Sight / Insight
https://lh3.googleusercontent.com/pw/AP1GczPYwmtcEOEL2paqznOmD0dJoBmMbc5h3eEPZDhgsgcS_mDxgImjSHax_W_qYN7FscAvFtSrALVEHSxO5oCWf8-W8sqJmBvW-N0gkLS0FzI1JEk6GEWBsOEps3JhBWFtiswmmfYtJRmi3nZBZM37J7mGcQ=w1835-h1376-s-no-gm?authuser=0#.jpg
Caption
Sight / Insightは、見えているが観えない物を、探索的行為を通して見せる表現の探求を行い、それを展示し、鑑賞者の意識の変容を試みる作品である。
夜に歩行など移動している時に見る路上の光の集合に着目し、光の集合から人の形・動きが見出だせる捨象する。そして、捨象された光を鑑賞した人が、展示空間を出て、実際の路上の光を見た時に、そこから人の形・動きを見出だすよう意識が変容する。本作品は、新たな光の見方を提示する。
Method
Sight/Insightは、簡潔に述べると、見えているが観えない物を、探索的行為を通して見せる表現の探求を行い、それを展示し、鑑賞者の意識の変容を試みる作品だ。見えているが観えないものとは、ここでは、物体として知覚はできているが認知できていない事象を指す。特に本作品で扱うのは現実空間の光で、光として知覚はできているが認知できていない光の見方について取り扱う。また、光の見方の中でも着目するのは下に示すような、夜に歩いていたり、自転車や車、電車で移動している時に見る路上の光だ。
https://gyazo.com/d49e7b680e104a368bfa319b9833453a https://gyazo.com/53fc60ef0c82596ea80c312ff16c7339 https://gyazo.com/24404785ba24e012c59b5227ad2f70b4
路上の光に着目した理由は実体験にある。私は、路上の光を眺めていると、光がランダムに散りばめられているように見えていたのに、注意的に探索してみると、ふとした瞬間に光が人の形に見えた。加えて、その光の集合が一歩踏み出したような動きをしているように認知した。そして、このような認知していなかった光がみえるような感覚を得てから、路上で光を眺めるときには光の集合を観察して、普段と異なる見方を見出すように意識が変容した。
https://gyazo.com/81be6f9180b122b245f4a7812c0083ec(路上のいくつかの光点をグルーピングして人の形を認知する様子)
この実体験は、路上の、静的な街灯の光と移動する車や自転車などの移動物体の光を運動知覚し、そして光を観測する人間が歩行や自転車、自動車などで移動しながら、つまり探索的に環境を移動しながら見る行為が行われることで変化する見かけの光の動きが組み合わさって起こっていると仮説が立てられる。
https://gyazo.com/9d64ddef3801e21bc0e92cd42369d4ed
運動知覚
人間にはバイオロジカルモーションという運動知覚が備わっている。バイオロジカルモーションは、心理学者のグンナー・ヨハンソンが発見した、人の動きを表す点の動きからその点群が何をしているのか認識できる知覚現象だ。
https://gyazo.com/2a74daafb8eb3c990a3688271701b547(バイオロジカルモーションの例)
探索的行為
James Jerome Gibson / 人間生態学的視覚論
Gibsonは、視覚知覚が単に目からの光の情報を脳が処理するという受動的なプロセスではなく、環境を積極的に探索することによって自身の位置や動きが変化し、それに伴って変化する環境の光の配列を知覚することで成り立つと主張した。
https://gyazo.com/3bf707837014d4dd84244bdaf69005bd(観察者の移動による包囲光配列の変化する様子)
本作品は、上で紹介した運動知覚と探索的行為をもとにして、路上の光を観察し、人や生物の形・動きとして認知できる場所・見方を記録して、その光をロボットトイのToioを用いて光を捨象する。 Credit
Santa Naruse
Artist / Programmer
Exhibition/Events