VR、ライティング、シェーダー、そしてサザランド
ここしばらく、VRやシェーダーに触っている。これらは歴史を振り返ってみると、すべてサザランドに辿り着く。
ちょっと書いてみよう。
サザランド
アイバン・サザランド。
VRの父、サザランドはVRにある程度詳しい人なら名前を知っている。おいらにとっては、神様みたいな存在だ。
ダモクレスの剣と言えば、ギリシャ神話か、アメリカの大統領が演説した内容を思い出す人もいるかもしれない。
おいらなら間違いなくサザランドだ。
今、ぼくたちは日常的にパソコンやスマホを使い、時に映画を観て、仕事でPDFファイルを開いたり、PhotoShopでスプラインを使うかもしれない。
これらすべてにサザランドの影響があると書くと、ものすごいことだとわかる。
ユタ大学での彼の教え子たちや、サザランドに師事した人たちのことだ。みんなレジェンド級なのがさらにすごいことだ。
計算機科学の偉人たち
ちょっとここで、ひとつ挟んでおこう。
計算機科学に功績のあった人たちはたくさんいる。チューリングを思い出す人もいるだろうし、シャノンやハフマンの名前を出す人もいるだろう。
SFやFGOが好きな人なら、エイダとバベッジを知っているだろう。
偉大な先人たちがたくさんいる。もちろん、ここに挙げた人たち以外にも、数学や物理で著名な人たちの研究成果は、今の計算機に生きている。
サザランドの教え子たち
さて、サザランドの4人の教え子だ。4人と書いてみたけれど、サザランドの研究室ですごい功績を残した人はゴロゴロいる。
ユタ大学の研究室ではVRだけではなく、コンピューターグラフィックスで曲線を扱う計算式も研究されたし(当時は計算式がまだ生まれていなかった)、GUIの萌芽があり、アンチエイリアスが生まれた。
おおよそ3Dグラフィックスの世界で必要なものは、ここで発明された。
アラン・ケイ
アラン・ケイはパソコンの父だ。オブジェクト指向とUIを生み出した。
Altoでジョブズに大きな影響を与え、それがMacの誕生に繋がった。
ぼくたちはパソコンやスマホを使う。でも、これらは未だにアラン・ケイのダイナブック構想で描かれた青写真を未だに超えていない。
People who are really serious about software should make their own hardware.
これを実施した人をぼくたちは知っている。パルマーラッキーだ。
ジム・クラーク
ジム・クラークはエバンスサザランド社に在籍した。後にブラウザのネットスケープ社、強力なCG用のワークステーションを販売するシリコングラフィックス社(SGI)を作った。
SGIからはIRIS GLが生まれ、それは後にOpenGLとなった。つまり、シェーダーはSGIから始まっている。
もし、ぼくたちが「VR」で「シェーダー」を使うなら、それはサザランドの影響下にあると断言していい。
ジョン・ワーノック
ジョン・ワーノックもエバンスサザランド社にいた。彼はアドビを作った。
アドビシステムズについては説明の必要はないだろう。
CGや動画やドキュメントをパソコンで扱うのに、アドビを使ったことがない人の方を探すのはたいへんだ。
エドウィン・キャットムル
エド・キャットムル。この人についてはいくら書いても書ききれないぞ。詳細は「ピクサー流 創造するちから」を読んで欲しい。
ピクサーと、そして今ではディズニーアニメーションの社長。
物理と計算機科学が専門で、サザランドに師事していた頃にスプライン曲線やZバッファ、テクスチャマッピング、アンチエイリアスについて功績がある。
RenderManの開発者。
「ピクサー流 創造するちから」。
エドのこの本は、組織を作るってのがどういうことかが書かれている。
でも、ルーカスやジョブズとどう付き合ったり衝突したりしたのかってのも面白い物語だ。
良書。
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