稼いだお金の資金繰り…。
ディ◯ニー、U◯J、おしゃれだったり、ごはん、グッズだったり。
様々なことに分配して使っていることでしょう。
アルバイトしてない人もいるかもしれません。
高校生では余裕だった資金繰りも、独り立ちするにつれ、支出先は増えます。
水道光熱費や家賃などがその代表にあたるでしょう。
この固定費の割合は馬鹿にはできません。
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要するにお金の管理をできるか心配ではないでしょうか?
少なくとも自分は心配事でした。
水道光熱費は一人でどのくらいかかるのだろうか。
決められた家賃の額でどの程度の暮らしができるのだろうか。
食事代には月平均いくらぐらいなのだろうか。
不安性な自分は社会人として働きながら覚えていくのは情報量が多く難しいと思っていました。
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※頭の中予想図
そんな自分にとって奨学金は渡りに船だったのです。
奨学金という決められた金額にたいして自分が使う配分を考えることができる。
擬似的に社会人体験ができたのです。
でも、「社会人と違ってなにもしなくてもお金が入ってくるじゃないか!!!」。
そんな意見もあるかもしれませんが、奨学金はもとより大学継続の意思があるものにしか貸与されません。
つまり、成績を維持する必要があるのです。
大学サボって遊び三昧なんてことはできないのです。
もちろん一定の成績を納めていれば大学生らしい生活はできますし、楽しむこともできます。
お金の管理をしつつ、大学生を謳歌できる。
ルサンチマンになりそうですが、自分はむしろ奨学金を借りてよかったと思っています。
奨学金があるから本気で時間割を考えて、交友関係も広がり、テストに対しても真摯な態度で打ち込めました。
もし両親のお金で学校に通っていたら、今以上に自分を甘やかしてしまったかもしれません。
奨学金が自分に火をつけてくれたのです。
逆をいえば借りている間はそのストレスとずっと戦っていくことになります。
多額の授業料を支払うときは緊張すら覚えました。
しかし、それも働くための心構えの一つだと思えば然るべきストレッサーだったのかもしれません。
(本当のストレスは納税かもしれませんが)
余談ではありますが、給付奨学金は返済しなくてよいという話もあります。
しかし、実はそんなことはありません。
あまりに成績などが悪かったりすると、奨学金が廃止され、給付奨学金にも返済の義務が生じます。
なので、成績の維持はマストで行うべきことなのです。
完全なド偏見感想になってしまいましたが、奨学金についての自分が強く感じたメリットはこれらです。
最後にあとがきがありますがとりあえず結論を述べます。
結論、私はJASSOの回し者ではない
最後に
いわゆるあとがきです。
とりあえずここまで読んでくれた皆さんに感謝を。
なんか書いてるうちに宗教勧誘みたいになってきて、ちょっと怖かったkinokoです。
何回も言うようですが回し者ではないですよ。フリでもないです。
奨学金借りるのにはかなり抵抗があるとは思います。
実際婚期が遅れるや、大人になって使うお金が一部制限されるなどわりと大きなデメリットもありますから。
でもそれはいつか返済編を執筆するときにリアルな感想をお届けできたらなと考えて、貸与期間中のメリットの部分を全面に押し出したおはなしをさせてもらいました。
これで大学を諦める方や、諦めさせてしまう方が救われる話ができたらいいなと思っています。
借金は将来の前借り+αではありますが、若い頃に使えるお金はとても大事なものです。
老化が始まると可動域が狭まりますから。
なので金利がほぼなく前借りができるって視点でみると、50,60で使えるお金より20代で使えるお金を増やすのは悪くない話なのかな~と思ったりします。
こんなこといってると経済舐めてるのか!!!とか言われちゃいそうですね。
それでも楽しい大学生活を4年間も継続できてよかったです。
JASSOのみなさん。ありがとうございました。ここに救われた学生が一人います。
これからは返済のほう頑張って生きたいと思っていますので何卒。
※極力調査しましたが、JASSOの記述について見当違いな発言をしているかもしれません。それについては申し訳ございません。見つかり次第即刻訂正を行います。
それではみなさん楽しんでもらえたでしょうか。
自分は卒論が残っており、卒業が決まったわけではありませんので、大学生の戯言だと思って聞いてもらえれば恐縮です。
でも参考になったら嬉しいな。
卒論がんばってきま~す。お疲れ様でした!!!
私からみた奨学金 -貸与期間編 完
追記
多子世帯限定ではありますが無償化の波が来ているようです。
もうちょっと遅ければ自分も多子世帯なので恩恵を受けられたかもしれませんね。
限定的でも今までなかった制度ですし、受けられなくともこんなにありがたいことはないです。
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