言語の7番目の機能
ヤコブソンというロシアの著名な記号学者の言語の六つの機能に関する考察を嚆矢にして書かれた小説。 ロランバルトの交通事故死を殺人事件だったという歴史改変を行なった上で、現代の哲学者を嘲笑するような書き方をすることによって、ローラン・ビネが常々テーマにしている「小説はどんな力を持ちうるのか」を実験している。ストーリーが持つ恐ろしさとかは、ストーリーが世界を滅ぼすとか文学の実効とか、まあそのほかにもアンソロジー風にまとめられた世界文学の入門書とかでも語られてるところではあるけど、こんなにも「問題作」と言われるほどセンセーショナルな形で世の中にそれを提示したのは見事。記号学ミステリー(というか反ミステリーでさえある)の形になってるのは、ウンベルト・エーコの薔薇の名前のような類の作品にも見て取れるけど、そことの類似点とかも考察の対象になりうるかも。