歌モノ楽曲をRemixする手段
執筆者:kuma:D.icon
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この記事では歌モノ楽曲をRemixする方法というか、手順についてお話していきます。
私は今年(2022年)の5月頃から作曲活動を開始して、日々音楽について勉強しています(たのしい)。
そしてこれまでは、0から音楽を作っていくことがほとんどでした。
しかし、最近では音ゲーをしたり、クラブに行ったりする中で楽曲のRemixの良さに気づき始めました。
つまり、土台(原曲)のある1から作られた音楽ですね。
そこで今回は初めて楽曲のRemixに挑戦してみました!
楽曲のRemixしてみたいけどどうすればいいか分からん、という方は参考になるかもしれません。
自分なりに色々調べながらやったのでもしかしたらもっといい方法があるかもしれませんが、1つの手段として御覧ください。
いくぜ~!
【Remixとは?】
そもそもRemixとは何か説明してませんでしたね。
Remixとは、簡単に言うと「既存の楽曲に編集を施して別の楽曲を生み出すこと。またその楽曲のこと」です。
元々ある曲のフレーズや構成に手を加えて再構成するということですね。
Re(再度)mixing(楽曲の音色などのバランスを調整する)。そのまんまですね。
Remixの例をいくつか挙げてみます。
米津玄師 - 感電(Electro Swing Remix)
https://www.youtube.com/watch?v=K6sgEwAmF8I
米津さんの「感電」という楽曲をElectro SwingというジャンルにRemixした感じですね。かっこいい。
Spider Dance(Camellia Remix)
https://www.youtube.com/watch?v=fr-xxBY_BdQ
UNDERTALEというゲームの「Spider Dance」という曲をCamelliaさんがRemixしたものです。
こんな感じで既存の曲を新しく作り変えたものがRemixです。
一般に「原曲名(ジャンル名 Remix)」、「原曲名(編曲者名 Remix)」という表記のされ方が多いです。
よく「アレンジ」とは何が違うのかという話がされますが、アレンジは曲調やメロディ自体を変更してしまうもので
Remixはメロディはそのままで構成楽器を変えたり再構築するものという感じだと思います。(間違ってたらごめんなさい)
【Remixを作る手順】
今回は歌モノでRemixを作っていきたいと思います。
曲は「夏風が吹いたから」という曲です。とあるゲームの曲です。詳しくは語りません。興味があれば調べてみて下さい。
ちなみに私はこのゲーム未プレイです(←おい)。そっちの気もありません。ただ、曲が良いと思ったのでコレにしました。
Remixを作る手順は以下の通りです。
1. 元音源のボーカルと伴奏を切り離す
2. 曲のコードを解析する
3. 抽出したボーカル/伴奏音源と解析したコードを元に編曲していく
1つずつ順番にやっていきましょう。
1. 元音源のボーカルと伴奏を切り離す
Remixする上で編曲する際、原曲にない音色の楽器やシンセの音を入れていく、つまり伴奏自体を大きく変更することになると思います。そういった時にボーカルの音源(メインメロディ)を元に制作していくのが一般かと思われます。
なのでまず、元音源からボーカルを切り離していきましょう!
音源分離の方法は色々ありますが、今回はGithubで公開されている「spleeter」というものを利用していきます。
spleeterでは音声ファイルを、機械学習を用いて分離し別々の音声ファイルとして出力するというものです。
spleeterをダウンロードしたら、次はPC上で動かすためにGitとCondaをインストールします。
Condaとは、オープンソース、クロスプラットフォーム、言語に依存しないパッケージマネージャーおよび環境管理システムです。 by Wikipedia CondaはAnacondaとMinicondaがありますがどちらでも大丈夫です。
インストールが完了したら、Anaconda(Miniconda)プロンプトを起動してspleeterのGithubページに記載されているQuick startのコマンドを順に打ち込んでいきます。
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図1 2022/12/5 時点でのQuick start
※Quick startの内容は更新される可能性があるので各自Githubのページを参照するようにしてください。
このコマンドを実行するとサンプルの音声で音源分離が実行されます。
今回は「夏風が吹いたから」の音源分離をしたいので、上記のコマンドの「audio_example.mp3」となっている部分を音源分離したい音声ファイルのファイル名に置き換えて実行します。
するとすぐに音源分離したファイル(伴奏を除いてボーカル音源だけになったもの)が出力されます。
これでボーカル音源の抽出は完了です。
「夏風が吹いたから」から抽出したボーカル音源
https://scrapbox.io/files/6390329e2416b0001d274212.wav
意外とキレイに切り抜けます。スゴイ!
詳しい手順はこちらのサイトが参考になるかと思います。
2. 曲のコードを解析する
次は曲のコードを知りたいので「Chordify」というサービスを利用します。
ちなみに曲を聴いただけでコードがわかるとか、Remix段階でコード自体変えてしまいたいという方はこの手順は不要です。
さて、Chordifyとはなんぞやということなのですが、簡単に言うとYoutubeの動画の音声を読み込んで、そこからコードを解析するというサービスです。
Chordifyのサイトにアクセスして、まずはアカウントを作成します。
この際に、無料版と有料版を選択させられますが、無料版で十分なので今回はそれで登録していきます。
ちなみに無料版と有料版でどんな違いがあるか軽くまとめると、
無料版
Youtubeリンクから楽曲を解析し、コードを表示できる
解析できる楽曲数に限りがある
有料版
PCから音声ファイルをアップロードして解析できる
解析できる楽曲数は無制限
楽曲のキーやテンポを変更できる
解析した楽曲のMIDIファイルをダウンロードできる
こんな感じの違いがあります。解析の精度はかなり高いと思うので、無料版でも十分ですが、たくさん解析したい人は有料版を検討しても良いと思います。
登録が完了したら、さっそく「夏風が吹いたから」のYoutubeリンクを貼って解析してもらいましょう。
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数分程度待つと、こんな感じでコードがダイアグラム方式で表示されます。
再生すると音楽と同時にダイアグラムがスライドしていき、リアルタイムでコードを表示してくれます。
これで楽曲のコードがわかりました!
3. 抽出したボーカル/伴奏音源と解析したコードを元に編曲していく
ボーカル音源とコードがわかったら、あとは編曲していく作業をするだけです!
楽器の構成を変えてガラッとジャンルを変えるもよし。
ドラムを追加してゴリゴリの曲にするもよし。
感性の赴くままに編曲していきましょう!
今回自分はKawaii Future Bass風にしたかったので、まずBPMを180にしました。
あとはボーカルの音源に解析したコードを打ち込んでいい感じのリズム隊とシンセを追加していきます。
メロディの音は耳コピしました。耳コピって難しい...。
いい感じに調整が済んだら完成です!
↓完成したものがこちら↓
製作期間はだいたい2日くらいです。初めての歌モノRemixでしたが割りといい感じにできたのではないでしょうか。
【まとめ】
今回は歌モノRemixに挑戦してみました。
Remixについて最初はめんどくさそうなイメージを持っていました。けれど、音源分離にせよ、コード解析にせよ、今の時代は簡単にできるのでそこまで時間をかけずにRemixの作成ができました。
Remixのやり方に困っている人などの参考になれば幸いです。
ここまで読んでくれてありがとうございます。またいつかkuma:D.icon
【参考】
deezer/spleeter: Deezer source separation library including pretrained models. 音楽データからボーカル・ドラム・ベースの音を個別に抽出できる「spleeter」