数字が明かす小説の秘密
統計学を使って、小説におけるいろんなセオリーを解体していく、「文学におけるマネーボール」とでもいうべき本。脱構築の言説の濫用によって「なんでもあり」みたいな読解が増えることへのアンチテーゼとしての「表層的読解」の一つの流れとも言えるのかな?(この辺りの流れは、ポストモダンに対する反動としての新実在論と似ている気もする) 内容としては、
- 男性作家と女性作家の間に使う言葉に違いはあるのか?そしてその違いはどこにあるか?
- イギリスの作家とアメリカの作家の比較
- 特定の作家の「ぽさ」って統計的に判断できるのか?
- 現代文学が「簡単になっていってる」って本当?
マネーボールと同様に、「統計で語れるのはあくまで一般論であって、個別の事例に当てはまるかはわからない」って批判はもちろんありますが、検証不可能になりがちな人文科学における主張に対して客観的な論証を行おうとする取り組みはかなり評価できるのではないでしょうか。近年の統計的処理とか人工知能の技術の発展を見ているとこのフィールドももうちょっと発展の余地があるような気がする。それによってもたらされる「人間と人工知能によるco-intelligence」の未来は楽しみ。