貧乏人の経済学
我々近代人にとって、あるいは教養ある人間にとって、社会的に不利な立場に置かれた人たちのとる行動は、しばしば不可解に映ることがある。今井むつみが認知科学を援用して「なぜ話が伝わらないのか」で論じたように、共有されるスキーマが違うのだ。それはブルデューのような構造主義の影響を色濃く受けた社会学による統計でも暗示されていることである。誰が国語力を殺したのかで石井光太が展開するゆとり教育批判、多様性の科学でマシュー・サイドが紹介する政策決定の失敗など。類似する例を挙げると枚挙にいとまがない。
この問題を経済学によって解決しようとするのが本書の取り組みだ。
スキーマを動かすとなれば、やはり行動経済学の政策的な応用としてナッジを使うことになるのはもはや常套手段なのだけれど、実際現場で適応するとなるといろんな困難があり、、、。
ベーシックインカムの実験、補助金、居住地域の変更、避妊具の無料配布のようなプロジェクトが開発経済学の知見と共に進められていくのかを概観したければおすすめかな。